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女神に騙され異世界へ!貰ったチートは欠陥品の詰め合わせでした。〜雑魚い俺には努力が必須ですが、大成するのは間違いなさそうです〜  作者: ゴローさん
第六章 シュタット再訪

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第80話 アキーラの剣

「でっけぇ約束しちまったなぁ。」


エルザの工房を出て、一人でつぶやく。

後はもう、明日考えよう。

少しだけ軽くなった心と体に、我ながら現金だなと思う。

何がなんでも無事に帰ってきてやる。

そう決意だけを、新たにして。


ゾフィーの家に帰り、飯を食って、眠る。

俺がバカやらなけりゃ、基本何も起きないということに気付いて笑っちまった。


朝になって目覚めたとき、手のひらを見ながら思う。

今日俺は、邪神を斬る。

あいつを斬って、終わらせる。終わらせてみせる。


そうやって決意を新たにしていると、ゾフィーがやってきた。


「アキーラくん、朝だ……起きてるね、珍しい。」


「さすがにな。寝起きで体が動かないなんて洒落にならんし、ちょっとエルザに剣もらって、体動かしてくるわ。」


「うん。あ、アキーラくん。」


部屋を出ようとした俺を、ゾフィーが呼び止める。


「なんだ?」


「やりたいこと、たくさんありそうなんだ。付き合って……くれる?」


「んん?まぁ色々と助けてくれたしな。俺にできることなら言ってくれよ、なんでもするから。あ、でも痛いのはナシね。」


「ふふ、約束だよ……いってらっしゃい。」


「お、おう、行ってくる。」


ゾフィーへ別れを告げて、家を出る。

なんかゾフィーとエルザ行ったり来たりしてんな俺。

それにしても、ゾフィーの笑顔、ちょっとドキッとしちまった。

いかんいかん、集中せねば。


頭を振って邪念を飛ばし、エルザの工房へと向かう。

エルザのことだし、朝から待ってそうな気がしたのだ。

早く行ってあげた方がいいだろう。


「エルザー、いる──」

「待ってたよアキーラ。上がって?」


「……おう。」


今俺ノックした?してないよな?

ドアの前で待ってたの?

いつから?


とても聞けそうにないし、素直にお邪魔しよう。


「失礼しまーっす。」


ドアをくぐると目の前で剣を握って立つエルザと目が合う。

早くない?

てか近くない?


「この子、アキーラと戦いたいって。まだやれるって言ってる。」


「言ってる……って、この剣がか?」


「うん、アキーラの剣だから、かな。あたしが持つのも嫌みたい。」


そう言いながら、剣を差し出してくるエルザ。

よくわからんけど、受け取ろう。


「ありがとう、エルザ。この剣、研ぎ直してくれたんだろ?」


「うーん……その件なんだけどね。研ぎの必要がなかったんだよ。」


非常に言いにくそうに告げるエルザを、思わず二度見してしまう。

必要ないって、そんなわけあるか?

俺だって一応なんちゃって整備してきたけど、それで十分じゃないのなんてわかりきってるぞ。


俺が余りにもわかりやすいリアクションをしたからだろう。

エルザが説明の続きをしてくれる。


「これは、あたしの予想……というか願望なんだけどね?」


「おう。なんだ?」


「昔っから、神話とかおとぎ話に出てくるような武器ってさ、何ていうかワガママなんだよね。」


ワガママ?なんじゃそりゃ。


「武器は武器だろ?」


「うーん、例えば、自分が選んだ者にしか使うことを許さない、とかね?後は自我があったり、何かしらの代償を持ち主に求めたりとか。」


なーんか思い当たるなぁ……。

確か、この街を出たときだ。

エルザにこの剣を託されて、鑑定をしたあの時。


なんか凄いことが書かれてた気がする。

もっかいしてみるか。

……鑑定!


アキーラの片手剣:稀代の鍛冶屋エルザが、ただ一人の人間の無事を思い打ち直した片手剣。切れ味はそれなり。だが、その刃は決して折れず、曲がらない。持ち主がどれだけ無茶をしようとも、最後まで付き従う。──その代わり、逃げることは許さない。願わくば、この剣の持ち主がどうか無事でありますように。売却不可。というか、禁止。


ああ、そういえばこんな感じだったな。

なるほどぉ?

それなりの切れ味と強度を保証する代わりに、絶対に逃げられない、ってことか。


「なるほど……。つまり俺は、エルザに守られてたんだな。改めてありがとう、エルザ。」


「なっ、なななななな、何よ急に!──っ、と、とにかく、この剣が、そういうおとぎ話に出てくるような子になってくれれば、嬉しいっていうか、それなら、アキーラも無事に帰ってこれるかな、って……。」


「うん、そうだな。俺は邪神を倒すわけだし、それならこの剣は伝説の剣ってわけか。いいねぇ!」


「だったらいいなって、思っただけだよ。……っていうか、笑わないんだね、やっぱり。」


「ああ?なんで笑うんだよ。勇気もらったぜ、俺は。」


「……勇気?」


「今だから言うけど。ぶっちゃけ怖かった。勝てねえかも、って本気で思ってたよ。」


「アキーラ……。」


「でも、逃げたらみんな死んじまう。何とかできるとしたら、俺しかいないって女神様に言われちまってな。ガクブルしてたら、この剣が言ってくれてたわ。」


「剣が言ってた……?なんて?」


「最後まで付き合う、逃げるな、ってな。なら俺も、前向いて進まなきゃな。」


「そっか。ならあたしはここであんたを待ってるよ。」


「おう、すぐに帰ってくるよ。今度は飯でも食いながら喋ろう。」


「そ、それって、デ、デート?もしかして……。」


「はは、そうだな。デートしようぜ!じゃ、行ってくるわ!」


「うん。いってらっしゃい!!」


神妙な別れは、俺には似合わねえ。

ゾフィーとの約束も、エルザとの約束も、全部背負って勝って帰る。

それだけだ。


エルザから剣を受け取り、腰へと下げる。

いつもの感覚に安心感を得ながら、宿屋へと向かう。


レオの準備はもう終わっているだろう。


いよいよ、今日。

俺は邪神と戦う。


勝たなきゃいけない理由はたくさん。

勝ち方はわからんまま。


それでも何とかする。


何とかしてみせる。


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