第27話 ゾフィーリア様ぁ!
「着いたああああああああ!!!!」
ついに来ました!シュタルクガルド!
胸板厚そうな名前だ。
立派な城壁に、大きな物見台。
門の前には結構な列ができてる。
これだけでこの街の大きさがわかるってもんよ。
「ここを抜ければ、国境も近いよ。もう一つ国を超えないと行けないけど、順調だね。」
「え?そーなん?」
えー、隣が神国じゃないのぉ?
なんとかならない?
「ふふ。そんな顔しても何ともならないよ。とりあえずここで羽を伸ばそう。食料品も補充しないといけないし。」
お、そうだな。ご飯大事。アキーラ知ってる。
そんなことをしながら、列を待つこと数十分。
ついに順番がやってきた。
「次の者、ここへ!!身分を証明するものを提示しろ!!」
「はいはい、そんなに大声出さなくても聞こえてるよんっと。ほい、冒険者カード。」
「んん〜??シュタットの田舎から、Fランク風情が何しに来た?怪しい奴め!ちょっと来い!」
「ほ?ほえええええ。」
そう言いながら首根っこ掴んでリンリンを運ぶ衛兵さん。なんなんこいつ。
「ちょっと待ちたまえ。彼は私の助手だ。離してもらおう。」
おお、ゾフィーが、かっこいい!!ドキワク展開だ!
「なに…?貴様の助手だと?ならん!Fランクがなんの用か知らんが分相応になってもらわんと、街の治安に関わる!」
「…じゃ、これ。私の証明書だよ。ちゃんと、確認してくれるかな?」
そういいながらスゲーピカピカのカードを渡すゾフィー。
ちょっと怒ってる?
あのカードデコってんのかな。
「こ、これは…、冒険者ランクSだと!?しかもこの名前、ま、まさか貴様、いえ、あなた様は…。」
なんだー?既視感のすごいイベントの予感だぞ!
「Sランク冒険者にして、魔法大学の特別教授、魔法大学を最短で卒業した不世出の天才、万能にして完璧、絶対にして孤高のゾフィーリア・フェイヒカイト様!!」
もっかい言って?
「し、失礼いたしました!あなた様とは露知らず、とんだ御無礼を!!」
「謝るのは、私だけかい?」
「はっ!あ、アキーラ様も大変、申し訳なく…。」
「ええ?うーん、いいよ?」
「あ、ありがとうございます!それではゾフィーリア様!どうぞ─」
「君に名前を呼ぶことを許したつもりはないが?」
「す、すみませんでしたああああ!」
気持ちええ!!これがテンプレ!!これぞ俺TUEEEEだ!!ゾフィーリア様ぁ!!
「ふぅ、ここの衛兵も相変わらずだな。」
ビービー!テンプレ警報!テンプレ警報!
テンプレの匂いを検知!
「さっきから何してるのさ。早くおいで。」
「あ、はい。サーセンした。」
「ふふ、もう。行くよ!」
さぁさぁさぁ!ゾフィーの威を借るリンリンだよぉ!ふはははは!人がゴミのようだ!!
「また変なこと考えてない?ダメだよ?」
「はい!ダメです!」
ダメだよ。
ゾフィーと一緒に街を行く。
しっかし、道が広い。荷馬車3台くらいすれ違えそう。
道も石畳だし、シュタットとの格差を感じる。
ふんふん言いながら道を行く。
新しいところって歩くだけで楽しいよね。
え?行き先?俺は知らない。ゾフィーに聞いて。
「なーなーゾフィー、これどこ行くの?」
「自信満々に前歩いてたのに知らなかったの?」
「だって俺この街初めて来るし。」
「そりゃそうだけど…もう、こっちだよ。」
お。
ゾフィーに手を握られて、街を行く。
あらららら?リンリン春のゾフィ祭り?
