第44話 GO!祭壇GO!
「はぁ、はぁ、はぁ、なんとか振り切れましたね…。」
そういって、後ろを確かめるフレイ。
別に俺は振り切りたくなかったよ。
まだ腕掴んでるし。
「なぁ、なんであんな逃げんの?聖女だから有名人なのはわかるけど、別に逃げなくてもよくない?」
「私、よく街に勝手に出てるので、見つかると捕まっちゃうんです。でも、仕方ないです!勇者様…アキ様が居るかもと思うと、いても立ってもいられないので!!」
周りの反応が指名手配犯見つけた時のやつなんだよなぁ。
ほんで、なんで目からハイライト消えてんの?こえーよ。
こんなに女の子に求められたの初めてなのに、全然嬉しくない。
エルザ、ゾフィー、助けてぇ…。
「でも困りましたね。多分もう教会には報告言ってます。このままだと捕まってアキ様と離れ離れに…、でもそれだと神託が…。仕方ない、いつもの手段で行きましょう。」
そういうと、腕を組んでたはずのフレイの存在感が急激に薄くなる。
目の前にいるのに…、意識しないと気付けない。
腕は…、組んでるよな?
………これ、気配遮断じゃね?しかもかなり高Lv。
「なんで聖女が気配遮断なんかもってんだよ!!常習犯じゃねーか!」
「便利なので!!」
ダメだ、止まらんわこの子。
「あ!でもでも、教会の人たちは気配感知鍛えてるので、効かないかも!逆に普通にしてる方がバレない!」
もはや発想がプロなんだよなぁ!
常習犯どころじゃねーわ。
「…はぁ。ほんで、この先どーすんの?俺を祭壇に連れてくんでしょ?」
「あ、そーでした!祭壇なんですが、入るには教皇様か枢機卿の許可を取らないと行けないんですよねぇ。もちろん聖女である私は入れますが、アキ様は…。」
「なんなん?神託出てるなら行けるやろ。もっと上から許可出てるじゃん。」
「それなんですが、神託が出てからちょっとバタついてまして…。枢機卿であるアクド・イーヒト様の周りがちょーっと怪しくてですね。」
「ほーん、それ誰が言ってたん?」
「教皇様です!教皇様は私を見出してくれた方で、とっても優しいんですよ!」
あええ?これどっちだぁ?またテンプレだよねぇ?
普通に考えたら、枢機卿…、アクド・イーヒトってヒデェ名前だな。
アクドさんが黒幕だよな?
うーん。
「…ちなみに、教皇の名前は?」
「メティア・イーヒト様です!」
わからんなぁ!!
なんだそれ!メティア・イーヒトって!
めちゃ良い人なの!?
本当に!?逆に怪しくない!?
「ぬあああ…!ち、ちなみに、二人とも名字一緒なん?」
「あ、そうなんです。お二人ともご兄弟で、共に神学を学ばれて女神教へ入られたとか。…ですが、教皇様は全てを慈悲を持って救うべし、と説かれているのに、枢機卿は救えるものには限界がある、と真っ向から対立してまして…。」
どっちだぁ!?
わからん!
うーん、個人的には枢機卿に賛成だけど、理想は教皇だよなぁ。
「ちなみにフレイはどっち派?」
「教皇様ですね!」
だよなぁ。
「とりあえず、そういう事でして。まだ教会内でアキ様の扱いが定まってないんです。枢機卿派に見つかると、最悪殺されるかも?」
「なんでだよ、そーはならんやろ。神託どーなってんの?」
「それが、引っ張っても良い、と言う一文で解釈が分かれてまして…。もしかするととんでもない極悪人なのでは?という声もあってですね。あ!もちろん私は信じてますよ?」
ほんとにぃ?
じっと目を見る。
……あっ、そらした。
「信じてないじゃん!!」
「シ、シンジテマスヨ?」
「目を見て言え!リンリンを見ろぉ!!」
「し、信じてますぅ!!あ、ダメ!きゃー!襲われる!!」
「信じてないじゃん!信じてないじゃん!」
まだ触ってもいねぇよ!!
「こっちから聞こえたぞ!!」
あああああ!!もう!
ガチャガチャ足音が聞こえる。
騎士じゃねぇか!
ヤバいヤバい!!
完全に犯罪者だこれ!
スウゥゥ──…ダッ!
あっ!あいつ、気配遮断したままどっか行きやがった!
逃げる気だな!
「ぐぬ、ぐぬぬぬぬぬ…。」
あーもう!なんで俺も逃げなアカンねん!!
そう思いながら、気配遮断と忍び足でこの場を離れるのであった。
あ、気配感知だ気配感知!
あっちだな!!
あのクソ聖女!逃さねぇぞ!!
俺を!祭壇に!連れていけぇぇ!!




