第60話 今から私と
『ここでの修行はもういいから、アンタら帝国に行きなさいな。』
俺が次にする修行について考えていると、肩のあたりでぷかぷか浮いてるフレイヤがそう言い放つ。
「帝国?帝国ってあの、ホム、ホム…なんだっけ?」
「ホッホムート帝国だね。かの傲慢王が支配している。嫌な国さ。」
そう言うのはゾフィー、俺の保護者でチョー強い。
Sランク冒険者でも嫌って何があんの?
「あ!私も聞いたことあります。すごく偉そうで、傲岸不遜な嫌な奴だって!」
聖女であるフレイの耳にも届いているらしい。
でもねフレイ、多分帝国の王様なら、実際に偉いと思うよ?
『ま、そう言われても仕方ないわね。あの国、邪神が作った国だから。』
何でもないふうに言ってるけど、女神であるお前も原因の一部だぞ?フレイヤ。
「うーん、そこで何すればいいわけ?」
『今、あそこでは革命の機運が高まってるわ。でも、このままだと確実に失敗する。なんてったって相手は邪神の加護をもつ男だからね。』
革命の機運ねぇ。
俺のリンリンセンサーがビンビンに反応してるぜぇ?
見えた!
「ふーん、つまり…。」
と、俺が喋る途中で、ゾフィーが続ける。
「レジスタンスに協力して、革命を成功させろ!ってところかな?ふふ、楽しそうだねアキーラ君。」
あ!先に言われたぁ!
しかもこっち見て笑ってる!
もー!
「国家転覆ですか!?……うーん、でも神託ですし、やらなきゃですね!アキ様!」
相変わらずストッパー不在だなぁ!
「でもまあ、しゃーないか。世界の歪みを正すためだ!国家転覆でもなんでもこーい!!」
「「おー!」」
『あ、ちなみにワタシは行かないから、よろしくねー。』
ええ!?
フレイヤ来ないの!?
なんで!!
『……そんな顔しないでよ。結構こうやって顕現し続けるのも辛いのよ。ほら、ワタシ滅びかけだし。』
「それは全然笑えない冗談だな。……また会えるんだよな?」
『だいじょーぶ。アンタが帝国から帰ってくる頃には、信心集めて元気になってるわよ。』
「そっか、わかったよ。じゃ、ちょっと行ってくるわ。」
『ええ…、お願いね。それじゃ、失礼するわよ。』
その言葉を最後に、フレイヤは消えた。
あいつの言葉をどこまで真に受けるべきか、正直よくわからん。
……ただ、もし、時間があまり残ってないとしたら。
そんなに猶予はないのかもしれん。
「ま、考えてもしょーがないか。」
「だね。アキーラ君、ここは行動あるのみだ。ちなみに、アキーラ君はこの大陸の地理、頭に入ってないよね?」
「とうぜん!」
「素直でよろしい。じゃあ問題、今いるここ、この国の名前は?」
「フレインガルド神国!」
「正解!じゃあ、私達が出会ったシュタットの街があるのは?」
「えーっと、ノマルト王国、だよな?」
「それも正解。この2つの間にあるのが、ホッホムート帝国だね。」
「なるほど!ってことは、シュタットに帰るよりは、近いってことだな!」
「ホッホムート帝国自体はそうだね。帝都は北の方にあるから、距離としてはどうだろう……、倍くらいかな?」
倍!?
ここまで来るのに1ヶ月半くらいだっけ…?
ってことは往復で半年もかかるの?
「まぁ、これは普通にいけばの話だからね。今のアキーラ君ならそんなにかからないさ。」
「ほーん?その心は?」
「身体強化で走り抜けよう!私は抱っこでいいよ!」
欲望100%やんけ。
そういうのもっとやり取りしてからじゃない?
(ああ、アキーラ君が速すぎるぅ!)
(こ、これは抱っこしてもらわないとおお!)
とかの後じゃない?
「それじゃあ私はおんぶですね!!アキ様、よろしくお願いします!」
お前もノリノリなん?
もう少し罪悪感とかないの?
聖女だろ?
神の教えに背かない?
「アキ様なので、大丈夫です!」
「……ほんきなの?リンリンが2人を?」
「「もちろん!!」」
「むり!むりだよ!いやだ!」
「む、私と引っ付くの、そんなに嫌かい?」
「それは好き!」
「じゃあいいよね?」
「わかった!」
「アキ様、さすがにチョロすぎませんか?」
「む!フレイは自分で歩くか!?」
「あ、ウソですウソ。うれしいな〜。」
「はっはっはっ!」
今夜は祭りじゃー!
ワッショイワッショイ!
「それじゃあアキーラ君、今から私と戦ってくれないかな?」
……は?




