第32話 え?もう朝?
「だだだだ、だいじょうぶだぞリンリン。おおお俺がついてるからなぁ…。ひぃ!」
「あーらよ。ズバッとな。」
飛び出してきたスライムまっぷたつ。
すまんなスライム君。俺は先にいくぜ。
「リ、リンリン。大丈夫か?」
「お?おん。まだまだいけるぜー。」
「そ、そうか。結構強かったんだなお前…。」
どうなんだろね?ゾフィーと比べりゃまだまだだよ。
鬱蒼とした森を進む。
森の木々が日を遮って、昼なのにすでに薄暗い。
不意に鳥の声が響き、隣のオレっ娘がビクッと震える。
遠いから大丈夫だよ。
言わんけど。
そのまま奥に進んでいくが、今日は時間切れだな。
トルテもだいぶ足が重そうだ。
「なぁ、トルテ。そろそろ今日は休もう。明日もあるし、日が暮れる前にある程度準備しといた方がいい。」
「そ、そうだな。ふう、ふう。俺もそう思ってたところだ。そうしよう。」
適当に開けた場所を見つけ、二手に分かれて準備する。
俺が薪集めで、トルテは食事の準備だ。
これはこれで、良いトレーニングになりそうだ。
…思えばずっと頼りっきりだったな。
………。
帰ったらお礼言おう。
薪を拾って帰ると、トルテが待ち構えていた。
「お、おそいぞ!も、もうちょっと早く帰ってこいよ!」
怖かったん?ごめんね?
焚き火を囲いながら束の間の休息で体を労う。
トルテ、さっきからなーんか話したそうだよなぁ。
「……なぁ。」
「んー?どしたん?」
「その、ありがとな。付き合ってくれて。」
「うーん、まぁ、いいよ?」
「なんだそれ。…俺さ、昔からずっと負けず嫌いで、村に居た時も、街にきてからも、負けを認めずにずっと…。」
「ほーん。まぁ、上には上がいるからなぁ。」
「リンリンも、そうなの?」
「俺もずっと、負けっぱなしだよ。まずスライムだろー、ギルドの受付嬢やら、鍛冶屋の女の子、なんか研究してる人、みーんなに負けてるよ。……いつだって守られてばっかりさ。」
「そうか、リンリンでもそうなんだな…。」
「さっ、そろそろ寝るか。どっちから寝る?」
「う、うん。お、私は、い、いつでも、いい、よ?」
「ん?じゃあ先に行っとくよ。おさきー。」
「お、う。私も、すぐ行く…。」
先にテントに入り、横になる。
ほどなく、トルテが中に入ってくる。
「…リ、リンリン。まだ、起きてる?」
…なんで入ってきた?何か嫌な予感が。
「そ、その、パーティ、組むときに言ったこと。か、覚悟、できてる、から。」
パーティ組む時?なんか言ったっけ?
「お、私、その、うまくないと、おもうけど…。」
あ!あれか!ウソやろ!冗談じゃん!
「待て待て待て待て!!服着ろ服!!っていうか野営中にするなそんなこと!あほ!」
慌てて毛布被せる。もー!
「は、はあ!?こ、こっちがどんな思いで組んだと…。」
「知らん!俺はそんなつもりで組んでない!けーやくはそーほーのごういにもとづくの!」
「な、なんだよ!俺じゃダメって言うのか!?」
「ダメダメ!ダメよ!ダメのダメ!ダーメ!!」
「う…、な、んだよ。そ、そんなに、きょひ、するなよ、う、ううう、うわぁぁぁぁん!!」
「だあああああああ!!声!声抑えて!」
あ、だめだ。今ので気付いたな。
もおおお!スルーしようと思ったのに!
俺は急いで片手剣を取り出し、外に飛び出した。
何匹だ!?
1、2、3、4、5…8!
全部ゴブリンだな!
幸い、囲まれてはなさそうだ。
これなら何とかなりそう。
すぅーー
ふぅーーー
焦るな焦るな。
すでにお互いの姿を確認している。
まずは、先頭の2匹だな!
身体強化を強く意識し、数mはある距離を一瞬でゼロにする。
遅いよ。
「ふんぬ!」
そのまま勢いに任せて2匹同時に切り裂く。
残りの6匹も追いついているが、今の光景に少し動揺している。
「ま、騒いだこっちが悪いんだけど、わりーね。」
動揺を隠せないゴブリンたちへ、肉薄していった。
「これで終わりかな。」
8匹目を切り捨て、周りに改めて注意を払う。
もう気配は感じないが念の為だ。
途中からテントの声は止んでたが、はてさて、どうしよう。
ま、明日考えよう。
「まじめすぎてリンリン疲れちゃった。もう眠い。」
もう空は白み始めてるがとりあえず横になろう。
ほんのちょっとだけでも、おやすみリンリーン。




