第68話 同郷?
ゾフィーやフレイ、アンジーたちの見送りを受け、
姫さんと2人で道を歩いてると、姫さんが話しかけてきた。
「アキーラ…あなた、意外と男らしいところもあるんですのね?」
「姫さんの中で俺はどういう評価なんだよ……。」
「Sランク冒険者のヒモかと。」
「当たらずとも遠からずだなぁ。」
実際ゾフィーにはめっちゃお金出してもらってる。
この前いつか返すって言ったときの会話がすごく怖かった。
『できるとおもう?』
『おもわない。』
『私もだよ。気が合うね!』
『詰んでる?』
すんごい良い笑顔だった。キラキラしてたなぁ。
あれ以来もう考えないようにしてる。無駄だし。
「アキーラ?なんで空見てるんですの?図星ですの?私はヒモでも気にしませんわよ?」
「まぁ姫さんからしたら、どんな男もヒモだよな。」
「まぁ、私が養えない男はいませんわね。……そんなことより、その呼び方!」
「ん?姫さん?」
「それです!何ですかその他人行儀かと思いきや、敬意の欠片も無い呼び方は!もっと他にあるでしょう!」
「えー?例えば?」
「そ、そそそ、そうですわねぇ?エ、エ、エリー、と呼んでも、よろしくてよ?」
「ええ?エリー?いいの?」
「だ、だって、アンジーは、アンジーって呼んでたでしょう?わ、私も…、その…。」
「いや、あの人は好きに呼べって言ってたし。」
「わ、私も!許すと言ってます!よろしくて!?」
「わかったわかった、じゃあ、エリーな。よろしくぅ。」
「あ……、ふふ!よろしくですわー!」
「あ、おい!走んなよ!おーい!」
もー!護衛対象のくせにうろうろすんなよなぁ!
………
………………
………………………
エリーと2人で街道を歩く。
次の街からは馬車を使う予定だ。
そうやって2人で歩く最中に、エリーが話しかけてきた。
「ねぇ、アキーラ。」
「なんだぁ?エリー。」
「なに、私のことを何も話してなかったと、思いましてね。」
エリーはどうやら、何も言わずに自分たちに付き合わせることに罪悪感を覚えているようだな。
まぁ、全部話してないのは俺たちも同じだし、都合が良いのも確かだから気にしてないんだけど。
「……我が父、皇帝カインは、生まれたときから並外れた力を持つ、神童であったと聞いています。子どもとは思えぬ知識に、あり得ないほどの力、まさに神に愛された男だと。」
んんん?なーんか、聞いたことある話だなぁ。
「父は、時に周りの理解の及ばぬことを話していたと。女神教のことを邪教と言ったり、そうそう『てんぷれ』と言っていましたわ。」
「テンプレ?そう言ったのか?」
「え?ええ、私たちは意味がわかりませんでしたけど、アキーラにはわかりまして?」
「いや、そりゃ…テンプレなんて、親の顔より見てき──」
違う!
この世界の誰も!
テンプレなんて言ってなかった!
皇帝カイン……、もしかしなくても、転生者…なのか?
「他には、何か言ってたりした?」
「え?ええ、そうですわね…。自分が女神様に愛された存在だとか、『ちーと』?として、剣術と身体強化を貰ったとか…。お酒を飲みながら機嫌良くお話されています。多分皇帝に親しい者なら一度は聞いたことがありますわね。」
チートもか…、でもそうなるとフレイヤが帝国に行かせた理由はなんだ?
いや、そもそも女神教を邪教って言ってた?
フレイヤとは仲違いしたのか?
「正直に言って、父の強さは異常です。この国最強と言われた近衛騎士団も、子どものころの父に歯が立たなかったそうですから。」
剣術と身体強化のチート貰ってたら、まぁそうなるだろうな。
うーん、ちょっと甘く見てたかも。
俺、勝てるかなぁ。
いや、そもそも俺に殺せるのか?
「不安にさせるようなことを言ってごめんなさい。ですが、事前に知らせねば後悔すると思いましたの。」
俺が黙ったせいか、エリーに気を使わせてしまったようだ。
「ああ、大丈夫だ。ちょっと自信なくなったけどな。でも、事前に知らなきゃ、それこそ瞬殺されてたかもしれん。ありがとな。」
「い、いえ!それでしたら、か、構いませんわよ?」
皇帝カインか…。
テンプレチートで皇帝の息子なんて、王道楽勝ルートじゃねぇか。
悪いやつだったら良いんだけどな…。