「ほら。ここだよ。とりあえず冒険者ギルドで移動申請しないと。ギルド入会時に説明されたでしょ?」
されたかな?どうかな?うーん、されてない!!
「知らん!なにそれ!」
「だから何でそんなに自信満々なのさ…。もう、冒険者ギルドは街を移動する冒険者に事前に申請をすることを求めてるんだよ。その街の冒険者の数と質が、すなわちギルドの力だからね。」
「ほうほう、つまり今この街のギルドは、俺とゾフィーのお陰で100人力だな!!」
「ふふ、そうだね。」
内訳?100:0じゃない?
「なんでちょっと悲しそうな顔してるの?」
「男のプライドがね?」
「まぁいいじゃない。私は楽しいよ。」
俺もだよ!ちくしょう!
そんなこんなで冒険者ギルドへご到着だ。
おー、でっかい。
シュタットと比べて街自体の規模が大きいのはもちろんだが、ギルド自体もでっかいな。
シュタットが公民館だとしたらここは体育館だ。
わかりにくい?うん、俺もそう思う。
ほな、邪魔するでー!!
ガチャっとな。
扉を開けるとそこは異世界、なんてこともなく。
見慣れたいつものギルドと同じだった。
雰囲気だけは。
「なんだこりゃ!超でっけぇ!!」
「ふふ、シュタルクガルドはここらで一番の規模だからね。依頼もたくさんあるよー。」
「しゅごい!みたい!!」
「よーし、じゃあ手頃なのからやっていこう。あ、これとかどう?ワイバーン。」
「しゅごい!死にそう!」
いや、しゅごいじゃねーわ。Aランクの依頼持って来んなよ。こっちFランクだぞ。
「ハハハ!!冗談だよ、アキーラ君。冗談冗談…。」
「目が笑ってねーよ。こえーよ。」
「ふふふ、ほんとに冗談だよ。今はね?」
「それが怖いんだよなぁ。黙って連れてくのだけはやめてね?」
「うーん、逃げない?」
「うん!逃げる!!」
なーんてふざけてると、後ろから怒鳴り声が響いた。
「おい!お前ら!ここはギルドだぞ!冒険者ギルド!命懸けて切ったはったして金を稼ぐところだ!イチャつきてーならヨソでやれ!ヨソで!!」
わぉ、すっごく真っ当。一部の隙も無い物言い。俺なら退散しちゃうね。
「ほぉ?命が要らんと見える…。」
でもゾフィーさんは違いましたぁ!!
「ダメ!ゾフィー!ステイ!!待て!!これは俺らが悪い!サーセンした!ほら行くぞ!受付で移動申請だろ!!」
「…ちっ。命拾いしたな。」
「もう!ダメ!ダメよ!ハウス!ノー!」
ゾフィーを抑えながら受付へ連れていく。
猛犬すぎるやろ。
沸点氷点下かな?
「…はい、それでは、Sランク冒険者ゾフィーリア様と、…Fランク?Fランク!?Fランク!!?なんで!?」
「そんな連呼すんなよぉ。」
受付嬢さんもバグる。それが俺の存在感。やはりアキーラ、世界がほっとけない男だ。ってゾフィー切れる前に抑えとこ。どーどー。
「あー、事情があって登録したばっかなんだわ。スルーしちゃって?」
「あ、はい…。すみません、失礼しました。それではSランク冒険者ゾフィーリア様とFランク冒険者アキーラ様の移動申請を受理しました。本日は依頼を受けられますか?」
ちらっとゾフィーを見ると首を振る。
俺に任せてくれるらしい。
「ああ、今日はやめとくよ。まだ街に来たばかりなんでね。それで、お勧めの宿とかあったら教えてくれる?俺らの格にあうやつでシクヨロ。」
「アキーラ君、SランクとFランクの格がそもそも合わないんじゃない?ふふふ…。」
何わろてんねん。
まぁ、機嫌治ったみたいでよかったよ。




