第81話 邪神の神殿、じゃー死んで
「おっすおっす。」
「アキーラさん、おはようございます。……準備は大丈夫ですか?」
宿屋へと向かい、レオと合流する。
これから邪神の神殿へと出発するのだが……。
「なんで付いてくんの?」
「ん?私かい?アキーラくんを置いていくなんて、出来るわけないじゃないか。」
当然である、何を馬鹿なことを……って顔だなぁ。
これを今から説得すんの?俺が?
そんでもって……。
「フレイも同じ、ってことだよな?」
「もちろんです!」
まぁここで留守番するなら付いてくる意味ないもんな。
止めても無駄かー。
『アンタが死んだら、ワタシも終わりなのよ?当たり前でしょ。』
フレイヤがドヤ顔でそう言うけど、わざわざ危険なところに行くのもね?
「アキーラくん、私が付いていっても結果は変わらないかもしれないけど、せめて露払いくらいはさせてほしいんだ。ダメかい?」
上目遣いでそう懇願するゾフィー。
その顔で言えば俺が折れると知っているのだ。
こいつはそういう奴だ。
「ゾフィー……そうは言ってもだな──」
「ダメかい?」
「いや……死ぬかもしれ──」
「ダメかい?」
「いいよ!わかった!」
「よかった!」
時間がもったいないわ!
そんな俺とゾフィーのやり取りを見ながら、レオがニヤついてる。
「なんだよレオ。文句あるぅ!?」
「あは、ないです。」
何笑ってんだコラ。
ボコボコにするぞ!
「まぁいいや。んじゃ、出発しよーぜー。」
何となく気恥ずかしくなって、みんなに背を向けて宿を出る。
『アンタどこ行けばいいかわかってないでしょ。』
「それはそう。」
『戻ろうか?』
「うん。」
早く行こーよぉ!!
「あ、女神様……お久しぶりです。」
『……久しぶりね、レオ。元気にしてた……ってのも変な話か。』
「毎日、死んでしまいました。力及ばず、申し訳ないです。」
『そんなことないわ、アナタはガンバってくれたわよ。おかげで、アキーラが間に合ったわ。』
「はい。」
『終わらせるわよ!さっ!しゅっぱーつ!!』
「「「おー!」」」
「お前が言うんかい。」
もうええわ。早よ行くどー。
みんなで街を出て、一路北にあるという森へと向かう。
俺こっち来るの初めてなんだよなー。
「ここから森に入りますので、皆さん気を付けてくださいね。」
レオの言葉が静かに響く……が、正直心配はあまりしていない。
何といってもここに居るのは世界最強の男(自称)アキーラと愉快な仲間たちだ。
そのへんのモンスターに遅れを取ることはないだろう。
となると、やっぱりネックなのは、邪神関連だ。
「なぁ、フレイヤ。邪神って、その、眷属?とかっていねーの?」
『居ないことはないかな?でも多分、心配しなくてもいいわよ。』
「ほーん?その心は?」
『アンタがいるから。いろんな意味でね。』
「なんじゃそれ。はっきり言えよ。」
「アキーラくんのことは直接楽しみたい。万が一にもその可能性をゼロにはしたくないから、一人で待ってるんじゃないか。ってことじゃないかな。」
「それと、アキ様がいれば敵は倒せますしね!」
まぁ倒せなかったら終わりだしな。
それならあんまり気を張りすぎなくてもいいかな?
とりあえず気配感知だけは切らさずに回しとこう。
森の中を進むこと、数時間。
鬱蒼とした森に辟易としはじめた辺りで、先頭を歩くレオが手を上げる。
「ストップ。ここです。」
止まったレオの前には、何の変哲もない森。
ここが目的地って、言われなければ何もわからねぇな。
そう思いながらレオの側へと歩いたとき、俺の心眼が真実を捉える。
「なんじゃこれ……。」
薄い膜のようなものに隔てられた、その向こう。
目には何も映らないが、確かに感じるのは、石で出来た階段だろうか。
「これが結界か……どうやって破るんだ?」
『見えてるのね?切れそうかしら?』
む、切れるかだと?
「できらぁ!」
『どういうテンションなのよ……ま、それなら頼むわね?』
「アキーラさん、この結界は邪神の作ったものです。神気に取り込まれないよう、気を付けてください。」
「お?わかった。」
しんきってなんだ?心機一転的なやつか?
まぁ切ればわかるか。
エルザに託されたアキーラの剣を鞘から抜き、上段に構える。
「ふー……ま、邪神との前哨戦だ。本気でやるか。」
柄を握る手は柔らかく、心を整える。
後ろに引いた右足を前に一歩踏み出すと同時に、体重を乗せて振り下ろす!
「オラアアアアア!!」
身体強化により加速された一撃が、音を立てながら結界を破壊する。
「……ん?」
なんだこの感じ。何か──
『やったわね、アキーラ。ここが奴の根城、邪神の神殿ね。』
「ん、おう。……行くか。」
いつの間にか視覚でも捉えられるようになった、巨大な神殿。
切り出された石で造られたそれは、森の中にあるというのに不釣り合いな程キレイで、気持ち悪い。
「おらぁ!今からお前ぶった斬るからなぁ!!首洗って待ってろおおお!!」




