アデュー・カオリペア対ジュテーム・ミーナペア
ゴーカート勝負に負けたからかゴッドはイビキをかいて寝てやがる……。おいおい、そんな態度はマズイんじゃねーか?
「結果はゴッドの負けだ。でもまだ俺達もいるぜ?どうするよ?」
「ならばこの僕の得意なゴーカート勝負と行こうじゃないか!」
サッ!と愛車に乗り込んだジュテームは言い放った。やっぱ?と思う俺は呟く。
「俺達もかよ……」
「でもやるしかないよアデュー君。元の世界では車って言うのあったんでしょ?」
「あったけど、運転免許は無いぜ?あのゴーカートぐらいなら何とかなるかも知れんがな」
カオリの問いに答えると、魔法で愛車のゴーカートのエンジンを吹かせるジュテームは、
「神の失敗は勇者が拭う。それがダンポコワールドなのだろう?」
「その通りだ。俺が全部何とかしてやるよ」
「俺が勝ったら、せめてミーナだけは解放してくれよ?」
「そんなヌルい契約じゃなくていい。僕に勝てば神幼女ゴッドの存在も認めてやろうぞ。ぽぽぽ!」
「言うねぇジュテーム。さーて、ゴーカート勝負だ!」
ゴーカート対決が開始される事になったぜ。
すると、今度は新しいゴーカートが用意された。この形は……!
「……二人乗りか。これは相棒を乗せて走れって事だなジュテーム?」
「そう。これは二人乗りで一人が運転し、後ろの一人が魔法で相手を攻撃したりサポートする勝負。あくまでゴーカート勝負だから早くゴールしなくちゃならないけど、後ろの人間のサポートも必要。どちらが運転するかは自由よ。こっちはモチロン僕が運転するけど」
「こっちも俺が運転する。やってやるぜ!」
カオリが後ろの席で援護してもらう事にした。ジュテームはミーナを後方に乗せて援護させるようだ。さて、勝負開始と行くか。
俺達はゴーカートに乗り込み、スタート信号機のテンカウントからの合図を待つ。
一つ、一つスタート信号機のレッドランプが消えて行く。
(結構緊張感あるな。今回は俺の魔力での運転と、後ろのカオリの援護の合わせ技が必要だ。上手く行くといいがな……)
後部座席のカオリは、片手を前のシートの背中において立っている。座ってたら相手の攻撃などに反応しずらいからだそうだ。
隣のゴーカートでスタート合図を待つジュテームは鼻歌さえ歌うけど、後ろのミーナは意識を失った傀儡状態だから黙ってる。
(どこかで意識を取り戻せば何とかなりそうだが……って、もうスタートだな)
最後のレッドランプが消え、ブルーのランプが点滅し消える瞬間ーー隣のジュテームのゴーカートが爆発的な加速で発進した!
「スタートダッシュだと!?」
「ぽぽぽ!誰もスタートダッシュをしてはいけないとは言ってないぞ?」
「くそっ!」
完全にスタートのタイミングをズラされた俺達は遅れてスタートした。
まさか初っ端から面白い事をしてくれるとはな。けどまだ勝負はこらからだ!一気に前のジュテーム号に追いつく為に加速をかけるが、ジュテームチームのミーナはバナナを地面にばら撒いた。
「おそらくバナナ爆弾だろ。しっかり掴まってろカオリ!回避する!」
「いえ、私が魔法で壊すわ。回避してたら距離が縮まらないから加速してアデュー君!」
爆炎の中を突破した。
多少ゴーカートの前面に細かい傷がついたが問題ねぇ!
ゴーカートに直撃させる攻撃をすると見せかけて、カオリは左に魔法攻撃をした。それにより、たまたま左にハンドルを切ってたジュテーム号に直撃する事になっていた。やるなカオリ!
「よし!かわいそうだがミーナとジュテーム号にダメージを与えられたぜ。このまま追いついてやる!」
ブオオオオッ!とラストスパートをかけるように俺はゴーカートに魔力を注ぎ込んだ。
「とうとう追いついたぜジュテーム。こっから残り半分の勝負だ」
「勝負になるかはわからないよ。まだまだこっちは余力があるからね」
「そうかな?同じぐらいにしか思えねーがな」
「そう思うならそうでいいよ。僕に勝てるならばね」
「へっ、俺のゲームで培ったスーパードリフト走行を見せてやる!」
ズバー!とゲームで鍛えたドリフト走行でジュテーム号の前に行く。カーブが多いコースになってるからミーナも攻撃しずらいのか止まったままだ。これなら行けるぜ!
