第14話 しびしびすれば、しびしびと
素振りブリブリしてたらLv3になった。
やっぱ残心はすごい。今度から残心さんって呼ぼう。
(残念すぎる…)
まあクソ女神にはわからんだろう。
俺様は今最高潮に登り調子の昇り龍。
鯉に恋する乙女、リンリンなのだ。鰤食べたい。
(もはや何が言いたいのかわかんない。ワタシがおかしいの?)
フハハ!お前もリンリンワールドの一員になるがいい!!
(ワタシ女神なのに、精神汚染されてる!?ウッソでしょ!!)
さて、ご機嫌リンリンはランランなので、ルンルン気分で買い食いでもしよう。
鰤売ってないかなー。ブリブリ。
もしくは魚。生はさすがに怖いけど。
そう考えながら、街の中心部にある市場へ向かう。
実は来るのは初めてだ。いつもギルド周りウロウロしてるだけだからな。
おのぼりリンリンなのだ。
「は!おのぼり昇り龍、リンリン!?」
(もう疲れたわ…)
えー、なんだよー。ちゃんとツッコめよー。いつもは俺がやってんだから。
(アンタ今までこんなことしてたのね。よくエネルギー持つわ…)
ガス欠女神は置いといて、俺の体にエネルギーを補充せねば!
そんなことを考えながらキョロキョロしていると、やや!!あれは!!
「魚じゃねーか!見たことないけど、干物かぁ〜。でも炙ると美味いんだよなあ…。いかん、日本酒飲みたくなってきた。」
あるかな?ないか。
(「日本」酒でしょ、ある訳ないじゃん)
まぁそうだよなー。大丈夫なければ作ればいい!俺じゃない誰かに託すぜ!頼む異世界の神様!杜氏を呼んでくれ!
それでは次回から、「杜氏してたら異世界にきてた件」、スタートです。
(却下)
ブーブー!とにかく今は魚!干物でもいいから食べたい!
そう意思を固めた、今の俺はカッチカチの鋼の意思を持つ男カチリンティウスなのだ。メロスのために磔も厭わぬ所存。
(リンリン言わないの?)
言わん。
「なぁ、兄ちゃんさっから店の前でスゲぇ顔してるけど大丈夫か?」
「大丈夫だ!おっちゃん!その干物!魚だよな!」
「お、兄ちゃん魚がわかるのか!イイねえ!お目が高い!」
「なぁ、その干物っていくら—「俺がこの干物を見つけたのは港街ハーフェンなんだがな。そりゃーもう美味かったのよ!それで俺がこりゃーシュタットの皆にも知らせねぇと!って大枚叩いて買ってきたってーのに!ここの奴らと来たらよう!!やれニオイがキツイだ、骨が細かいだ、小せえコトをグチグチグチグチといつまでも。そのせいで最初は機嫌がよかったおっかぁまでプリプリ怒る始末だ!たまったもんじゃねぇ!そもそも…。」
やばい!話が終わらない!!
「わかった!とりあえず1つくれ!食べたい!」
「ん、おお!ありがとよ、兄ちゃん!これでおっかぁに顔向けできらあ!!ほれ!じゃあ100イェンだ!」
「ん?」
「100イェンだ!」
「あ、はい。」
「ようし!毎度ぉ!!」
(アンタ今日の宿どうすんの?)
どうしよぉ…、あ、干物うま。
(え、ちょっと詳しく)
うーん、旨味が凝縮されてるな。本当は炙りたいが、このままでも全然いける。
噛めば噛むほど、口の中にジワ〜っと広がって、体全体が幸せに震えている。しびしび。あ?なんかホントに痺れてきたかも。
(アンタそれ、痺れヒラメじゃないの!毒抜きミスってない?動けないほど強い毒じゃなかったはずだけど…)
ちょっとまって!じゃあ俺薬草採取は!?
あと21イェンしかないんだけど!?
(やめときなさい!門が閉まるまでに帰れないわよそれじゃ)
えー、じゃあ野宿じゃん。俺ベッドじゃないと寝れないんだけど。
(諦めるか、ギルドで宿付きの依頼があるか探すしかないんじゃない?今から行って見つかるかわかんないけど)
うぇー、今からかぁ。
面倒だが仕方ない、俺はしびれる体をぎこちなく動かしながら、ギルドへと向かうのだった。
働かざるもの食うべからずだな!
(贅沢は敵だー!)




