第42話 俺の女だ
「神都に入る者はこちらに並んでくれ!」
国境の町から3日、ようやくたどり着いた。
ここが神都フレイヤか。
はっきり言って、想像以上だ。
門の外からもハッキリと見える。
異常な高さの塔。
真っ白で、荘厳な、ここが神都だと言われる理由を一発で理解させる存在感だった。
「どう考えても…、あそこが大教会だよなぁ。」
「だろうねぇ。あれで違うなら、どれ?ってなるねぇ。」
「だよなぁ…。」
口をポカーンと開けて見上げる二人。
The!お上りさん!って感じだな。
お土産にあの塔売ってない?ないか。
「しかし、まぁこれは、思ってた以上だな。」
辺りを見渡す。
泣きながら祈りを捧げる人。
その場で土下座のように頭を地面に擦り付ける人。
形は様々だが、皆が皆、あの塔に向かって思いの丈を表現している。
新進気鋭のアーティストかな?
そんな風に塔と信徒のコントラストにクラクラしていると、自分たちの番が回ってきた。
「次の信徒よ、こちらへ。」
信徒ぉ?俺が?あいつの?誰が?俺?おう?
「はい。私達二人で、ぜひ女神様にお祈りを捧げたく参りました。こちらが証明書です。さ、あなた。」
え?誰こいつ。
ゾフィーあたまうった?
クレイジーなの?
「……アキーラ君、ここは合わせて。」
っ!!ほほーん。
「ええ、実はそうなんです。はっはっはっ。はい、これ。証明書。」
証明書を受け取った衛兵が、こちらをジロジロ見つめてくる。
おうおう、なんだ、こいつはおれのおんなだぞ!
「ふむ。…確かに。よし、お通りください。」
「はい、ありがとうございます。あなたにフレイヤ様の導きがあらんことを。」
あらんこっとん?
「ふぅ、もう大丈夫かな?とりあえずもう少しこのままにしとこうか。」
そういいながら自然な流れで腕を組んでくるゾフィー。
お、おお?なにこれ。大丈夫?
お金取られない?
「どしたの?結婚したくなった?」
上目遣いはアカンてぇ。
あんたかわいいんやからさぁ!
そのままフラフラと辺りを歩く。
神都の中は、意外なほどさっぱりしていた。
建物は全て真っ白で無機質、画一的で統一感の塊だ。
道路も白い石が敷き詰められており、陽の光を跳ね返して輝いていた。
道行く人の服も白い。
白、白、白、
全てが白に埋め尽くされた世界。
それが神都フレイヤだった。
「なぁ、ゾフィー。」
「……うん。」
「ここって、掃除大変すぎない?」
「なんのしんぱいしてるの?」
だって雨の後とかさぁ!
「…アキーラ君、もうちょっと緊張感持とう?それで、ここからどうするの?」
「ぜんぜんわかんない!」
「まぁアキーラ君はそうだよね。…とはいえ、私もここにはコネはない。うーん、あんまり、気は進まないけど、別行動にしようか。情報収集してから、夜に宿屋に集合。それからどうするか考えよう。」
「ま、危険はなさそうだしな。オッケー。」
そうして、合流場所と時間だけを決めて、二手に別れた。
「さーて、とはいえ宛はなし。…どうしよっかなぁ。」
「誰かああああ!!」
っ!!
女性の悲鳴が聞こえるが、周りの誰も反応していない。
こんなところまで揃ってるのかよ!
周りを一瞥して、悲鳴の聞こえた路地裏へと走り出す。
先程とは打って変わった、薄暗い路地裏で、女の子が三人の男に絡まれていた。
「いや!離して!!」
「こっちへ来い!!」
「おい!早くしろ!」
ギリギリセーフか!?
「待てこらボケオラァ!!」
剣は抜かんが、痛い目は見てもらう!
俺はここ1ヶ月鍛えた身体強化を発動させながら男達に迫り、反応される前に殴り飛ばしていく。
「がっ!」
「ぐふっ!」
「き、貴様!!ぐぉ!!」
キレイに1発ずつ。
完勝だな。
……強く殴りすぎたか?死んでないよね?
あ、ピクピクしてるから大丈夫か?
「あ、ありがとうございました。危ないところを助けていただき…。ああ、女神様、感謝いたします。」
「いやいや、クソ女神何もしてないから。オレオレ。」
「え?」
「え?」
ファサッ…
女の子が被っていたフードが取れて、目と目が合う。
…………。
「ウッソだろぉ…。」
「あ、あ、あなた、もしかして…!」
なんで、こんなところに…。
いや、それよりも…。
「勇者様ですか!!!??」
なんで…
クソ女神そっくりの女がここにいるんだ!?




