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幽ノ坂 冬火、お風呂に入る。


いにしえの巨大都市に帰還した後、ミゼリア王女の厚意により宮殿内の大浴場を使って良いと言われたので私達はそのまま直行する事にした。


それを聞いたミゼリア王女含む、S級冒険者の女性陣達も、じゃあ自分達も行こっか!と言い出し一緒にお風呂に入る事になった。




勿論、全員タオルは巻いて。


流石の流石に恥ずかしいので……




その大浴場は、大理石のようなつるつるとした高級感ある石で作られていて、所々に黄金で出来たオブジェがあり、如何にも宮殿っぽい浴場だ。


湯舟の熱さは丁度良く、とてもいい匂いがするお湯だ。


恐らくは、花の香料でも入っているのだろう。


どうりで、ミゼリア王女から女の子っぽい匂いがするわけだ。謎が解決した。




私はタオルを巻いているのだけれど、みんなとお風呂に入るのはとても恥ずかしい。


真っ白で貧相な腕とか、無防備な自分とかを見られるのは堪らなく照れてしまう。


きっと私の頬は、お湯の熱さも相まって真っ赤だ。


さらには、目の前にとびっきりの美人ばかりいるから尚更だ。




「ブクブクブクーーー」


私は、ツインテールを外した黒髪を湯船につけながら、お湯の中に息を吐いた。




「ブクブクブクーーー」


目の前にルヌが来て真似している。ルヌは私と同じく真っ白な体をしている。


しかし目は赤い瞳の私よりもっと血色だ。


神秘的な灰色の髪はお湯に濡れて輝いている。


いつもはクールな目元が今日はやけに嬉しそうだ。




「かわいいねルヌは」


私がそう言って頭を撫でてあげると、ベーっと舌を出してバタ足しながら何処かへ行った。でも、その横顔は少し照れている様だった。




「熱いですね……」


ゾディは入ったばかりなのに限界と言う顔だ。金色で透き通る髪も蜂蜜色の金眼も、お湯と涙に濡れてるそのさまは、本物の天使みたいだ。




「そっかなぁー?私は全然平気だよ!!!」


そう言うシュカは中々迫力が凄い。


胸元を隠すタオルが苦しいと言っているみたいに伸びている。


エメラルド色の大きく野性的な瞳をパチクリさせ、鮮やかな黄緑の長い髪を贅沢に湯船につけている。


スラっとした豪快なスタイルも含め、どの瞬間を切り取ってもグラビアに見えるから凄い。




「ちょっと熱いかな……」


ラシはみんなの目線を気にして終始モジモジして頬を赤らめている。


肩までの艶やかなピンクのストレート髪をゴムで束ね、おかしな程にかわいい顔に、じっとり汗を垂らしている。


ラシは本当に美少女だ。優しい性格が表情にいつだって滲み出ている。


それにしても……ツルツルな肌だなぁ。ゴクリ。




「冬火……見過ぎだよぉ……」


ラシが、淡く黒い瞳を揺らして恥ずかしそうにする。


ダメだ……鼻血出そう。




「ごめんごめん」




「へぇーーーもしかして冬火は、女の子が好きなのかな??お姉ちゃんと遊んでみたりする?」


リチェがいきなり私に迫って来る。


この格好でそんな近くに迫られるのはちょっと……


ストンと肩まで落ちた黒髪、長くて綺麗な腕と足。シュカよりさらに大きな胸。


挑発的で妖艶な鋭い目元。


その中の影のある黒い瞳。


油断したら、本当に遊ばれそうだ。




「だ、だいじょうぶです!!」


私は恥ずかしくて腕まで真っ赤になり、ブンブンと首を振った。




「ふふっかわいい」


リチェは私の鼻を人差し指ツンッとした。




「リチェ、あんまりいじめちゃだめよ!?」


そう言って、ミゼリア王女が湯船に入ってくる。


その後ろ姿は、とても女性的で美しく普段は気づかなかったがかなりスタイルが良いみたいだ。


ハーフアップで括られウェーブがかかっている腰辺りまで伸びた水色の髪は、いつみても気品がありお洒落だ。


つるりとなだらかな肩だけを見ても相当美人と感じる。




あまりに見惚れていてミゼリア王女と目が合った。


ミゼリア王女は、パチッとした青い瞳で上品に微笑みかけてくれた。




「はーい。じゃあこっちにしまーす」


リチェが抜群のスタイルで湯舟を揺らしアルメヒに抱き着いた。




アルメヒはずっと端の方で、こっそり入っていたのだ。


きっと、普段は勇ましい勇者のように振舞っているが、こういうのに関しては恥ずかしくて苦手なのだろう。




「や、やめろ!!こんな場所でくっつくな!!」


意外と女の子らしい腕で、リチェの事をグーっと押して引き離している。


濃い金髪のロング髪から、優し気な琥珀色の瞳を覗かす雰囲気はとても中性的で、


お姉様が大好きな後輩女子の理想みたいな女の人だ。


でもあれだ、やっぱり全体的に女の子の体つきだ。何がとは言わないが。




「少し……熱いですね……」


ディーネが湯船に俯きながら小声で言った。


無垢白の長い髪は湯舟にとけて、穢れを知らぬようなうなじにピタッと張り付いている。


レモンイエローの瞳は寂し気に誰とも視線を合わそうとしない。


四肢が長く線は細い。


無駄の無いマリオネットみたいな白磁の体は、遙彼方の星の女神をイメージして作られた彫刻のようだ。


ミゼリア王女も、そう思ったのだろうチラチラと見ている。


ミゼリア王女とは同じぐらいのモデル体型の背丈だが、線が細い分ちょっと小さく見える。




と、私は美人を見過ぎて、のぼせたらしい……




「もうあがりますぅ……」


全身が真っ赤になり、ふらついて言った。




「大丈夫っ!!」


みんなの声が揃う。




皆さんを見過ぎてのぼせました!なんて、到底言えないな……ハハ。

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