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女神に騙され異世界へ!貰ったチートは欠陥品の詰め合わせでした。〜雑魚い俺には努力が必須ですが、大成するのは間違いなさそうです〜  作者: ゴローさん
第五章 傲慢帝国(帝国編)

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第72話 力は誰の為に。

「痛ええええええ!!あああああああ!!許さねぇ!!殺す!絶対に、殺す!!」


指を落とされたカインが体を震わせながら叫ぶ。


………まだ、やる気か?


「フルヒール!!………アイテムボックスオープン。」


カインの回復魔法により、無くなったはずの指が生えてくる。

何も無い空間に黒い渦が現れ、そこから輝く大剣を取り出す。


「はは、そんなん持ってるの?」


───鑑定。

オリハルコンの大剣

何でも切れる。鉄なんてバターみたいなもんよ。


はっはぁ。

そりゃ正しくチートだなぁ。


「ん?鑑定持ちか。じゃあこれが何かわかったろ。この剣なら、てめぇの武器なんざナマスみてえに切れる。」


「………そりゃ笑えないね。大切な剣だから勘弁してほしいよ。」


「んー?そうしてやりたいのは山々だけどよ、俺は武器も指もヤラれてるし、お前も首くらい落とされても文句はねぇだろ?」


「嫌に決まってんだろ。お前が死んでろ。」


おしゃべりは終わりか?


お互いに剣を構えながら、ジリジリと距離を調整する。


もうカインも不用意に突撃してこない。

………ミスったな。

やるなら一撃で決めないとダメか。


そのまま少しずつ縮まっていく距離。

大剣と、片手剣、自然と間合いはカインの方が広い。


カインが先手を打つのは、当然の流れだった。


「おらああああ!!」


大剣のリーチを活かして、最短距離を鋭く突き込むカイン。


「らああ!!」


その尖先を横から剣で叩く、………重い!!


心眼!!

ぐおおおお!!


心眼を強く意識して、尖先から逃れるように身を捻る。

自分の胸ギリギリを通過していく大剣を見ながら、奴へと迫る。


3度目の正直だ!!


「おらあああああ!!」


剣で切る余裕はないが左手で殴るぐらいは出来る!

ボディーがガラ空きだぜ!!


俺を、と言うよりもこの世界を舐めているカインは防具もまともに着けていない。

無防備な脇腹を渾身の力で殴りつける。


「ぐおええ!て、てめぇ!!」


「なんだぁ?親父にも殴られたことなかったん?」


「親父も、騎士団長も、誰も、だよおおお!!!」


「ははは、俺が初体験とは、複雑な気分だよ。」


カインが怒りに任せて振り回す大剣を躱すために距離を取る。


「はぁ、はぁ、はぁ、ふざけやがって……。ただの、中ボスのくせに、粘ってんじゃねぇ。」


「ああ、俺にとってはお前が中ボスだよ。」


こいつは格上と戦った経験が無さすぎる。

力押しで何とかなってきた弊害だな。


油断は全くできないが、このまま戦えば……。


「お前はただのイベント戦だろうが!!女神教とかいう邪教の使いだろ!?大人しく俺に叩き潰されろよ!!」


「女神教が邪教だ?女神と何があったか知らねぇけど、あいつはポンコツなだけで悪い奴じゃねぇだろう。それはお前も知ってるだろうが。」


「ああ!?俺がそんな邪神と知り合いな訳ねぇだろうが!!俺は女神に呼び出されてこの世界に来たんだぞ!!お前と一緒にすんじゃねぇよ!!」


……なんだ?

何かとても恐ろしいものを見落としてる気がする。

こいつ、いったい誰に呼び出されたんだ?


その時、俺の背後から、2度と聞きたくなかったあの声が届く。


「あは、ようやく気付いてくれた。そうよ、この子は、私が連れてきたの。」


全身が怖気立つ。

自分が強くなった今、よくわかる。

俺はこいつにはまだ勝てない。


……やっぱりこいつも、お前の差し金かよ、クソ邪神!!


「うふふ、今日は1人でお出かけ?私に会いに来てくれたのかしら?言ってくれたら、おもてなししたのに……。」


この場に似つかわしくない笑顔でベラベラ話す邪神。

とても嬉しそうで、吐き気がする。


「め、女神様?俺のピンチに来てくれたのか!!見ててくれよ、俺が今からこいつを──」

嬉しそうに話すカインの胸に、無表情のまま素手を突き刺す邪神。


「が、な、なん、で?」


「今はアキーラさんとお話ししてるから、黙っててね?」


「あ、え?な、女神、様……?」


「ああ、もうスキルも返してもらうわね。お疲れ様。もう逝ってもいいわよ。」


ゆっくりと手を引き抜きながら、興味を無くしたオモチャを見るような目つきで言う。


カインの絶望したような、まだどこか信じたような瞳が、胸にくる。


「おまえええええ!!」


こちらに背を向けていた邪神に向かい殺すつもりで剣で斬りつける。


確実に肉を切り裂く手応えと、それを受けてこちらを見て笑う邪神。


……なんで死なねぇんだよ!!


「うふふ、アキーラさんは、激しいのが好きなのね。情熱的なところも素敵だけど、出来れば直接愛し合いたいわ。2人っきりでね?」


「訳のわからんことを言ってんじゃねぇよ。」


「うふふ、私は今、魔族の神殿にいるの。待ってるから。……もっと強くなって、楽しませて。」


「きゃんきゃん言わせてやるよ。大人しく待ってろよ。」


「ええ、待ってるわ。それじゃあ、ここはあなたにあげる。もう飽きちゃったし……。フレイヤによろしくね?」


そこまで言った後にかき消える邪神。


……チクショー、ってカイン!!生きてるか!?


「おい!しっかりしろ!!」


「め、女神様……なんで、俺、なにが……。」


「おい!あいつは女神じゃない!邪神だ!気をしっかり持て!!」


「じゃ、しん?おれ、だまされ…て?」


「おい、回復魔法を使え!まだ間に合うだろ!」


「……だ、めだ。まほ、つかえな……。ぜんぶ、とられ……。」


魔法を取られた?盗られた?邪神に?


「あ、しにた、く、ない……。おかあ、さん……。」


「おい!カイン!!おい!!」


逝っちまった……。


クソ!!


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