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女神に騙され異世界へ!貰ったチートは欠陥品の詰め合わせでした。〜雑魚い俺には努力が必須ですが、大成するのは間違いなさそうです〜  作者: ゴローさん
第六章 シュタット再訪

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第82話 折れそうで折れない、丈夫な剣

結界を叩き割った余韻に浸ることなく、前へと足を向ける。


いつ何がくるかわからねぇから、剣はもう握っとこう。よっぽどなこと起きない限りは、大丈夫だろ。


ちょっと油断してたのかもしれない。単純に考えなしだったのかも。気が急いでいたからかもしれない。


「アキーラくん!」

『アキーラ!!』


後ろから、叫び声が聞こえた。

突然のことに飛び跳ねそうになりながら振り向くと、見えない壁のようなものを必死に叩くみんなの姿。


あれ?入れたの俺だけ?


「アキーラくん!早く戻って!」


ゾフィーの焦る声が響く。

でも、これは好都合だな。


これなら、誰も巻き込まずに済む。


「ゾフィー、行ってくるわ。」


「アキーラくん?君を一人で行かせるなんて──」


「ゾフィー、ありがとな。ここまで付いてきてくれて。」


今までちゃんと言えてなかった。


「ちょっと──やめてよ、アキーラくん……。」


「大丈夫、必ず帰るから。」


「〜〜〜〜〜っ!わかったよ。本当に、君って人は……約束だからね。」


「おう、約束な。」


見えない壁に遮られて、もう、触れ合うことは出来ないけど。

ゾフィーの手の上に、自分の手を重ねる。


「アキーラくん、私は……いや、やっぱり言わない。」


「なんだよそれ。気になるんだけど。」


「気になるなら、帰ってきてから教えてあげるよ。これも約束ね?」


「……わかったよ。信用ねぇなぁ俺。……じゃ、フレイヤ、フレイ、レオ、後は頼んだ。」


『気を付けてね。それしか言えないのが、何とも情けないけど。』


フレイとレオも頷いている。

……行くか。


「行ってくるわ。そんじゃーな。」


出来るだけ重くならないように。

片手を上げながらみんなから離れて、神殿へと向かい合う。


気付いてないわけ、ないよな。今から行くから、待っとけよ。


後ろからの名残惜しそうな視線を、カンストした気配感知が教えてくれる。

振り向くことはしない。必ず帰るからな。


「さて、この中が迷路とかだとお手上げだぞー。」


大きな神殿だ。何階建てか知らんけど、間取りが複雑じゃないといいな。

大きく息を吸い、神殿の階段を進む。

十数段ほどの階段を登り切った先に、柱と屋根だけの広場……広間?


「柱廊って言うんですよ、アキーラさん。」


背筋が凍る。

鳥肌が立つ。

肌が粟立つ。


どんな表現も足らないような、悪寒。

聞き間違いようの無い声。

あいつの──邪神の声だ。


「どこだ!」


俺のスキルは一切反応していない。気配感知も、危機感知も、心眼すらも。


「怖がらないで?私は奥で待ってますよ。邪魔がなくなったのが嬉しくて、つい声をかけてしまったんです。ごめんなさいね?」


「……なんだ、不意打ちはなしか?思ったより、真っ当だな?」


精一杯の強がり。近くにいないと知って、ホッとしたことは、多分伝わってる。


「うふふ、私、ちゃあんと味わいたいんです。アキーラさんを。ボコボコに、してくれるんでしょう?」


「はっ、神国で言ったこと、律儀に覚えてんのかよ。今から行くから待ってろよ。」


震えるな、声。

今だけ、今日だけは、どんな恐怖であっても笑い飛ばしてみせろ。


「うふふふ、あははははははは!!変わらない!変わらないのね!!もう何も知らない無垢な子じゃない、人を殺して、強くなってなお!私との距離も理解して、それでもなお!!まだ強がれるのね!?早く来て!来て、見せて?アキーラさんの、ゼンブ……。」


広間みたいな先にある、重そうな扉が一人でに開く。

扉の先は、真っ暗闇。


何があるのか見えないが、何があるかはわかっている。

わかった上で、なお進むのだ。

勝ち方はわからない。

わからないけど、やるしか、やるしかない。


「──っ、なんだ?」


剣が、震えた気がした。


気のせいかもしれない。わからない。

でも──


諦めることは、逃げることは許さないと、エルザに言われた気がした。


「……そうだな、お前はまだ、折れてない。──俺も、折れてない、折れない。」


前を見る。

遠く、この先にいるだろう邪神。

そこに向かって、歩みを進める。止まらない。


止まらなければ、諦めなければ、必ず出来るのだと、そう信じて。


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