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幽ノ坂 冬火、熱い視線を向けられる。

「おいっ!!!流石に最低かっ!!!」


カラフルで派手な忍者姿の女の子が、私とラシに叫んだ。




私とラシを追って来てたハンドレッドゴーレムは、今やその女の子に猛烈に突撃している。




「君は強そうだから大丈夫だって!!!」


私は顔だけ振り返って、クズ野郎っぽいエールを送った。




「忍者さんファイトー!」


ラシも、ちょっとだけ私のクズ色に染まってしまったのかもしれない……




「ひどいぞ君達!昨日、災厄竜から庇ってあげただろ?」


忍者の女の子は足がとても速く、もう私達と並走している。




「足速っ!?てか、やっぱ君、昨日の忍者ちゃんか!!?庇うっていうか、吹き飛ばされてたイメージ強いけどー」


私は、なるほど!と掌を打ちながら言った。




「失礼な!!!恩知らず!!!」


忍者ちゃんは走りながら、私の肩をグーで叩いてきた。




「痛っ、なんすんだよ!」




「冬火言っちゃダメ!魔女ってバレるよ!!」


ラシは薄ピンクの髪を盛大に振り乱し走るが、一人スピードが落ちていってる。




「そっか!?って、今のラシので、バレバレのパレードだよ」


私はラシに合わせ、スピードを落とす。


私自身体力は、学年でも最低クラスだったが、それ以下となると、ラシは相当運動音痴だな。


私達のパーティー大丈夫か?




「バレるも何も、王国中が君達の事を監視してるよ。いやいやもっとだ、S級冒険者パーティーも、勇者様一行も、様々な種族の魔王も、みんな白銀の魔女の君を仲間に引き入れたくてウズウズしてるんだから!」


なんで君がそんなワクワクしてるんだよ。


後、走りながら、よくそんなに喋れるな!




ラシはちょっと不安そうな顔をした。


そして、ハンドレッドゴーレムはどんどんと私達に近付く……




「あっそ!勝手に監視してなって感じ!私はラシと楽しく草原を走り回ってれたら満足なのよ!」


自分で言いながら、それじゃあ野性の動物みたいじゃないか、と思った。




「えーーー、もっと冒険したいわ私、だってそれじゃあ仲良しのお馬さんみたいじゃない。私、勇者になりたいのに!」


ラシ、意外と目標たか……


私は、ラシがミルクスライムに突き飛ばされてたシーンが頭に連続再生して、笑いを堪えるので精一杯だった。


こういう所が最低なんだな私。




そして、とうとうラシは、体力が底をついたらしく、地面にへたり込んだ。


私は、隣で背中をさする。




ハンドレッドゴーレムは、あらゆる部位の顔で笑いながら、五メートル程の金ピカな巨体を、ボヨーンボヨーンと軽やかに跳ねさせて迫りくる。




「そうだよ!ラシちゃんの言う通りだ!人生前向きに行こうよ!君が頑張れば、簡単に勇者にだってなれるんだよ?私達三人でも」


忍者の女の子はそう言いながら、黄緑の髪をパレットにぶちまけるように振り乱し、私とラシの前に立って、ハンドレッドゴーレムを睨んだ。


この光景、若干デジャブ。


そして、三人って何。




「やったー、勇者になれるんだって冬火!私、いっぱい応援するから!!」


めっちゃ他力じゃん……


てか、ラシはそれでいいの?




「決まりだね冬火!私もラシと応援しまくるから、その心配はしなくていいよ」


忍者の女の子は、フフっと、さも自分かっこいいと言う風に笑った。




「その心配って何よ!!」


やば。


私達の事名前で呼び出した挙句、もう自認仲間で、応援役就任してるし。




「ねぇ君、もしかして、友達とかパーティーいない感じの人かな……?」


物凄く同じ匂いがするから聞いてみた。




「君じゃない、私はシュカだ。それにもういるさ。友達二人に、パーティー二人!」


シュカはエメラルドの瞳で、私達二人にパッチパッチとウインクする。




私とラシは顔を見合わせた後、一緒に後ろを振り向いた。




「き・み・た・ち・だ・よ!!!」


シュカはそう叫ぶと同時に、腰についてる二本の刀を抜刀し、新体操のように神殿内を舞った後、ハンドレッドゴーレムの頭上で激しく乱舞した。


金属が削れる音と斬撃の閃光が、ずっと止まらない……





「おおお!!!体柔らかい!」


ラシは舞台でも観てるみたいに、パチパチと手を叩く。




「そこ……?」


ラシ、ちょっと天然入ってるな。




次第に、嵐のようなシュカの超攻撃は止み、ボロボロに砕けて立つハンドレッドゴーレムが姿を現す。


シュカは、一蹴りで私達の方まで戻って来た。




「どうだった?」


欲しがりな顔をしている。




「パーフェクトです!」


ラシはシュカにハグしだした。


ジェラシーだよーーー!!!




「25点。派手な癖に、あいつまだ立ってるもん!」


私は二人を引き剥がし、ラシを抱き締めながら言った。


あ、めちゃんこ柔らかい。




「厳しいぞ冬火。あいつ意外と固いんだよ!絶対アダマンなんちゃらだって」


シュカは、刀をハンドレッドゴーレムに向けて地団太を踏む。





その時だった――




「お前等ふざけやがってーーー!!!!!!」


ハンドレッドゴーレムは、みるみる体を赤熱みたく真っ赤にして、股間付近の顔で怒声を上げた。




「きゃっ卑猥!」


ラシは目を覆う。




「喋れんのか!?しかも股間で!?」


私は、ツインテールを激しく揺さぶり、ロボットアニメの最終回ぐらい盛り上がる。




「仮面を被っていたってわけか……」


シュカは、よく分からない事を、意味ありげに言った。




ハンドレッドゴーレムは、オーバーヒートしたロボのように、ロケットパンチの態勢で私達に飛来する。




二人は想像以上の速さに戸惑いながらも、私を見た。




それは、見た事無いぐらいの他力の目だった……




はいはい、やりますよ。




「えい」




私はハンドレッドゴーレムに向け、掌をかざし、イメージした。


私の掌から出る白炎が、一瞬にして爆発的に広がり、昨日の骨の飛竜の口のようになるイメージを。


また、それが、目の前の敵を丸呑みにし、そのまま巨大な白く燃え上がるクリスタルにならんことを。




イメージと言うよりか、ほぼ同時に現実になっていた。




ハンドレッドゴーレムは神殿全体に響きそうな落下音を立てて、地面にゴロンと転がって白く燃焼している。




カチカチの勝ちだ。


股間の顔もまだ怒ってるぐらい急速冷凍だ。




「まーじょさま、まーじょさま、まーじょさま」


シュカが手を叩きながら言いだした。




「まーじょさま、まーじょさま、まーじょさま」


ラシも同じく。満面の笑みで。




「そのノリやめてくれる?」


私は、二人の靴を凍らし地面に張り付けた。




……




これ、しれっと仲間になる感じだなシュカ。




まっいいけど。




良い奴そうだし。




……可愛いし。

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