第7話 ライバルと可能性
翌朝、クソ女神からの執拗な音波攻撃に負けずに眠りについたアキーラこと俺だ。
(しょうがないじゃん。せんべい賞味期限近かったんだもん)
神の世界に賞味期限とかあんのかよ。つーか別に神なら腹壊さねぇだろ。そして嫌なら捨てろよ。
(今、地球ではSDGS?が流行ってるんだよ?知らないの?)
なんなん?神って結構俗物なんか?
微妙に間違えてるし。
なんかピャーって手を振ったらご飯ボーン!みたいなん出来ねぇのかよ。
(出来ない出来ない。私たちだって無から有を生み出すのはとっても難しいんだから。それなら、既にある物を使って作る方がずーっと楽よ。たまにアンタらが奉納してくれるから、素材だけはたくさんあるしね)
なるほどねぇ、そういうもんか。
神様って言っても万能じゃねーんだな。
(そりゃ万能なら、アンタトラックで轢き殺したりしないわよ)
おお!?
そう言われればそうだな!!
納得納得!!
するかあ!!
なに開き直ってんだおい!
(だってお詫びに異世界に送ってあげたジャン!)
ジャンじゃないんだよジャンじゃ!!
俺が欲しいのはチートなの!
ち!い!と!!
(だから…ブフッ!あげたじゃん…!!チート…クフフッ)
あれはチートとは言わねえんだよ!嫌がらせって言うんだ!
今んところアイテムボックスだけだぞ!ちゃんと役に立ってるの!それも数少なすぎるんだよ!なんだ薬草5本でいっぱいって!
こういうのは1000本とか出して、俺のアイテムボックスは特別なんです(イケボ)とかやるもんだろうが!!
何だ5本って!俺は片手で8本持てたぞ!
(細かいことは置いといて、今日もガンバッて日銭を稼ぐぞー!おー!)
勝手に切り上げてんじゃねぇよ!めんどくさくなりやがったな!!
そんな年季が入りつつある漫才を繰り広げながら、朝食を食べていると、宿の部屋から、1人の男が出てきた。…いや、男というよりは、少年か?もしかしてこいつが…。
「ねぇ、君ってもしかして、昨日薬草握りしめて走ってた人?」
「ブフォオ!!」
うおおおい!!飲んでたスープ吹き出しちまった!ごめん!ヴィルトさん!
「ゲホゲホ!!…ああ、街の外からギルドの間の話なら、多分俺だな。なんでだ?」
「いや、…別に門が閉まる時間でもないのに、大急ぎで走ってたから、誰かケガしてる人でもいたのかなって。ギルドってことは納品依頼かな?まぁ品質は大事だもんね。」
「ソウダネ、ヒンシツハダイジダネ…。」
「…?まぁいいや。僕の名前はレオ・クライン。君と同じ、昨日街に来た新人さ。新参者同士、よろしくね。」
そう言って右手を差し出すレオ。
しかしコイツ、なんつーかイケメンだな。
切れ長の金眼に、雑に揃えられたショートカットの銀髪、整いすぎて若干冷たさすら感じるが、生来のものなのか、人懐っこさが仕草の節々から出ていて目が離せない。
すれ違った人のほとんどが振り向いてしまいそうな、そんな少年だ。
っと、イケねえ、こんだけ丁寧に接してくれたんだから、きちんと返さないとな。
「おお、よろしく、俺はアキーラ・リンリンっつーんだ。」
まことに不肖ではあるけどな!
「アキーラ・リンリン?ふふっ変な名前だね。アキーラはこのへんの生まれじゃないのかな?」
「え?えーっと、まあそうだな。このへんじゃない。ちょっと遠いところから来たんだ。」
「…そうなんだ。ま、いいや。とにかくこれからよろしくね、アキーラ。じゃ、僕はもう行くから。バイバイ。」
「おう、また会ったらよろしくなー。無理すんなよー!」
そう言って後ろ手に手を振りながらレオは出ていった。
なんかイケメンってああいうのですら様になるからムカつくよな?
(……………)
ん?どした?
(…、ええそうね、そう思うわ、ワタシも)
なんだ?エラいテンション低いな。食あたりか?
(女神が食あたりなんかなるわけないでしょ!バカにしてんの!)
沸点わからんて!許してたもれ!
(もういいから!ご飯食べたならさっさと行く!ほらほら!時間は待ってくれないわよー!)
そうやってクソ女神に背中を押されながら、冒険者ギルドへ向かうのだった。
「さーて、今日は何に、し、よ、う、か、なっと。」
(アンタ装備更新もしてないんだし、まともにできんの薬草採取くらいでしょ)
やっぱそう思う?あー、これ、貧乏人の辛いところね。手札が少なすぎて、なーんも選べん!
仕方ないか。
「すみませーん、リサさーん!今日も薬草採取でお願いしまぁす!」
「あら、アキーラさん。毎日お疲れ様です。薬草採取の依頼受領ですね。…よしっと。これでオッケーですよ。ガンガン抜いてきちゃってください!」
「はーい。それじゃあ、行ってきます!」
そしてそして、やってきました!大平原!
草もボーボーだから草原か?違いがわからんしどっちでもいっか!
さぁ!女神様!今日も頼んます!
(え?ワタシの加護期待してこれ受けたの?今日は無理よ?)
なんでえええええ!!!??
いや、それなかったら俺どれが薬草かわかんないよおお!?
(いや、何でって言われても…。そもそもアレは昨日だけのお情け!毎日もらえると思わないでよ!)
ぶーぶー!!横暴だー!職権乱用だー!!
我々は改善を希望するぅ!
(とりあえず鑑定でも使って、頑張って探せばぁ?気まぐれでホントのこと教えてくれるかもよ?)
コイツ、マジで言ってやがる。
…ハァ、しゃーないか。
確かにいつまでも頼ってちゃ、マジでなんかあった時に詰むからな。
自力で生きていけるように、手持ちのカードを駆使しますか!!
そうと決まれば、鑑定連打だあああああああ!!!
【草:ざっそーだよん】
【草:ただの草で草www】
【草:大丈夫?がんばれそ?】
【草:【草【草【草【草……………………
うがああああああああ!!!!頭ん中焼ききれそうになる!!!
【草【草【草【草【草【薬草【草【草【草【草:気づけよ】
…ちょっと待て!!!!!!!今薬草無かったか!!!??
どこだどこだどこだ!!!!これか!?違う!これ!?
これも違う!!!
【薬草:エラバレシモノよ、我を手に入れ給え】
あったあああああああああ!!!
鑑定の説明が微妙に、ムカつくけど!これがホントなら…。
この草はどうだ!鑑定!
【薬草:ヨクゾ我を見つけた。抜き給え】
よっしゃあああああああ!!!
見切ったああああああ!!!!!!
つまりここの草が何かブワァーってなってて根本トゥルン!って感じの奴が薬草だ!
そうとなったら話は早い!!!
オラオラオラオラ!!!
【薬草:ウム【薬草:サァ【薬草:我【薬草【薬草薬草【薬草……………
よっしゃああああああ!今日の宿代どころか、装備も変えられるんじゃねーの!!??
ついに始まったぜ!俺様の物語がよおおお!!
(がんばれ、がんばれ…)




