第41話 ヒャッハー!!
「…ちょっと、ゾフィーさん?」
「…っ、どーしたの?アキーラ君!」
「あなたさっき、自信満々に治安良いって言ってなかった!?」
そんな俺達の会話に、狂ったように雄叫びをあげながらサルが突っ込んでくる。
「ウキャキャキャキャキャ!!」
ズバァ!!
目の前に迫りくる狂ったサルを左右真っ二つに切り裂きながら叫ぶ。
乗合馬車に乗って移動中、俺達はサル型魔物の群れに襲われていた。
「ねー!珍しいと思うよ、実際。」
周りのサルを焼きながら、全く悪びれずにゾフィーが言う。
いやまぁ、実際悪いわけじゃないけどさぁ!
何もないと思うじゃん!
ダラダラしたかったのにぃ!
もー!
「ふぅ…、これで最後か?」
「だねー。まさかクレイジーモンキーの群れが出るとは。」
あいつらクレイジーモンキーというらしい。
確かにどう考えても勝てないのに、最後の1匹になっても笑いながら襲ってきてたからな。
狂ってたなら納得だわ。
…よく全滅しないね?
「あ、あんたら、無事か?」
「あ、御者さん。うっす、うっす。無事だよーん。」
「た、助かった。普段ならこんな魔物、出てこないはずなんだが。とにかく、命拾いしたよ。ありがとう。」
「いやいや、構わんよ。困った時はお互い様ってな。」
「出来れば、私達の分の馬車代をサービスしてくれれば、嬉しいね。」
お、おい。そんなん言っていいのか?
「あ、ああ!もちろんだ!二人で1000イェンだ。ほら、受け取ってくれ!」
「ああ、確かにもらったよ。」
スッキリした顔で戻っていく御者のおっさん。
何?ゾフィーに貢ぎたかったの?
「…アキーラ君。こういうときは、何も要求されないのも困るもんだよ。」
「…、そーなん?」
「そうさ。現に彼、待ってただろう?」
「うーん、言われてみれば確かに。」
「後でどんな要求をされるかわからない。命を助けたのに何も返さないセコいやつだと思われる。それはそれで、困るもんなのさ。」
ほーん、そういうもん?
みんな色々気にしてるんだねぇ。
「ふふ。アキーラ君は、そのままでいいと思うよ。ただ、そういうふうに思う人が、いるって事は覚えておくといいかも?」
そうかな?
そんなこんなで、俺達は1日目の宿泊地である、野営地に到着した。
ここで、1泊してから明日早朝に出発だ。
辺りは木々も刈られ、大変に見通しがいい。
気休めではあるが、腰ほどの高さに周囲に石も積まれている。
こういうところも治安に貢献してんのかね。
知らんけど。
「アキーラ君!ご飯出来たよー!」
本日のご飯担当大臣のゾフィーから招集される。
ご飯?明日も明後日もゾフィーが大臣だよ?
彼女は永世名誉ご飯大臣なのだ。
1回だけご飯振る舞ったらそうなってた。
なんでかは知りたくない。
「さぁさぁさぁ!今日はさっき倒したクレイジーモンキーの肉で作ったスープだよ!滋養たっぷり!召し上がれ!」
……唯一の欠点は狩った素材をよく材料にすることだ。
食べても大丈夫?気持ちよくなったりしない?
「しっかり火を通したからね!多分大丈夫!」
多分かぁ。
あ、味は美味しかったです。
ヒャッハー!
………昨夜は思い出したくない。
「ニコニコ」
めっちゃ笑顔のゾフィーが怖い。
俺何やったんだろう。
パンツ履いてたから大丈夫だよね?
「なぁ、ゾフィー…。」
「私は楽しかったから大丈夫!」
あ、はい、そっすね。
それ以上説明するつもりはないという無言の圧力に負け、俺はいそいそと身支度した。
2日目、乗合馬車は今日も行く。
基本的には街道の周りは木も少なく道もまっすぐだ。
これだけで、神国がかなりの力を持っていることがわかる。
「神の国、フレインガルド、ねぇ…。」
これが、宗教の力ってやつ?
おそらく、神都フレイヤにはあいつが死ねといえば喜んで死ぬやつがわんさかいるんだろうな。
ま、それでもあいつはクソ女神だけどな!
俺をここまで引っ張ってきたんだ。
まずはガッツリお仕置きだな。
「アキーラ君?アキーラ君?さっきからすごいニヤニヤしてどうしたの?何か面白いの見つけた?なになに?教えて?」
………まずはお仕置きだ!




