魔王神の腹心・ユイ再登場
カオリとミーナが魔力吸収される儀式へ向かう為に、俺とゴッドはひたすら上の階層を目指し進む。途中で現れるモンスターやトラップを攻略しつつ、急がないとならない。
サターンは明日だと言ってたが、実際はいつ始まるかはわからない。そんな焦燥に駆られながらも階層のモンスターを突破し、魔王神サターンのいる最上階へ向かう。
すると、とある階層で多くの少女達が倒れているのを発見した。
「おいゴッド!これはキャンディ王国から連れ去られた女達じゃねーか?」
「そうじゃな。とりあえず助けようぞ」
「おうよ」
兎にも角にも、広いフロアにたくさん倒れている少女達を快方する事にした。
「……」
見たところ生命活動には問題は無いが、ほとんどの少女は話を出来ないほどに疲れきってる……。潜在する魔力を全て吸い取られた事と、女の特徴の一つのオッパイがペタンコになった精神的ショックが原因だろうな。
「ここの女達は魔力を吸われちまってるみたいだ……全員オッパイがペタンコになってやがる……」
「とにかく今は出来る事はしたぞえ。この女達はここで休んでいてもらって、ワシ等は最上階を早く目指そうぞ!」
「そうだな!みんな、ここで休んでいてくれ!お前達のオッパイは勇者アデューが必ず取り戻す!」
『……お願い致します。勇者アデュー』
と、床に横になる少女達から返事があった。
今はゆっくり休んでろ。
必ずお前達のオッパイは俺が取り戻す!
スタタタッ!と俺とゴッドは更に上の階層へ進む。おそらく中階層であろう場所まで来た。何かここは今までの場所と少し違うな……。そこそこ広いフロアの奥には門のような扉があり、中央には一つの机の上にアイスクリームが五個置いてあった。何でアイスがあるんだ?休憩ポイントなのかここは?
すぐにその五色の色彩と味のアイスクリームにゴッドは白い髪を逆立たせ飛びついた。
「アイスが五個置かれてるぞぇ?ラッキー!」
「何か変な置き方だな……普通に横に並べりゃいいのに何で五亡星のように置いてあるんだ?」
ゴッドはアイスをペロペロ舐め出した。
美味そうだな。
俺も一つ食うとするか。
……五亡星?
五亡星は確か魔方陣の……!
「ーーゴッド!それは五亡星の結界だ!」
「五亡星は魔方陣の事じゃな。でも今は関係ないじゃろ。のほほ!」
「そのアイスの並べ方が五亡星なんだよ!早くそこから離れろ!その場所は罠だーー」
「罠?のほーー」
シュン!とゴッドは五亡星の輝きと共に消えた。やられた!これは完全な罠だったんだ!
まさかこんな単純なトラップを仕掛けてくるとはな……やってくれるぜ。
すると、ゴゴゴ……と奥の門が勝手に開いて行き、見覚えのある少女が姿を現した。
この女はーーユイだ。
その魔王神の腹心で俺に負けて子豚の姿を晒していたはずのユイは言う。
「もうゴッドは最上階に送ったわよ。神の魔力も吸収すればお姉様は無敵になる!」
「お前は子豚のままじゃなかったのか?もう人間の姿に戻れるとはな」
「お前達も入浴していた大入浴場の魔力効果とサターン様の魔力で一気にここまで回復したのよ。サターン様の手を煩わせたお前は許さないわアデュー」
「そうかい、そうかい。通行手形としてこのタワーに侵入出来た事は感謝するぜユイ」
ゴッドはユイの罠で最上階へ消えちまった。
けど、まだ大丈夫だろ。
儀式が本当に始まればこのユイも必要とされるはずだ。じゃなきゃこんなに早くユイを復活させる必要は無いからな。
勇者が自分のテリトリーに侵入してる状況で自分の魔力を消費するのは不都合なはずだ。そしてイニチアシブを取って図に乗るユイはブヒブヒと鼻を鳴らし言う。せめて人間の時はそのクセやめろ。
「途中からサターン様が私の本体である子豚を手放している事に気付いていなかったようね。あの湯で私は人間体まで回復したのよ……これで復讐を行えるわ。勇者アデュー」
そのユイの背後には十字架に吊られたバナナ魔王ミーナがいた。すでに気を失っているらしく自慢の金髪ツインテールもしょんぼりと垂れ下がり、ゴスロリ服には傷もある。おそらくミーナは最後まで抵抗したんだろうな……あいつはそういう強い心を持った女だ。
「ミーナを人質に取りやがったか……やってくれるじゃねーかユイ」
「貴方だって私を人質にしてこのタワーに侵入したじゃない。おあいこよ」




