第46話 一人で出来るもん!
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…。」
「何とか振り払えましたね、アキ様!!それでは引き続き、祭壇に向かってゴーゴー!」
今、俺とフレイは教会本部の中に入っている。
どこかはわからないが、木箱が積み上がっている事から倉庫か何かだろう。
しばらく誰も入ってなかったのか、少し埃っぽい。
しっかし、ただの壁だと思っていた所があんなふうに開くとは…、ああいうの誰が作るん?
それ専門の匠がいるの?
なんということでしょう。ただの壁が扉にぃ〜。
「アキ様?大丈夫ですか?」
見られてた、はずぅい!
「…ああ、大丈夫だよ。騎士にボコられる前に早く行こう。」
「恐らく騎士さんたちのほとんどは、さっきの騒動で街に出ていると思います。ここには最低限の人員しかいないと思いますので、簡単に祭壇まで行けますよ!きっと!」
お前そういう事言うなよぉ!!
さっきの見てなかったの!?
フラグ立てるなよ!バカ!
「…大丈夫ですか?まぁいっか、行きましょー!」
そう勢い込んでドアを開くフレイ。
そこには…、
廊下が広がっていた。
誰もいないようだ。
「とりあえずは、安心か?」
「む!なんですかそれ!私を信じてくださいよ!」
「お前も俺を信じろよ!」
「信じてますよ?女神様の御神託ですから。」
…こいつ、
──またハイライト無くしてやがる。
クソ女神よぉ、お前の宗教、めっちゃ気持ち悪くない?
気を取り直して、廊下を進む2人。
今はお互いに気配遮断を使わず、普通に歩いている。
「なぁ、これ上までどんくらい掛かるの?」
「ゆっくり歩いて2時間くらいですかねぇ。はっ!走りますか!?」
「待って、行かないで。走らない!ステイ!スーテーイ!」
何で、時間確認しただけで走り出すねん。
ダチョウなの?
───っ!
まだ距離はあるが、気配感知に反応ありだ。
この反応は、二人だな。
歩き方から戦闘を生業にした人ではなさそう。
「フレイ、あっちから二人、歩いてきてる。騎士ではなさそうだけど、どうする?」
「ほーほー、アキ様の気配感知は便利ですねぇ。教皇様よりすごいかも!…二人かぁ。殺っちゃいますか!?」
「なんでだよ。まだ俺は冤罪でいたいんだよ。手を染めさせるんじゃないよ。」
盗賊ならまだしも、一般ピーポーは無理よ。
「え〜、でもその方が早いですよ?」
「早さの代わりに大事なもの失ってんだよ。心っつーんだけど、知ってる?」
「私は身も心も女神様に捧げていますっ!!」
「もうやだ!こいつ怖い!」
って、こんな話してる場合じゃなかった!
とりあえず話は後だ!
俺は一番近い部屋を探し、中に人がいない事を確認してからドアを開けてフレイと一緒に中に滑り込む。
そのまま息を潜めて待つこと数十秒……。
「───でさぁ。最近、アクド枢機卿がさぁ。」
「わかるぅ。あの人、女の子見る目がちょっとやらしーよね。」
「そうそう!この間もさぁ───」
……行ったか。
しっかしアクド枢機卿、エロ親父なんか?
そういう目線、女子は気付くから気を付けるんだぞ。
ちなみにゾフィーはそれを理解した上で利用してくるよ。
俺の天敵だね。
「ふぅ、アキ様、何とかやり過ごせましたね。それじゃあ遅れを取り戻しますよ!!レッツゴー!」
あ!こいつ、また走り出してる!待て!!
「さてさて、アキ様。ここから上はいと尊き方の為の、いわゆるエライ人専用エリアになります。ここからは人がかなり少なくなる代わりに、教会の精鋭たる近衛騎士が警備についていますので、気をつけてくださいね。」
「りょーかい。」
「…とはいえ、進まないことには祭壇には着きません。覚悟を決めて、行くぞ!おー!!」
声でかくない?
「それでは改めて、現状の確認を致しましょう。」
「おう、まずは今いるここ、フレイの部屋だな。」
「はい。この部屋を中心に、西は女中や世話役の部屋と下り階段。東には枢機卿と教皇様のお部屋があります。」
「で、その先に祭壇へ続く階段か…。」
「ですね。そして、枢機卿と教皇様のお部屋の前には護衛の騎士が常駐しています。」
「話聞くだけだと、進むの無理じゃね?」
「そうなんですよねぇ。ここからが厳しくて…。殺しはダメですよね?」
「この流れで確認出来る事が驚きだよ。ダメに決まってんでしょ。」
そこで、会話は途切れてしまった。
…とりあえず対策が思いつくまでは、ここに潜むかなぁ。
「アキ様、私思ったんですが。」
「ん?どしたん?名案思いついた?」
「名案と言うか、そもそもの話なのですが、私の目的はアキ様を女神様の祭壇にお連れすることなんですよね。」
「うん、それは知ってるよ。」
でも見張りがいるから、無理なんじゃん?
「だから、アキ様が祭壇に行ければ、他はどうでもいいと言うか…。アキ様、一人で行きません?」
はじめてのおつかい?