「このままドリフト走行してれば差は広がる。後ろは任せたぜカオリ」
「あいよ!」
何も言わないジュテームを不気味に思いつつも、俺はドリフト走行でカーブゾーン最後のカーブを曲がるーーが、カーブを曲がったローションの池が広がっていた!
「目の前にローション池があるぞ!」
「え!?マジ!?」
目の前に広がるローション池に俺達は絶句する。そして後方でそれを見るジュテームは、
「ゴッドの時もトラップはあっただろうに。調子に乗るからそういう目に合うのだ。ぽぽぽ!」
『うわーーー!』
そのローション池にゴーカートのタイヤははまり回転したままコースの壁に突っ込んでクラッシュしてしまったぜ。
特に大きなケガは無くゴーカートから脱出する俺達は先を走るジュテームに歯ぎしりした。
半壊するゴーカートを眺め俺は呟く。
「……まいったな。これじゃあ勝負にならん」
「まだ、勝負は出来るわよアデュー君」
「?」
そうい言うカオリは、半壊したゴーカートに魔力を注ぎ込み何かをし出した。みるみる内に半壊したゴーカートは変形して行く……。
「元々アデュー君の魔力が残っていたからそれを利用したの。これは二人乗りとしては厳しいけど、走れるだけマシでしょ?」
「おう!ありがとうカオリ!これでまだ勝負は終わってないぜ!」
壊れたゴーカートを足こぎ式にすしてくれた。
スゲー地道なレースになるけど、これなら走れるしまだやれるはずだ。俺達は二人乗りの特性を生かして二人で自転車のようにゴーカートをこいだ。後ろを振り返るジュテームは唖然とした顔で言った。
「足コキだと!」
「足こぎだ!」
そのジュテームの驚きからか後ろのミーナは止まったままだ。ラッキーだぜ。このまま一気に追い抜いてやる!
何とかジュテーム号の真後ろまで追いついたが、ここからが問題だ。こっちにはもう余力がねーからな。だからーー。
「こっちはもうコントロールがきかねえ。だから突っ込んじまえ!」
ミーナの魔法攻撃を無視するように突っ込んだ!ゴーカートはまた半壊しそうになるが、そのまま前を走るジュテーム号を追突して押し出した!上手く右側だけに突っ込んだから回転してやがるぜ。それに後ろのミーナが前のジュテームに頭突きをする形になって、悶絶してる。
「アデュー!やってくれたな!……」
「それはお互い様だぜ!これがラストランだ!」
回転するジュテーム号と、一直線の弾丸になるアデュー号はゴールラインに向けて加速する。そしてーー勝負の結果が決まった。
『!?』
ジュテーム号が先にゴールラインを超えた。
敗北してしまう俺達はゴーカートを降りて、敗戦の悔しさを思いうなだれた。
そして勝者であるジュテームは何故かミーナの意識を取り戻させる魔法をかけて、俺達に話しかける。
「いい勝負だった。ゴーカートが半壊してもそれを直してまた戦う姿には敬意を表するぞ。僕もアレには驚いたよ」
「けど、負けは負けだ。ミーナの意識を取り戻させる魔法をかけたのは、その敬意ってヤツか?」
そう言う俺の言葉にジュテームは意外な言葉を語る。
「あの間、僕は運転をしていなかった……まさかミーナの石頭で意識を失うとはゴーカーター失格だ。ここは負けを認めよう。ぽぽぽ!」
『へ?』
と、俺とカオリは同じリアクションをした。
何とかゴーカート勝負に勝ったぜ。
そして、ミーナも自分の意識を取り戻して子供化してる事に驚いていた。
うん、そりゃ驚くよな。
「ゴッドのせいでここに来たみたいだけど、ゴッドはベンチで寝てるわよ?あの様子じゃゴーカートレースも見てないでしょ?」
ミーナの言葉に俺達は驚く。




