幽ノ坂 冬火、連携の大事さを知る。
その日は快晴だった。
私達は四人は、やっぱりパーティーの連携って大切だよねーと、宿屋の近くの料亭で女子会みたくゆるく喋り、そのままギルドでモンスター討伐の依頼を受けた。
今回の討伐モンスターは、草原に潜む荒くれ者のスタチューと言う、魚類と巨大獅子を組み合わせたようなC級モンスターらしい。報酬は銀貨七枚だ。
どうやって混ざったの?禁断の恋じゃんとか思ったなら君は友達。
名前の響だけで、ラシがこれが良いと気に入ったので私達は、まぁラシが喜ぶならと、なんとなく頷いた。
手配書をよーく見ると、受付のお姉さんの手描きの可愛らしい絵柄だが、ホホジロザメと化け物獅子を混ぜたような、えげつない凶暴さが垣間見えたので、内心、心臓がバクバクいっている。
もはや、言い過ぎてボクって言ってる。私は心臓のボクっ子かもしれない。
私達はパーティーではあるんだけど連携性は今の所ほぼ皆無だし、むしろ不連携過ぎて個々の能力が下がる可能性もあるなって、実は心配してる。
どうしたことかな……
仲良しだから、騒ぐ方のパーティーは得意っぽいんだけど。
後、スタチューって名前変えようよ、誰もが可愛いの想像して油断するって。
あの絵柄も相まって、欺かれて破滅した冒険者絶対いまくりでしょ。
幸いにも私は、なんとなくこの狂気に気づいてるけども……
なんだよスタチューって……
今度、おばあちゃんにスタチューって言って見よ、反応気になるわ。
きっと野菜とかの名前に聞き間違えるに金貨1枚。
あ……
私、もう帰れないんだった。
いにしえの都市外れの草原――
「きおっちぃなー」
シュカが、相変わらず露出度の無駄に高いカラフルな忍者装束で伸びをした。
「なんて言ったんですか?」
ゾディは、金髪の長い髪とパッツンに切り揃えられたその前髪を、懐かしい匂いの風に揺らしながら真面目にツッコんでいる。
「おっちいって言ったのよゾディ」
ラシも桃みたいな色の髪を風に揺らしては、草原の遙先を見る遠い目で答える。
相変わらず優しいなラシは。
バカクソ天然だけど。
おっちいって、草原でいきなり言う奴なんかいないよ。
「そうですか……おっちぃ草原ですね」
ゾディは、勇者みたいな剣を風にくゆらせながらそう言った。
もしかして、全部おかしいって思える私マトモ?
「みんな今回の報酬は何に使うの?」
私は地面の小石を拾って遠くに投げながら言う。
いや、青春映画すぎるだろ。空も青くて広いわ!
「タコ食べたい」
シュカはスタチューって名前にやられたな。
「新作の本が発売したのです。なんと、男同士の恋愛らしいんですよ!」
ゾディ、ちょっと危ない路線だよ。先輩からの忠告。
「貯金かな?あ、それとみんなにクッキー作る材料買いたい!」
ラシ……将来絶対一緒に住もうね。
「冬火はなんなんだ?」
シュカが私の尻を触ろうとしながら言った、勿論可憐に避けたが。
やっぱりこいつ確信犯だ……一瞬片方の口角にぃって上げて意味ありげに笑ったし。
「私は、炎の化身のランプかな。市場の骨董品店に売ってたんだ。高かったから詐欺かと思ったけど、なんか気になって。店主曰く、山を吹き飛ばす程の魔力があれば封印が解けるらしく、解いたら良い事があるらしいんだ……」
ひとりだけ、真剣に言ってちょっと恥ずかしい。
「え!超面白そう!私も金出すよ」
シュカはエメラルドの瞳を輝かせて小躍りしだす。
言い方もうちょっとどうにかなんない……?
「なんかやばそうな気もしますけど……」
ゾディは相変わらずバブだから怖がりだな。
と言うか、遠くの丘にいるのスタチューじゃないか。
空に向かって大口開けてるあのトラウマ級の怪物。
「冬火らしいね、私も協力するわ」
ラシは私の肩を抱いて、顔をスリスリーっと寄せてくれた。
前の世界でラシみたいな友達いたらよかったな……
放課後とかも街で遊んだりして……
みんなも、既にスタチューを凝視している。
「競争だ!!!ノロマはおいてくぜ!!!」
シュカは、刀を両手に構え、疾風の如く草原を駆ける。
もう……個人プレー。
「あっずるいですよ!シュカさん」
ゾディは、子供剣士みたいに後をついて行く。
受付のお姉さんは、ゾディ強いって言ってたけどホントかなぁ……
「ラシ、スタチュー超凶暴そうだから、私の後ろから絶対離れないでね」
私は、強い眼差しで言う。
「うん、ずっと離れないよ」
二人になった時、こういう事を結構言ってくれる……
そして私達は、大型バイク並みに駆け足が速い、スタチューの躍動に驚いて、一斉に踵を返す。
「スタチューやばいっ!!!一旦退避!!!悪霊たいさーーーん!!!」
シュカは尚適当な事を言って、一人だけ木によじ登る。
「うわああああ、いやああああ」
ゾディは言葉をなさず、ただ叫び声を上げて剣を振り回しながら私達の方に突撃して来る。
「おいおいおいゾディっ子前見て!」
私は、錯乱してるゾディに呼びかける。
「見てますよぉー!!!でも、あれ怖いですぅーーー!!!」
剣士にしては可愛すぎるんじゃないかと思う程のスカートをふわふわ揺らし、泣き出すゾディ。
スタチューはもう目の前まで来ている。
「お姉ちゃん助けます!あああああ!!!」
ラシはボロボロッの杖を掲げて、スタチューに突進し出した。
「ラシ約束!!!」
私はすかさず後ろから走って追う。
もう!!!どんなけ命知らずなんだよ。
スライムみたいに濡れるだけじゃ済まないよ?
そして、シュカが叫んだ。
「冬火!!!後ろ!!!」
私が振り返ると、そこには小さな子供スタチューがいた。
「うわぁ!!!なんじゃこれ!!!目クリクリじゃん!!!」
しまった!ラシ!!!
ラシはあろうことか無意味なラシアタックを百獣の王×ホホジロザメ様に決めようとしていた。
「ラシ!!!!!」
私はイメージする……
白く燃える氷が……
が、しかし……
スタチューは、ラシにほとんど興味を持たず横をすり抜け、頭を抱えて蹲るゾディを飛び越え、子供スタチューと一緒に草原を駆けて行った……
あ、これあれだ。
モンスター討伐失敗のやつだ!!!!!
「ちくしょう逃げられたか、こっから飛び乗ってやろうとしたのに」
シュカは陰湿なサルみたいな事を言った。
「えーーーい!えいえいえい!!!きゃあっ」
ラシは目を閉じて杖を振り回し、ゾディに躓いて転んだ。
「うわーーーん。スタチューに蹴られましたーーー」
ゾディは勘違いして泣いてる。
このパーティー……最弱じゃん……




