第12話 芽吹きの予感に気付かない
剣術が、早々にLv2になったことで、俺はさらにノリノリになった。
「なんか明らかに、ゼロより1、1より2の方が鋭いよなあ。」
そうなのだ。
今日朝からずっと素振りしてる。
つまり俺の二の腕ちゃんの疲労はピーク。
こんなパフォーマンスを披露する事は難しいはずなのだ。疲労だけに。
「なのに、振り下ろすときの音が鋭くなってるよなあ。これは無駄な力が抜けた的なやつか?」
もしや俺、前世は剣豪なのでは?
やはりアキーラ、天才であったか。
(ん?もしそうなら、初期スキルに入ってるわよ)
…今なんて?
(もしアンタにそういう才能があったら、こっちに来た時点でスキル取得してるはずよ。どういうことかわかるかな?かな?)
…顔は見えないけど、絶対今ニチャアってイヤーな笑顔してる。
つまり、こっち来たときにスキル持ってないってことは?
(才能ナシってこと!!プークスクス!剣豪のw生まれ変わりwパネェwww)
やめろよおおおお!
そうやって後出しすんの良くないってぇ!!
先に言ってくれよ!そういうのは!!
他に何か隠してないだろうな!!
(なんでアンタに全部説明しないといけないんですかぁ!?それじゃ楽しくないジャン!!)
やっぱ最悪だよお前!!
その後もしばらく片手剣ブンブン丸していたが、剣術Lvは上がらなかった。
まぁ千里の道も1歩からって言うしな。
焦りは禁物、たぬきのイチモツなのだ。
ブーラブラってな。
(サイテー)
単体で言われるとちょっとゾクッとするかも。
もう少しやってもいいんじゃよ?
(キッモー!死ね!カス!ハゲ!)
言いすぎだろおおおがあああああ!!
ライン超えてんぞオラアアァァァァ!
(ゴメンほんとに無理かも)
あ、そう?ごめんね?あの…、ごめんね?
そんなしょーもないやり取りしながら宿に帰る。
ヴィルトのおやっさんによると、レオはまだ帰ってないらしい。
一緒に新人あるある言いたかったんだけどな。
(ほうほう、どんな新人あるあるがあるの?)
そうだなあ、まずはやっぱ定番!新人、登録のときに絡まれがち〜。そんでベテラン冒険者をのして、一目置かれがち〜。
あとはやっぱあれだよな、Sランクのモンスターとか倒して、え!?これがSランク!?みたいなやつ。
(どっちもアンタとは無縁だねぇ!!ほな新人あるあるとちゃうなあ!)
なんで急に関西弁になってんだよ!
(まぁしょーがないわよ、そういうやつはだいたいチートもらって俺TUEEEEしてるんだから)
お前が言うのは違くない!?元凶だよね!?
そんな風にディスり合いながら、おやっさんのご厚意に預かりおかわりをペロリしちゃう俺。
常に成長期、人生右肩上がりのアキーラです。
一応レオの分の晩御飯を残してごちそうさまだ。
俺は遠慮のできる男なのだ。
(おかわり3回してたじゃん。どこが遠慮してんのよ)
おやっさんが良いって言ったから良いんですー!ブー!!
(ま、あの子はしばらく戻ってこないんじゃない?知らんけど)
どっちだよ。ま、色々事情ありそうだったしな。
それならそれでしょーがない。
旅は道連れ世は情けだが、情けは人の為ならずなのだ。
何言ってるかは自分でもわからん。
どういう意味なのこれ?
(ワタシに聞くな!自分でしらべなさーい)
いや、こっちでどーやって調べんのよ。
ほんと、こういう下らないやり取りしてる時が一番気楽かもしれない。
とりあえずその日暮らしに余裕が出てきたことを嬉しく思いながら、眠りにつくのであった。
(……旅は道連れ世は情けとは、旅は道連れの方が心強く〜「やめてよぉ!寝かせてぇ!!」また、情けは人の為ならずとは…、あ、よく誤用されるんだってぇ!ちゃんと覚えとこー!)
もうヤダァ!!




