第39話 しっぽリンリン
グリフォン騒動から明けて翌日、俺達は本格的に出発する準備をしていた。
「あ、アキーラ君、それはこっちに入れて…、そうそう。」
ゾフィーと一緒に荷造り中だ。
宿に泊まってる間にちょこちょこ用意していたものを、用途に応じて分類している。
俺のアイテムボックス対策でな。
旅の途中、俺はゾフィーの勧めで馬車に荷物を載せたまま収納してみたところ、簡単に入った。
1枠で。
『君が1つと認識出来れば、きっと入るんじゃない?』とはゾフィーの談だ。
ちなみに生き物は入らない。
馬車にねずみ入れたら、ねずみだけその場に残ってた。
全くもって謎な仕様だ。
これもリソース不足ってやつが理由なのか…?
リソース…、あいつ、邪神が言っていた。
クソ女神は、残り少ないリソースを俺に使ってるらしい。
それが邪神的にはひどく面白かったそうだ。
ま、俺には何が面白いのか全くわからんかったけどな。
多分あいつ、ギャグセン低い。
「あ、アキーラ君、後は私がやっとくから、今のうちにギルドに移動申請出しときなよ。多分まだ出してないよね?ついでにランクアップしてるか、確認しておいで。」
「お、そうか。悪いな、じゃあちょっと行ってくる。」
「うん、行ってらっしゃーい。」
「はい、アキーラ・リンリン様ですね。先日のゴブリンの巣殲滅と、自由依頼の達成の評価により、Dランクへのアップが可能となっております。処理されますか?」
「するするぅ!Dにあげちゃってください!」
ついに来たか。ギルドあるある、2段階ランクアップ。
ついに俺にも、正のテンプレが来た!
よーし!よしよし!いいよいいよ!
ちなみに、この前の絡まれたのは負のテンプレだ。
これでプラマイゼロだな。
なんのだ。
知らん。
さて、移動申請も終わったし、これでギルドでやる事はもーないかな?
と、あそこにいるのは…
「よう、トルテ。元気か?」
「あっ!リンリンじゃん!久しぶりだな!お、私は元気だよ!…おかげさまでね。今日は村を代表して、依頼を出しに来たんだ。まったく、村の奴らったら、私が元冒険者だから、なーんて言ってさ!私に頼りっきりなんだぜ!くふふふ!笑っちゃうよな!」
「…そっか。よかったな、元気そうで安心したぞ!」
「おう!元気元気!…ほんと、リンリンには感謝してるよ。今私が、こんなこと出来るのも、リンリンと出会えたからだし。」
「その話はもう何回も聞いたっての。じゃ、あんまり無茶すんなよ。」
「あ、あのさ!リンリン!」
「んー?」
「元気でな!また!いつか会おう!」
「おー、会えたらな。会えたら。」
そういって、手を振りながらギルドを後にする。
ここでも、色々あったな。
いきなりFランクってだけで首根っこ掴まれた時はビックリしたけど。
あの後楽しかったしプラマイゼロどころか大幅プラスだな。
俺の人生はまだまだ右肩上がりだ!フハハ!
さて、油売ってないで、宿に戻ってゾフィー手伝うか。
宿の部屋に入り、ゾフィーとひと言ふた言交わす。
特に特別でもない。いつものことだ。
「なぁゾフィー。」
「んー?どしたの、アキーラ君。」
「ゾフィーは、何で付いてきてくれたんだ?」
「……初めに言ったでしょ、フィールドワークに出たかったし、ちょうど良かったんだ。」
「それだけなら、俺と一緒じゃなくても良かっただろ?」
「うーん、まぁ、そうだね。別にアキーラ君じゃないとダメな理由は無かったね。」
「なら、なぜ?」
「ふふ、あの時は、完全に直感だね。これでも乙女だからね。勝負所はわかるのさ。……それに今は、それが正解だったって思ってるよ。」
「おとめ?」
「ん?乙女だよ?生娘さ。確かめる?」
「あほ。……でも、そうか。正解だったかな?」
「そうさ。私はそう信じてるよ。」
…俺達は明日、神国に向かって旅立つ。
そこに何が待っているのか、俺はまだ何もわかってない。
俺はただ、クソ女神…、フレイヤに言われた最後の言葉、神国に行け、って言葉に従ってるだけだ。
神国に行けば、またあいつに会えんのかな。
ま、会えなくても全然構わないけどね!
ああ、でも、
「もっかい声くらいは聞いてもいいかもな…。」
なんて、ちょっとしっぽりしちゃうね。
胸のざわつきは、収まらない。
第二章、完




