第49話 アクドより、あくどいゾフィー、かわいいな
「だから!何度も!言ってるだろう!!こっちは被害者なんだよ!!」
やぁみんな!リンリンだよぉー!
ぶっちぎりぶちギレゾフィーの横で、震えてまぁす!
「だいたい聖女がアキーラ君を連れていって、そちらの教皇が刺したんだ。それは聖女の証言でわかってるんだろう?なぜアキーラ君が罪に問われなければならない!!」
「わ、我々としても、教皇が殺された事実を軽く見るわけには…。」
「それは!教皇が!アキーラ君を!刺したからだろう!!何度言わせる気だ!!」
物凄い剣幕でぶちギレ続けるゾフィー。
守られてるのでありがたいが、とても怖い。
そしてこんだけぶちギレかまされても折れない枢機卿もすごい。尊敬しちゃう。
「ゾフィーリア殿、市井の者たちも、聖堂で何かが起きたことに気付いています。あなたがドアを破壊した音は、街中に響きましたからな。」
「ふん!それは貴様らが非協力的だからだろう。正当な行為だね。」
そうかなぁ?リンリンあれはやり過ぎだと思うよぉ?
多分枢機卿と一緒に来たよね?ゾフィー。
枢機卿カギ持ってんだから待てば良かったんでは?
「しかしですな、我らにとって、聖堂は神聖なものなのです。それは市井の民にとっても同じこと、あなたならおわかりでは?」
「ふん!事態は一刻を争う状況だった!現にアキーラ君は死にかけていたし、そちらの聖女も危険な状態だっただろう!!それとも二人とも死ねばよかったとでも言うのかい!?」
「い、いや、そこまでは…。」
「なら、なんの問題もないはずだ。そうだろう?アクド枢機卿。」
「ぐぬ、……まぁ良いでしょう。部下に調べさせたが、あなたは相当高名な冒険者であられるようだ。1つ、こちらのお願いを聞いていただければ、今回の件は水に流しましょう。いかがか?」
「断る!貴様らが謝る立場だろう!何を勘違いしている!!」
当たり強くない?大丈夫?
今絶対、アクドさん落とし所作ってくれてたよ?
「しかし、それでは…。ぬぅ。」
あ、ほら。困ってる。
もー!ゾフィーもダメだぞう!
「なぁ、ゾフィー。俺はもう気にしてないよ。アクドさんの話、聞いてあげよう?」
「む…、アキーラ君がそう言うなら…。むむ、しかし。」
「…ほぅ。これは。なるほど…。アキーラ君と言ったかな?本当に申し訳なかったね。我々も教皇の行いを恥じているのは本当なんだよ。だが、宗教というのも、中々難しくてね。」
「いいよいいよ、フレイも凄かったし、アクドさんもバランス取るの大変でしょ。これはお互いに不幸な事故って事で行こうよ。」
「ああ、ありがとう。理解してもらえて嬉しいよ。それで、お願いなんだが…。」
「貴様!まだ言うか──」
「ゾフィー!ハウス!どうどう!待て待て!!…いいから、一回聞こう?」
「アキーラ君…、もう!知らないよ?」
「よろしいですかな?…それでは、こちらのお願いは教皇がああなってしまった原因の解明と、処罰。」
「それは…。」
「ええ。わかっていることは多くありません。おかしな事と言えば、以前リサと名乗る女が、教皇との面会をしたことくらいで。」
「……リサ?リサ!?リサって言った!?言ったよね!?それってあれでしょ?金髪でポニーテールの!!」
「む!お知り合いですかな?…仰る通り、金髪でポニーテールの均整の取れた体つきの女ですな。人受けするタイプの顔で──」
「あ、そこまではいいです。」
やめろよ!全年齢向けだぞ!
「む、そうですかな?しかし…。」
「いらないいらない!誰かわかったよ!そんで、その人を捕まえればいいの?」
「ああ、まぁ、端的に言うとそういうことですな。難しければ、首だけでも、構いません。」
首だけって…、生々しいなぁ。
でも、リサって、邪神だぞ?無理じゃない?
「……はぁ、わかった。なら、君たちの依頼は、リサと言う女の捕獲、もしくは討伐。確認はリサ本人か首から上をここに持ち込むことで行う。それでいいかい?」
「うむ、構わん。よろしく頼む。」
あれ?ゾフィーにリサが邪神って言ったよね?言ったよな?あれ?
チラッとゾフィーを見る。
目が合う。
ニコッ!
かわええ…。
違う違う。
あれわかってて言ってんな。
後で理由聞こうっと。
「じゃあ、我々はこれで失礼するよ。聖堂の修復が終わったら、祭壇まで案内してくれるかな?」
「ああ、それについては神託も出ているし問題ない。宿屋を教えてくれたら、そこに伝言を出そう。」
「ありがたいね。宿屋はここだ。じゃあ、よろしくね。行こう、アキーラ君。」
はぁーい。
教会を出てきた俺達はそのまま宿屋の部屋に直行した。
ようやく、気が抜ける…。
聖女フレイと会ってからこっち、ずっと張り詰めっぱなしだったもんなぁ。
ちょっとダラダラしよ。
ダラー。ワンダラー、ツーダラー…。
あ、魚食べたい。…海遠いし無理か。
そういえばゾフィーにあれ聞かないと。
俺はベッドでゴロゴロしたまま、ゾフィーに話しかける。
「なーゾフィー。」
「んー?どうしたんだい?」
ゾフィーも羽織っていたローブの埃を払い、イスに引っ掛けてから、こちらに座る。
「なんでさっきの依頼受けたん?邪神討伐とか無理ゲーじゃない?」
「そうだねぇ、普通に考えたら命懸けだよねぇ。」
やっぱわかってたんか!なんでや!死にとうない!
「じゃーなんで受けたん?死にたくないよ?」
「あはは。それは私だってそうさ。でもさ、アキーラ君。あの依頼って、いつまでにすればいいの?」
いつまで?いつまで?期限ってこと?そんな話したっけ?
「わからん!!」
「ふふ、かわいいね。ヨシヨシ。まぁ、結論から言うと、その通りだね。わからない。つまり、決めてないんだ。」
それはつまり…。
「向こうが何か言ってきても、まだ調査中です、と言えばいいのさ。依頼ってのは、そういうもんだ。枢機卿も、冒険者の相手は慣れてないみたいだね。教会騎士ならすぐ動いたのかな?」
あくどい!アクドさんよりあくどいぞ!ゾフィー!!




