第4話 事情聴取は任意ですか?
「ぬおおおお!!間に合ってくれえええ!!」
辺りは既に薄暗く、太陽も顔を隠そうとしている。
(そんなこと考えるヨユーあんのぉ?走れ走れー♪)
うるせぇ!クソ女神がぁぁぁ!!
(ほらほら、後ろからみーんなついてきてるよー!がんばれがんばれー!)
は?うぇ!?マジじゃねーか!!
クソ女神の声に後ろを振り向くと、
ゴブリンゴブリンゴブリンゴブリン、うさぎ?
とにかく大量のモンスターが、俺の後を追いかけてくる。
(あんだけ騒いだらねぇ。ワタシはここでーす!って宣伝してるようなもんだし?)
もっと早く言えよ!
かなーり薄暗い中、街の入り口に立つ門番さんが、中に入っていく。
「あー!門番さん!待って!まだ閉めないでぇー!」
頼む!気付いてくれええー!!
(うーん、えいっ)
俺の祈りが届いたのか、門番さんの一人と目があった。
あ!こっちに来てくれる!
「助けてぇぇぇ!!」
「待ってろ少年!今行くぞ!!」
俺は今、この世界で初めて優しさに触れているぜぇ!!
(ワタシはー?)
お前がカウントされるわけねぇだろうがぁ!
「は、は、はぁ、はぁ、あ、ありがと、ございます……。」
「大丈夫だったか、少年。もう大丈夫だからな。さっ、続きは兵舎で聞こう。」
あ、これって、モンスタートレインになる?
やばい?
「ふむふむ、それは災難だったなぁ。それじゃあ、特に当てはないんだな?」
「あ、はい。この街に知り合いはいなくて、ですね。何か働き口があるといいんですが。」
「それなら冒険者ギルドだろうなぁ。登録に当たって必要なのは金だけだし、無かったら借りられる。」
冒険者!これってテンプレか!?
「あ、その冒険者?ってやつ、なりたいです!ならせてください!!」
「おいおい落ち着け。とりあえず今日はもう遅い。飯もまだだろう?味はそれなりだが、兵舎で食って、寝てから明日行きなさい。……ああ、私はガルドという。この街の門番をやっている。何か困ったらいつでも来るといい。」
ガルドさん…、惚れてまうやろぉ!!
「あ、ありがとうございます!お言葉に甘えさせていただきます!」
「はっはっはっ!気にするな!誰かを守ってこその門番だ!」
俺達は一緒の釜で飯を食い、一緒のベッドで寝た。
なんでぇ!?
チュンチュン……
そして、朝。
「すまんな少年!ベッド足りてなかった!はははは!!」
「いや、いいんすけどね、借りてる身ですし。」
「少年の前に来ていた子がいてな。その子に既に貸していたのを忘れていたよ!すまんな!」
ガルドさん。
良い人なだけに責めれない……!!
「まぁ気を取り直して、ギルドへ行ってこい!」
「あ、そうですね、確かに!ありがとうございました!」
「おう!気をつけてな!っと、そうだ。シュタットの街へようこそ!!」
……シュタットの街?
チゲ鍋か?
兵舎から出て、街を歩く。
地面は土で、馬車の轍や人の足跡が残っていて、少し歩きにくい。
だが道自体の広さはそれなりで、馬車同士がすれ違うくらいはできる。
周りの建物のほとんどは木造だな。
文化レベルはそんなに高くないのかな?
いや、魔法もあるみたいだし、地球と比べてどうこうってのも変か。
入門時に触る石もあったし。
青だと普通、赤だと犯罪者ってやつ。
そんなことを考えながら歩いていると、街の中心部にやってきた。
真ん中に噴水があって、放射状に建物が並んでいる。
その一角に、ガルドさんに聞いた冒険者ギルドが……、あったあった。
あの剣と盾の看板だな。
「し、失礼しまぁーす……。」
恐る恐る扉を開き、中に入る。
おお、定番だ。
ひろーい空間の手前には、丸テーブルに椅子が複数。
ここで依頼が終わったら打ち上げすんのかな?
右側にはでっかい掲示板があって、依頼表だろうか?手のひらサイズの紙がビッシリと貼られている。
左側には螺旋階段があって、職員さんかな?
何か書類を持って登っている。
The!冒険者ギルド!って感じだなぁ!
………っと、見とれてても仕方ない。
とりあえず受付に行こう。
(圧倒されてんじゃーん。話しかける勇気、あるかなー?)
「あ、あの!すみません。自分、ここに登録をしたいんですが!!」
「はい。冒険者ギルドへの登録ですね。登録料として500イェンいただいていますが、お持ちですか?」
「持ってないんですが、借りることはできますか?」
「大丈夫ですよ。その場合は、ギルドで立て替える代わりに奉仕依頼を受けていただきます。こちらをご利用されますか?」
奉仕依頼とはなんぞ?
………でも、他に選択肢無いし、しゃーないか。
「……はい、それでお願いします。」
「かしこまりました。それではご説明させていただきますね。ギルドへの登録料を免除する代わりに、奉仕依頼で返済をしていただきます。また、返済するお金は1000イェンとなります。」
ふむふむ、貸した金の倍、働いて返せと。
「返済は半年間、つまり6ヶ月の猶予の間に行ってください。依頼にもよりますが、奉仕依頼は性質上報酬金が低く設定されています。だいたい100イェンくらいですね。」
100イェン。つまり10回くらいはタダ働きしないといけないわけね。
「あ、半年間ってことは、えーっと、何日ですか?」
「6ヶ月ですので、180日です。60週間ですね。」
ほうほう、1ヶ月30日、1週間が6日、かな?覚えとこ。
「以上が奉仕依頼の説明となります。わかりにくいところはありましたか?」
「えーっと、大丈夫、だと思います。」
「ふふ、わからなければ、いつでもお聞きくださいね?あ、私はリサと申します。よろしければ今後ともご贔屓に。」
そう言って、ニコッと笑う受付嬢ことリサさん。
なんか、ちょっと引っかかるな。
「それでは、続きまして、ランク制度のご説明に入りますね。まず、ランクはFからSまでの7種類。基本的に実績の無い新人の方はFランクからの開始になります。詳細は公表していませんが、依頼の実績を基に査定を行い、一定の評価を得られた方にランクアップの打診を行います。……とりあえずは、これくらいですかね?それでは、こちらの水晶に触れていただけますか。証明書を発行いたします。」
おお!異世界あるある!ギルドの水晶!
ピカピカ光っちゃうかな!?
どれどれ、ペタッとな。
………
……………
…………………
「…はい、登録完了です。お疲れ様でした。カードは明日以降の発行になりますが、依頼は受けられますか?」
あれぇ!?何もないの!?
(ぷぷぷ!何も光らないなら、『才能ナシ』ってやつぅ?)




