巨大化したシャオリン
俺の目にデカデカと映ったシャオリンを見て飛び上がった。こりゃ、特撮の怪獣そのものだぜ!
こりゃ、俺も巨大化するしかないか?でも今はダイエット魔法しか作って無かったな……くそ!
すると、バナナ魔王ミーナも外に出て来てたから合流する。
「おうミーナ。あれは白米怪獣のシャオリンだ。とりあえずアイツは怪獣だが、カオリの兄貴に暴走させられてるだけなんだ……」
「用は、仲間でしょ?なら助けるしかないでしょ」
「ああ、分かってるか。流石はミーナ。頼りになるぜ。だが、今の状況では近づきようもない……!」
自分を魔法で攻撃するキャンディ王国騎士団に目をつけたシャオリンは、その魔法部隊と戦いを繰り広げていた。ブオオオオッ!と火をはき、魔法部隊を焼き尽くしていく。
「こりゃ、早く解決しないと城下町だけじゃなく城も燃え尽きるな。行くぜミーナ!って、何で赤面してる?炎の余波か?」
「アンタが頼りにとか言うから……ってどうでもいいわ。行くわよ!」
俺とミーナは駆ける。
(どっかでケンジの野郎もこの状況を見物しながら新しい研究成果として見てやがるんだろ。アイツはそういう奴だからな)
魔法部隊は城下町の防御に専念して、攻撃は仕掛けるなと命令した。今のシャオリンに刺激を与えるのは火に油を注ぐだけだぜ。
「どうするの?言葉が通じないなら説得は不可能よ?」
「……確かに、今の状況じゃ手の出しようも無い。どうすれば……!」
俺は巨大化出来ねーし、力ずくで倒してもその後が問題だ。カオリの奴、一体何をやっている
「アデュー、何故シャオリンは突然巨大化したの?ずっと小型だったんでしょ?」
「見る限りは、ストレスだな」
「ストレス?」
「そう、ストレスだ。あの怪獣はウチで飼われてからは一度も巨大化していない。だが、キャンディ王国地下研究所にいた頃は毎日のように巨大化していたらしい。この結果は導き出される答えは、ストレス以外考えられない」
ミーナは俺の言葉を聞き、シャオリンを見つめた。
「でも、シャオリンはすでに自我を失った破壊神のような状態よ。説得は厳しいわよアデュー」
「だけど、シャオリンを見捨てる訳には……」
唇を噛みしめ、俺は城下町を破壊するシャオリンを見つめる。すると、シャオリンの産みの親であるケンジが駆け込んで来た。
「カオリはいないのか! まだ、巨大化するなんて、レポートの結果と違うじゃないか! あの怪獣を調べようとすぐに実験を初めようと思ったら、急に巨大化して研究所を逃亡したんだよ。騒ぎが大きくなってしまったから今は魔法騎士団が動いている状況さ。いやぁ、困った白米怪獣だよ」
笑うケンジがそう言うと、更にシャオリンは炎を一閃し、山を焼き尽くす。
「ケンジ!お前わざと暴走させてるだろ!ストレスを与えて!」
「シャオリンは一時間に一回何かを食べないとストレスを感じるのさ。それがダイエットの本能を逆撫でし、巨大化する」
「お前は後でぶっ飛ばす。……くそっ、何か手はないのか!」
「何故シャオリンが高位魔法が通じない?当然だ、マジックウィザードは魔法と科学を最大限引き出せる禁呪。故に科学の薬物汚染、魔法の精神汚染。この二つが融合していれば貴様等のチンケな魔法などは無効だ。ハハハッ!」
「野郎!」
「アイツは科学と魔法の長所を最大限利用してる。だから高位魔法でもほぼ無効だ。やってくれるぜマジックウィザード……」
装女学園のヒビキが使ってたマジックサイエンスとは一味違うな。だが、負けるわけにはいかねーよ!
「皆はケンジの動きを止めてくれ。どんだけマジックウィザードが優秀でも、多数の魔法が重なれば影響は必ず受ける。その間に、俺はシャオリンを引きつけるーー」
『わかったわ!』
俺の作戦を知ったケンジが縦横無尽に動いてやがるから、皆の魔法は当たらない。けど、それだけで十分だ。ケンジの動きが回避に専念されてれば薬物・精神汚染の影響は和らぐはず……。
「!何だ!」
突如、俺達の頭上が暗くなり、キャンディ王国の上空に白い城が現れた。そして、ペガサスに乗った白髪の女が颯爽と降りてくる。立ち尽くす俺達の前に、神の妹ポッドが現れた。
「……皆、この非常事態に何をボサッとしているんだい? 仲間を助けるには動くしかないだろう。何故それをしない!」
『ポッド!』
驚いた俺達はポッドに駆け寄る。
俺は不敵に笑っているケンジに、
「ケンジ。人と人の絆というものを今から見せてあげるぜ。その過程で何か感じられる事があれば、シャオリンをモルモットとして使う事は辞めてもらうぜ。では、艶色に御覧あれ」
そう言うと俺は、ミーナ達に激しく指示を出して、シャオリン救出作戦を開始した。
※
ポッド達はビューティフル城を巧みに操り、シャオリンのメギドファイアーをかわす。
「ぐぎぎっ……! 一発も食らうなよ!修理代は無いんだからな!」
『イエッサーッ!』
ポッドの声に部下の女が反応する。
の面々は上手くシャオリンの注意を引き付ける。その隙に、俺とミーナはペガサスに乗り、シャオリンの背後に回る。
「アデュー!ビューティフル城が!」
「直撃か!?」
とうとうシャオリンのメギドファイアーの直撃を浴びた城は、炎を上げつつ山に落下していく。
「……ポッドよ、後で埋め合わせはする。よし、シャオリンの口に〈火出ない粉〉を投げ込め!火事専用の火消し粉だぜ!」
「了解!」
俺とミーナはシャオリンのメギドファイアー封印粉・火出ない粉の袋を口の中に投げ込んだ。
「ニャーー? ニャーー?」
シャオリンは自分のファイアーが出なくなった事に驚いている。
「――おっと!」
火が出ないだけでパワーは健在なので、腕を振り回し俺に襲いかかった。ズドン!とキャンディ王国の裏山に大穴が空いた!
シャオリンは火出ない粉のファイアーが出ないストレスによって、パワーが更に向上していやがるな……。
「……うーん、やれやれ。更に不味い事になったぜ。次の一手は間に合うか……?」
と考えた瞬間――!
突如、シャオリンの動きが止まった。
「待たせたな、アデュー!」
「つまらん事で借りだしおって! それなりの代価は戴くからな!デートはしてもらうぞアデュー!」
何と!ヒビキとソルジャーレッドが現れた。
つまり装女学園の連中が助けに来た。
装女学園の面々は、シャオリンを使いファイの動きを封じる。確かにコイツ等なら元は男だからパワーは凄い。常に鍛えてるし、魔法だけで対抗しなくてもよくなったぜ!ペガサスを駆り、一気に飛翔した。
そして、俺は動きが封じられたシャオリンの眼前に現れ、説得を開始した。




