サターンの間へ乗り込むアデュー
「うっし、大食い勝負でも戦闘でも勝った。これでユイの心は折れたはずだ。だからこの勇者アデューの言う事を聞いてもらうぜ!」
「……ぐうぅ!ブヒー!」
『ブヒー!』
と、俺とゴッドは同じリアクションをした。
ドロンッ!と忍者が変身したようにユイは爆発した。まさかコイツ……変身しやがったのか!?
「下がってろゴッド!コイツ変身した可能性がある……って何で爆発に飛び込む!?」
何とゴッドの野郎はユイが変身したかもしれない爆発に飛び込んだ!
「のほほ!コイツはワシが食ってええかのぅ?お!逃げるな子豚よ!」
「……ぶ、豚?」
ユイが変身したような爆発の後から一匹の子豚が現れた。マジか……元は豚かい。
どうやら豚を魔法で人間に変化させていたようだな。丁度いいぜ……。
「コイツを人質にしてセントラルタワーに乗り込むか」
「のほほ!人質として使ったらマズくないか?」
「通行手形として使うんだよ」
そんなこんなで、俺とゴッドは堂々と魔王神サターンのいるセントラルタワーに入る事になった。のほほ!
魔王神タワーへ入る事にした俺達は堂々と魔王神タワーの正門に向かって歩いて行く。
にしても高いな……元の世界のみなとみらいにあるランドマークタワーぐらい高いんじゃねーか?見上げてると、首が疲れるぜ。
「ここまで来るともう通行人は減るな。油断するなよゴッド」
「のほほ!ワシは神ぞぇ?なので油断など……ほげぇ!?」
「油断して転んだな……」
とりあえず膝を擦りむくゴッドの手当てをして、正門に向き直る。
すると、タワーの正門を警戒してる魔王神サターンの部下達は俺に気付いた。けど、胸に抱えてる子豚を見て動きは止まる。
フッと笑う俺はゴッドと共に正門付近まで進み立ち止まった。
「たのもー!勇者アデューが魔王神サターンに会いに来た!」
「のほほーん!会いに来たのじゃ!」
と、ゴッドまでもが名乗りを上げた。
何でお前が名乗りを上げるんだ?
俺の後ろに隠れて言いやがってからに。
ま、それはいいとして……。
正門が開き、奥から魔王神サターンの世話係をする侍従長の女が現れた。
「お通り下さい勇者アデュー。魔王神サターン様がお待ちです」
その視線は俺に向く前に手で抱える子豚に向けられたのを見逃さなかった。
「センキュー。案内頼むぜ」
「むぜ!」
「お前は黙ってろ」
軽くチョップしてゴッドを戒めた。
するとウルウルと泣くフリをして俺を攻撃してくる。
かわいい奴だぜゴッドは。
「やっぱ簡単に入れたな。この子豚の通行手形はサターンと会う時にもかなり使えるぜ」
「人質作戦か。勇者らしくないのぅ」
「知ってるさ。さて、マジックエレベーターに乗ってヤッコさんに会うぜ」
そして俺達はタワーのマジックエレベーターに乗せられ魔王神の間に案内された。
魔王神サターンの間。
そこは絢爛豪華な豚の彫刻や装飾品が飾られたサターンに相応しい王の間だ。王の玉座にはマント付き水色セーラー服を着た魔王神サターンが足を組んで座り、その左右には五人ずつ水色のメイド服を着た侍従の少女達が存在した。
王の玉座の豚マークが何か感にさわるな。
確かにこの世界の豚は美味いが、いい加減ウンザリしてきたぜ。
(魔王神の佇まいか。仰々しいこったぜ……)
と思いながら俺はサターンの近くまで進む。
のほほ!と笑いながらゴッドは俺の制服の裾をつかみつつ背後を歩く。そして、侍従達にそこで止まれと指示され止まる。全員の目が俺達に注がれてやがる……いいプレッシャーだぜ。
子豚になるサターンの腹心・ユイを抱える俺は言う。
「よぅサターン。久しぶりじゃねーか」
人質の子豚になるユイを連れて入る事で、魔王神の間まで戦闘無しで侵入出来た。それに気付く侍従達は殺気に満ちてるが、今は何も出来ねーぞ。
けど、本当に殺気立ってんのはサターンだ。
奴はさっきから殺気の一欠片すら感じさせねぇのがスゲーぜ……。
やや、顔が引きつる魔王神サターンは王の玉座に座りながら言う。
「ブヒブヒ。ようこそ魔王神サターンの間へ。まさかこんなにも早く、そして堂々と入って来るとは思わなかったわよ……」
腹心が元の姿にされても、まだブヒブヒ言ってるなんて余裕だな。流石は魔王の中の神だぜ。こうなると意地の張り合いになる。けどこれはニートの俺からすると面倒だ。
なら、次の俺の一手はこうだ。
「人質は返すぜ。もう、堂々と俺がこのタワーに入った事実は消せないからな」
「……いい心がけだわ。流石は正義の使徒・勇者ね」
そして子豚のユイはサターンに渡る。
侍従達もざわつく中、いいのか?と聞くゴッドをあやしながら俺はサターンに言う。
「その子豚の件だが、魔力を注げばまたユイに戻るのか?」
「そうだよ……すぐに元に戻す。待ってるんだよユイ」
「それより、俺達の歓迎をしてくれよ。わざわざ腹を減らして来てるんだぜ?」
「次元の狭間に堕落しろ」
『ーー!』
殺気立つサターンに、周りの侍従達は息を飲んでやがる。
……ったく、マジになりやがって。
そんなに腹心が大事ならこのタワーの中から出すんじゃねーよ。つーかゴッドの奴少し漏らしてんな。
「漏らすならパンツはけよ。パンツはけば少し漏れても問題無いだろ」
「気にするなアデュー。サターンが立ち上がったぞぇ?」
「ん?」
バッ!とマントとスカートをひるがえしてサターンは玉座から立ち上がり、侍従達はひざまずく。……侍従達は下見てるからわからないだろうけど、スカートまでひるがえすとパンツ丸見えだけどな……水色のフリフリレースのパンツの柄は完全記憶したぜ!ひーはー!
「では、君達ももてなしてやろうではないか。侍従達よ、ブヒブヒ」
『ブヒブヒ!』
と、侍従達は返事をした。
ブヒブヒってどんな言葉だよ?
ま、そんなこんなで宴会場に通された。




