新たな事件〝序章〟
その日の夜。とある銀行。
銀行の中は誰もおらず、真っ暗であった。
そんな中に何人か集団がいた。集団は店の奥までいくと大きな金庫の前で止まった。
そして、その金庫の鍵を破壊した。
扉を開けると目の前にはいくつかの札束が置いてあった。そして、集団は速やかに札束を袋に詰めるとすぐさま、銀行から出て、夜の街へと消えていった。
この事実に人々が気がついたのは次の日の朝であった。
〝風紀組〟が設立されて一週間。桔梗は街の巡回をしていた。風紀組の主な仕事は街の巡回と学院の見張りである。これまでに学院での問題は風紀組の登場で少なくなった。理由は単純。メンバーの全員が学院の誇る上位の生徒達であったからである。
如月生徒会長を筆頭に桔梗をはじめとした上位の者が所属している。
「ふう」
溜め息を吐くと携帯電話の着信音が鳴った。
「はい、こちら、桔梗です」
「珠依さん!お疲れ様!どう?慣れた?」
「はい、だいぶ慣れましたよ。如月先輩」
「ねえ?もっと違う呼び方ないの?如月ちゃんとか?」
「無理です。さすがに」
桔梗は電話ごしとはいえ苦笑していた。
如月生徒会長とは試合の後から自然と仲良くなり、普通に話せる程の仲になっていた。
「それでどうしたんですか?先輩」
「うん、最近、多発しているのは知っているわね」
「あの事ですか?はい、知っています」
「それに対しての対策会議をするの。だから、戻って来てくれない」
「わかりました」
桔梗は早足で学院に向かっていった。
シノト側。
シノトも同じ頃。ある事件を調べていた。最近になって多発しはじめた連続強盗である。
夜中に銀行に忍び込み、金庫を破壊して金を奪うという手口だが、今だに捕まらず、街を騒がしていた。今では剣警隊も夜の警備をするようになった。
「手口としては典型的だけど問題は・・・」
どうやって中に入ったか。
そう、今までに襲われた銀行は外から侵入した形跡がなかったのだ。まるで元々、中に居たような感じであった。
現状の状況から剣警隊はある方法を推理した。それは〝設置型の術式〟である。
魔方陣をある特定の場所に描きある条件や合図なので発動する術である。
しかし、その推理ははずれていた。理由は銀行の中にはそれらしい魔方陣は描かれていなかったからだ。だが、銀行の中には僅かながら魔力の反応があったため何らかの手段で銀行内に侵入したのは確かであった。
「ふう、今の所はこんな感じか。今日の夜に行ってみるか」
シノトは自分の寮に走っていった。
その頃。学院の生徒会室では会議が始まろうとしていた。
「みんな、集まったね。じゃあ、今日の会議の内容について話そうと思う」
場が緊張した。
「今日の夜、私達、風紀組は剣警隊と合同で最近、世間を騒がせている強盗を捕らえるための巡回をする事になった」
メンバー全員が会長の言葉を一言一言、聞いていた。
「ですが、具体的にどうやって?」
桔梗は質問をする。
「うん、私達は特にいくつかの銀行の周囲を二人一組になって巡回する」
「わかりました」
「他に何かあるか?」
反応はない。
「よし、じゃあ、今日の午後八時にこの場に集合」
「じゃあ、解散」
号令に一人一人が部屋を出ていった。
室内には如月生徒会長一人になった。
誰もいないためか如月生徒会長はぽつりと呟いていた。
「現れるかしら?」




