幽ノ坂 冬火、お宝を鑑定して貰う。
「金貨22枚!!!!!」
私は骨董品店のエキゾチックな顔の店主のオジサンに叫んだ。
「そうででござーるっすよ、ふっふーん」
相変わらず癖の強い店主は、ご機嫌にそう返してきた。
ダンジョン……儲かる……
私達新米冒険者パーティーは今、試練の大迷宮で得たアイテムの鑑定をしに骨董品店まで来ているのだ。
私はユニコーンの角と、恐らくはオリハルコンであろう鉱石を店主に見せている。
家二軒は買える鑑定額に、つい叫んでしまった。
「じゃあ、このアイテム達は?」
シュカがそう言い、みんなで拾ったをアイテムを袋から一斉に出した。
魔力の籠った紫色の牙、輝く曲がった角、珍しそうな鉱石、太古の文様のネックレス、高そうなコイン、未知のボロボロの魔導書だ。
店主は鼻歌を歌いながら、テンポよく虫眼鏡でアイテムを見だした。
その間、私は店内を歩く。
この骨董品店は知る人ぞ知る店らしく、極まれにとんでもない一品が置かれるらしい。しかし、あまりのレアさと安さに一瞬で売り切れるのだとか。
炎の化身のランプや、シュカの黄金の秘刀などがそうだ。
でも、あれはかなり珍しい状況だったらしく、今の店内にはそのような弩級のレア武器や防具は見つからない。
基本的に、超強力な武器や防具、S級冒険者が使うような魔術書、あらゆる強力な存在との契約書は、どのショップにも並ばないらしい。
ダンジョン攻略やモンスター討伐などで自分で獲得するしか無いと言う事だ。
「出来たね。この魔石に近い魔獣の牙と角は合わせて金貨2枚。ミスリル鉱石は金貨1枚。いにしえのコインは現在のレートと等価交換で銀貨5枚。王族のネックレスは今人気ね……金貨5枚。この呪術の魔術書は扱える者はほぼいないので価値は無しでござるっすよ」
店主は、スラスラと答え、ふふーんと目を閉じる。変わった人だが、相当な知識の持ち主なんだろう。
「計、金貨8枚と銀貨5枚ですか……」
ゾディが頭を抱える。
わかる!微妙なラインだからね。
「ねぇオジサン、このアイテム達の何個かは、加工して武器とかにした方が得なのかなぁ?」
ラシは率直に聞いた。
一瞬、買い取り業者と話しているママの記憶を思い出した。
ママ……
私……頑張ってるからね!
私は、守るべき仲間達を見回して拳を握りしめた。
「そのユニコーンの角とオリハルコン以外は換金した方がいいね。
どれも珍しいけど、出回って無い事も無いで御座るっすからね。他の店じゃ金貨4枚ぐらいっすよ」
てことは、このオジサン、私達に金貨4枚分ぐらいサービスしてくれてるって事!?
なんでそんな親切???
「じゃあ交換するか!!5人で分けて、1人金貨1枚と銀貨7枚だな!あ、冬火はそれどっかで加工して武器にでもして貰いなよ!絶対その方が良いって」
シュカはみんなに笑顔で同意をとる。
ラシもゾディも迷いなく頷く。
私とディーネだけが、何故?と言う顔をしている。
「私貰えません……皆さんが頑張った報酬なので……」
ディーネがレモンイエローの瞳を申し訳無さそうに陰らせた。
「そんなことないですよ!もう仲間なんですから当たり前です!」
ゾディが頼もしく微笑む。
このバブちゃん偶に超かっこいいから大好き。
「そうだよディーネ!気にしないで!」
ラシは笑顔でディーネの両手を握る。
「……」
ディーネは謝るが、みんなの笑顔を見て少し微笑む。
「でもさー、私のこれ換金したら、みんなもっと貰えるじゃん。万事解決だよ!そうしようよ?ねっ?」
私はみんなを説得してみた。みんなが沢山お金を貰って喜ぶ顔が見たかったのだ。
「思ったんだけど、私達だいぶ強くなったから、ギルドでも結構稼げると思うよ?もし、冬火が新しい武器で強くなってくれたら、その方が私的には超安心」
シュカが淡々と言って私の両肩にポンッと手を置いた。
ラシもそうしようよ?と目で訴えかける。
「そっかー……でも私、氷で武器自体を作れるから、あんま武器の必要性感じないんだよなー……加工とかもよく分かんないし」
私はユニコーンの角をグーパーと握る。
「それじゃ武器核がおススメだね。ダガーみたいに補助的に装備して使ったら良いよ。武器核の上に能力を纏わせたら、飛躍的に威力が増す場合もあるっすしね。その2つの素材なら結構な逸品が出来るっすよ?」
武器核か……そういうのなら、かなりアリかもね。
「それってでも何処でやって貰えるの?この2つの素材上手く加工できる場所とかあるのかな?私、全然分かんないよ」
私は店主のオジサンにそれとなく全投げしてみる。
この人に聞けば、なんでも教えてくれそうだから。
「任せるね私に。腕の良いドワーフ知ってるね」
え……?なんで本当にこんな親切なんだろ?高いのかな?
「幾らぐらいかかるの?」
「タダで良いよ。お客さん達のお陰で、王宮からの買い付けが増えて繁盛してるね。
それに……試練の大迷宮を突破した冒険者様達の力になりたいね私も。この都市の一員としてっすね」
店主のオジサンは壁にかけてある肖像画を見た。
そこにはオジサンに似た子供と、剣士のような冒険者が描かれていた……
「ありがとう……」
私は一切ふざけず、心の底からお礼を言った。
「よかったね冬火」
ラシが微笑みながら嬉しそうに首を傾げた。
新しい武器……みんなの為に強くなれたらいいな――




