第25話 岩の雨、事件の香り
「あははははははは!!」
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!マジで死ぬうううう!!!」
シュタットの街を出て、早1週間。
俺達は今森の中を突っ切っていた。
「どわああああ!!危ねえええ!」
後ろから来る頭大の塊を心眼で察知し、辛うじて回避する。
ドゴォォォォ!!ドゴォォォォ!!
塊が当たった木はへし折れ、地面はえぐれている。
あんなん当たったら弾け飛ぶぞ!!
【イワマジロ:岩みたいな硬さで飛んでくる。アンタが当たったら即死】
「あははは!この森危ないねえ!楽しいねえ、アキーラ君!」
全ッ然楽しくねぇ!さっきからゾフィーは狂ったように笑ってる。
ちなみに、御者は馬と一緒にとっくに逃げた。俺も逃げたい。
ってうおおおお!!
俺はまたも頭狙って飛んでくる塊を避ける。
やめてよぉ!!
【気配感知Lv1を取得しました】
【危機感知Lv1を取得しました】
「ほえ!?」
「お!その感じは取れたねー?どうだい!世界が違って見えるだろう?」
お、おおおおお。
わかる。あいつらがどこにいるのか、何をしようとしてるのか。
どこを狙っていつ突っ込んでくるのか。
「気配感知か危機感知、あるいは両方かな?……両方っぽいね。それがあると、周りの動きに敏感になる。心眼と組み合わせれば、生存確率は跳ね上がるだろう。出来れば回避も欲しかったけど、まだ無理そうだね。じゃこの辺でお終いだ。」
ゾフィーがそう言い放つと、周りを飛んでる10を超える塊が一斉に爆発した。
ええ、一人だけ違うゲームやってない?
みんなこんなん出来るの?
「ふぅ、ちょっと休憩しようか。アキーラ君、馬車出して。」
「ほーい、よっと!」
ドーン!!
「いやあ、便利だねえ、君のアイテムボックス。こんな大きいものを、そのまま保存出来るなんて。研究者垂涎のスキルだよ。」
そうなのだ、俺のアイテムボックス、どうやらチートだったらしい。
枠は5つしかないが、入れられる大きさに制限がない。少なくとも馬車くらいは入る。
それはゾフィーの一言で発覚した。
『アキーラ君さぁ、アイテムボックスがハズレって言ってたけど、入れたのって薬草だけ?』
『ああ、そうだな。ほんと、あれはひどかったぜ。聞くも涙語るも涙。涙涙の─』
『あ、その話はいいや。じゃあさあ。これ、この馬車、入るか試してくれない?』
『─その時俺は…、って馬車?いやいや、それは無理でしょ。』
『いいから、ほら。試し試し。』
『うーん、まぁ、いいよ?ほーらよっと、あ。』
『入ったね。』
『入ったな。』
そう、アイテムボックス、何でも入る説。
ゾフィー、さすが天才だ。誰もが思いつかないことをやってくれるぜ。
「アキーラ君が考えなしなだけだよ?」
「心読むのやめてよぉ!!」
「あはは。面白いなぁ、アキーラ君は。」
アキーラおもしろくないもん!!
そんなこんなで、旅に出て1週間、ようやく初めての村に到着だ。
「ここは確か、ベルクドルフ…、だったかな。山間だけど丘の上にあるから、見晴らしも良くて良いところだよ。森の近くはちょっと危ないけどね。」
ほへー。
確かにいい景色だな。
山と山の間だけど、広い草原みたいになってる。
迷子になる心配はないな!
まぁイワマジロみたいな化物出てくるもんな。
「一応言っとくけど、イワマジロは弱いよ。ランクはDだったかな?」
「俺より高いんだよなぁ。」
「そうだっけ?」
Fですからね。
「おーい!誰か!私の娘を見てないか!?マリーナが!マリーナがどこにもいないんだ!」
第一村人発見、と思いきや何だか不穏な雰囲気だな。
そう考えてると、男はこちらに気付いたのか近寄ってくる。
「すまない!娘を見なかったか?マリーナと言って、あんたらくらいの年の子だ。おっとりしていて、ああ!なんでこんなことに、神様…!」
なんかエラいテンパってるな。落ち着けもちつけ。
「すまないが、私達は先ほどここに到着したばかりでね。何も把握していないんだ。それでもよければ、話くらいは聞こう。どうする?」
「あ、ああ!ぜひ頼む!詳しい話はうちでする!こっちだ!きてくれ!」
そういって走り出そうとするおっさん。
何だか事件の香りだぜ!!




