挑戦者
カッ!カランッ。
木刀が弾き上げられ、地面に落ちる音が響く。
それから盛大な声が響く。
「まいりました」
女子生徒は降参の言葉を言った。
「「ありがとうございました」」
負けた女子生徒と桔梗はお互いに挨拶を交わす。
「相変わらず、すごいよな。彼女は」
「うん、そうだね」
シノト達の先には他の女子生徒達に囲まれた桔梗の姿があった。
そして、彼女のファンである男子の集団もいた。しかし、今日はなぜか違っていた。
「なあ、アキト」
「うん?」
「どうして、あのファンクラブのやつら僕に視線をむけてるんだろう」
シノトは不思議な物を見ているかのようにたずねる。
アキトは意地悪な笑みを浮かべた。
「そりゃ、学院でも上位に入る〝炎の巫女〟が自分から進んで話し掛ける唯一の〝男子〟である。お前を警戒してるんだよ」
「でも、その唯一の男子にお前も含まれているんじゃないのか?」
シノトの発言にアキトは肩をすくめ苦笑し、「そうだな」と呟いた。しかし、言葉とは裏腹にアキトの内心の言葉は違っていた。
(鈍感だなあコイツは、彼女が〝お前が目的で話し掛けている〟事に気づけよな)
アキトは知っていた。前のクラスでの桔梗の様子を、そして彼女がほとんどの男子の誘いなどをフッた事をそして、クラスが変わり、桔梗が初めて自分から男子生徒に声を掛けた事を。
(まあ、頑張れよ。〝炎の巫女〟よ)
アキトの心情など知るよしもなくシノトはファンの視線にため息をついていた。
そんな時。
「珠依 桔梗さん」
桔梗に凛とした声が掛かった。
桔梗が声のする方を見ると一人の女子生徒がそこにいた。桔梗と違い白銀とも言うべき髪を持ち上級生の制服を着こなしてどこか気品があり多く人を魅了してしまうような女子であった。その生徒の出現に周囲がざわめき始めた。
「あ、あの人って」「うそだろ。こんな間近で拝めれるなんて」「うわぁ……」
人それぞれ違う反応をした。一つだけ共通するのは全員が羨望の眼差しで見ている事である。桔梗ですら見せたことのない驚きの顔をしていた。
しかし、一人を除いて。
「あの人って、誰だっけ?」
「はぁ!お前、正気か!?」
シノトの言葉にアキトはこれ以上にない呆れた声をあげた。
「あの人は、この学院の生徒会長。如月 雪奈
(キサラギ ユキナ)だよ」
アキトの説明にシノトはようやく思い出したようにああ、と頷いた。
アキトはその様子に呆れていた。
周囲の生徒達の視線を優雅に受け流しながら桔梗の前に立つ生徒会長。桔梗もすぐに真面目な顔になり、白銀の生徒会長を見る。
暫くお互いの顔を見ていたが生徒会長が口を開いた。
「珠依 桔梗さん、私と勝負してくださいませんか?」




