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その夜。狐空家の居間では家族水入らずで夕食を楽しんでいた。

「うん、やはり家族が揃って食べる夕飯は旨いのう」

「そうだね。考えてみれば、随分と久し振りだね」

「ええ、シノトや秋清様と御飯が食べられるのは久し振りですね」

夕食の内容は家族の好物である(男限定)油揚げに魚の刺し身やワカメの味噌汁、そして白米や漬け物が少々である。

(油揚げか。久し振りに食べるな)

シノトは口に運び、油揚げを味わう。

「シノトや、さっきから言いたかったのじゃが、いつまでその姿でおるんじゃ?」

「え!?」

「いや、ずっとそのままでおるからのう」

(そういえば、すっかり忘れてた)

シノトは祖父や父親といっしょで妖狐の血をひいているため普通は狐の尻尾や耳が生えている。しかし今のシノトは耳おろか尻尾すら生えていない人間の姿をしていた。

そして、シノトの体が変化した。

シノトの髪が茶色から黄色に白色が混じった腰までとどく長髪になり狐らしい尻尾や耳が現れた。

「ほう、久し振りに見るのう。しかし、顔立ちは婆さんと瓜二つじゃな。まるで少女じゃな」

「ほんと、わたしと瓜二つですね。でも、瓜二つというよりは顔立ちは似ているといったほうが正確ですね」

祖父と祖母は孫の姿を見る。二人の言葉どおり今のシノトは少女だ。しかも美少女と言っていいほどの。


「おじいちゃん、おばあちゃん。いつまで見てるんだよ」

二人はそんな孫の様子を見て笑った。

その後、夕食は楽しくすすんだ。

夕食を終えて台所で祖母が食器を洗う音が聞こえてくる。シノトと祖父は居間でお茶を飲んでいた。

「孫や、お前が今、調べておるんは例の辻斬りの件じゃな」

「さすがだね」

「まあの」

祖父はなに食わぬ顔でお茶を飲む。

いつも、飄々として遊び人である祖父だがこう見えて家族随一の実力者である。ひと度、スイッチが入ればシノトから見て最強の剣技を振るう。シノトは祖父に稽古をしてもらったが一度も勝ったことがない。

「それでの孫や、その辻斬りのう。わしの考えから察するに物盗りや謀略の口封じではないと思う」

「やっぱり」

「気づいておったんか」

祖父の問にシノトは頷いた。

シノトもだいたいの見当はつけていた。

数日前に遭遇した辻斬りとやりあい、これまでに殺された人達の殺され方を見て目的はひとつしかなかった。

「殺しを〝楽しむ〟ためにしているんだと思う」

シノトは重々しく自分の推理した結論を口にした。

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