第36話 アレックスin、ぽんぽん?
「とは言っても、Fランクって受けれる依頼少ないんだよなぁ…。あ!これ良さげじゃん。」
自由依頼
羊探し
概要:羊飼いのトーマスだ。いなくなった羊を探してほしい。
報酬:1000イェン
達成目安:不明。詳細は依頼人に確認すること。
※ランク制限なし
自由依頼か…、雰囲気的に誰でも受けられる依頼かな?
Fランク受けても物足りないし、これにするか。
そう思い、依頼票を掲示板から引っぺがし、受付へと持っていく。
「へい、お嬢さん。調子はいかが?俺はこの依頼受けたい。よろしく!」
「…?はい、自由依頼ですね。承りました。まずは依頼人のトーマスさんとお話しして、条件の確認もお願いします。
依頼の達成報告の際はトーマスさんが持っている達成票の提出をお願いします。忘れられますと、こちらで処理できませんので。」
ほいほい、ほーいっと聞き流して、依頼票を受け取る。
この時間帯、トーマスさんは羊の放牧を行なっているらしい。
とりあえず街から出て近くの草原を探せば羊の群れの中にいるそうだ。
ほな、いきますかー。
「…おい、さっきのやつ、自由依頼受けてなかった?」
「え?あの地雷依頼?自由依頼なんて受ける奴いないだろ。危険度判定してないのに、そんなの受けるバカなんかよ…。」
さて、草原にやってきた。
意識してなかったが、割と森が近い。
街の方に行けば、草原はかなりの広さを誇ってるのに、なんでこっち?
なんかやだなぁー。
あ、あの麦わら帽子に日に焼けた青年が多分トーマスさんだな。
おーい。
「ん?なんだ、お前。こんな所に何の用だ?」
「あー、俺はアキーラっていう、冒険者なんだけど。自由依頼?で、羊探し出してたトーマスさん?」
「おお!!ようやく来てくれたのか!こっちに来てくれ。」
ほいほい、話し聞きましょか。
「…なるほど、放牧してたらオオカミの声に驚いて、森に逃げちゃったと…。」
「ああ、そうなんだ!あいつは、アレックスは臆病なんだが、悪い奴じゃあねぇんだ。…頼む!あいつを連れ戻してやってくれ!!」
えー、これ言ってもいいやつかなぁ。いっか。
「なぁトーマスさん、悪いんだけど一応言っとくね。アレックス、死んでね?」
「……、その可能性は、理解してる。だけど、どうしても諦めきれないんだ!頼む!もし死んでたら、あいつのツノだけでも回収してくれないか!?」
…本気なんだな。
「わかったよ、トーマスさん。それじゃあ、俺は森に入って、羊の痕跡、もしくは羊を探す。達成条件は、羊、もしくは羊のツノの回収。それでいいか?」
「…っ!ああ!それでいい!恩にきる!ありがとう、ありがとう…!!」
「まだ何もしてねーからよ。気にしなさんな。それじゃ、ささっと行ってくるわ。」
「ああ、よろしく頼む…!」
さーて、ところかわって森の中だ。
相変わらず薄暗い。
いくら動揺してたからって、こんな所に逃げ込むかねぇ?
トーマスさんが言うには草原からこっちへ一目散に逃げたらしいから、俺も真っ直ぐ進みますかね。
「っと、言ってたら早速か。こりゃー期待薄だなぁ。」
気配感知に反応が4つ、森の奥からこっちに向かって一目散。こりゃ見つかってるな。
サイズ的に、オオカミかな?
当たりをつけて、剣を抜き、待ち構える。
ゾフィーに言われてから常時発動スキルは基本発動しっぱなしだ。
「さぁさぁ、準備運動と行きましょうか!」
先頭のオオカミが草むらから飛び出してくる。
んー、2匹目が近いなあ。
切り伏せるのはやめて、1匹目のオオカミの前足に刃を当て、軽く切る。
とりあえず、デバフだ、デバフ。
ほぼノータイムで噛み付いてくる2匹目に狙いを定め、相手の牙をかい潜りつつ、首を切り裂く。
ほい、さよーなら。
一瞬で2匹を無力化されたせいか、残り2匹はたたらを踏んでしまった。
「こないの?じゃ、こっちから、いく、よ!!」
今の俺の身体強化は一瞬でトップスピードに俺を連れて行ってくれる。
じゃあね、オオカミさん。
まだ俺が肉薄してることに気付いていないのか、反応しないオオカミ2匹の首を静かに落とす。
残りは手負いの1匹、もはや消化試合だな。
じゃ、おつかれ。
アレックスを信じて真っ直ぐ進む。
なんか、どんどん奥に行ってんだけど、ほんとにいる?アレックス。
「おーい、アレックスやーい。」
ガサガサ草をかき分けながら、怖がりの羊さんを探す。
ガサガサ、ガサガサ、
「これ、このまま森抜けたらどーしよ。諦めて帰ろうか─」
背丈ほどの草をかき分けて、もういい加減帰ろうかと思い始めた俺の目の前に現れたのは、神聖な雰囲気に包まれた泉だった。
「こ、れは…なに?ああ、ゾフィー連れてくれば良かった…。」
なんかいい雰囲気だなぁ、とは思うけど、それが何かはわからん!
そんなふうに悶えていると、突如、俺の危機感知が激しく反応した。
それとほぼ同時に、気配感知、続いて心眼にも反応。
「ええ…、ゾフィーさん、フラグ建築士じゃん…。」
俺の目の前には、鳥の頭にライオンの体、いわゆるグリフォンが立ちはだかっていた。




