続大食い勝負
二番勝負はなんだろーな?
実際、結構腹がいっぱいになっちまってる……初戦に勝って二戦目は捨てようとしてた作戦が裏目に出たな。
すると、厨房からサチがロリロリと大きな皿を抱えて歩いて来た。そしてその大皿をドカン!とテーブルの上に置く。
「餃子食わんかいワレぇ!」
大量の焼き餃子が皿に盛られ出てきた。
うーん……美味そうだがどれだけ戦えるかだな。そして白いワンピースをチャーハンで汚すゴッドは一つ盗み食いをしたのをサチに怒られつつ、二番勝負の開始を宣言した。
「二番勝負、餃子対決!始まりじゃ!のほほ!」
『のほほ!』
箸を同時に持つ俺とユイは、獰猛な狼のように十ずつに分けられた皿に襲いかかる。
こいつは美味い焼き餃子だ。
細かく刻んだキャベツと豚肉がつまったジューシーな餃子だ。キャベツの甘みと豚肉の脂が絶妙に絡み合い、皮のおコゲが更に食欲をかき立てやがるな。おかわりの仕分けをするゴッドが何か言ってるな。
「餃子も美味いのぅ……アイス餃子とか作ってくれんかのぅ……」
とブツブツ独り言を言いながらゴッドは俺とユイのおかわりを手早く仕分けつつ、メッチャ食ってる。……やっぱりコイツと交代してもらおうかな?
「さっきの勢いが無いぞ勇者アデュー?もう降参した方がいいんじゃないか?ここで負ければお前の敗北。もう二度とこの魔王神ワールドに来ないなら今回の事は不問にしてやるわよ?」
「バカ言ってんじゃねーよ。最後に必ず勝つのが勇者だぜ!」
水が入るボールに焼かれた餃子を浸し、俺は言う。冷ややかな目をするユイは俺の言葉を聞いた。
「焼き餃子を食うのが苦しければ、飲むように食える水餃子にすればいいさ」
そうだ……この作戦ならまだ挽回するチャンスは……。フフッと笑うユイは、
「焼き餃子と水餃子は根本的に違うのよ?水に浸しただけて水餃子になると思うの?」
「くっ!黙れよ!うおおおおおっ!」
フルパワーを出すが、タイムアップになった。くそ!餃子勝負でも負けた……。
けど三番勝負だ。
でも、次で勝てばいいと言いくるめてやる。
何せ俺はいい作戦を思いついた。
コレを使えばユイは必ず俺の言葉を聞く。
「ラスト勝負だ……この世界の秘宝・チェリーボールをかけるからハンデをくれ!」
「……この魔王神ワールドにある伝説のチェリーボールか!いいだろう……最後の勝利者こそがこの大食いバトルの勝者よ!」
そうこなくっちゃな!
ま、これは俺が勝てる勝負だ。
もう、この大食いバトルの流れは読めたぜ。
ん?どうやら次は豚マン勝負らしい。
ロリロリしながらサチが厨房から豚マンの乗る大皿を持って来やがったぜ。
「さ、三番勝負は……」
何か知らんがサチはもじもじしながら言う。
もじもじ君かお前は……!?
瞬間、俺達の心はロリロリ店主にときめいた!
「豚マン……食べてね!」
『えー!?』
スザー!と俺達は転ぶ。
あれだけコワモテな感じで料理を渡してきといて最後にそんな風にロリ声で来られると、男は落ちるな……これがこのサチの作戦か?ま、それはいいとして豚マン勝負に勝ち、この勝負の全てに勝つ!そしてゴッドは最後の掛け声をかけた。
「大食いバトル三番勝負のラスト!この魔王神ワールドの名産品の豚マン勝負じゃ!各々、悔いの無いように心してかかるのじゃ!のほほ!」
『のほほ!』
ガッ!と勢いに乗る俺とユイの最終決戦が始まる!これでラストだ……勝つ事だけを考えてやってやるぜ!
「うおおおおおっ!」
「はあああああっ!」
くっ……ユイのペースはここまで来ても落ちやしねぇ……とんでもねー野郎だぜ。けど、俺には最強の作戦がある。
(ニートの俺を思い出せ……!やる気の無い……ダラダラしたニートの俺を思い出せ……!)
ちーん……とニートモードになった。
黄色いオーラが俺を包み込んで、やがて消えた。戦闘モードじゃないからオーラは消えるのだ。豚マンを食う手が止まる隣のユイに俺は言う。
「これは魔法でも何でもない自然な形態だからドーピングでも卑怯な手でもない」
「そんなダラダラしたニートで勝てると思うのか勇者アデュー!」
「勝てるよーだ。ダリィ」
横になりながら、鼻くそをほじり食いだす。
そ、ニートなんてこんなもんだ。
マジで大食いバトルで必死こいて戦うとかありえねー。
「……つか眠い」
「貴様!ふざけるなよ!」
明らかにユイは戦意を削がれ、俺のユルユルペースにのまれた。……よし、今がオープンゲットチートだぜ!チャラチャチャチャチャ、チャラチャチャチャチャ、ラン!チャラララン!チャララン!チャララ、チャ!チャ!チャ!チャ!
「チェンジチート!スイッチオン!」
『!?』
のほほ!とゴッドは驚いてやがる。
いや、それ以上に隣のユイが驚愕してるぜ。
まるで元は憂鬱な女のような驚愕ぶりだ。
そんな事は知らん!と一気にチートモードで攻め立てる!
時間は確実に過ぎていく……勢いのある者と勢いの無くなった者の勝敗はついた。そして審判の神幼女は宣言する。
「百対九十九で、勇者アデューの勇者……じゃなくて優者じゃ!のほほ!」
「よっしゃー!勝ったぞ!」
勝った!最後の勝利者こそが真の勝者なのだ!ひーはー!
と、浮かれてばかりもいられねぇ。
ユイの様子がおかしいからな……。
「こんなのはあり得ない……私は先に二勝して終わったんだ……私はお前にチャンスを与えたんだぞ勇者アデュー!」
「いいぜ。俺もチャンスもらったし。そんなに戦いたいなら戦闘で勝負だ!」
ザッ!と俺達は外に出た。
もう一撃で終わらせる。
商店街の連中に被害云々もあるが、ぶっちゃけ食い過ぎで吐きそうだ……。
それに気付くゴッドは俺のワキをつついて来る。
「のほほ!気張れよアデュー」
「うっ……吐きそう。お前、後で頭グリグリしてやるからな?」
「ほげぇ!?やめてケロ!ゲロ!」
そして俺はゴッドのワキをくすぐり、ユイと対峙する。
「来いや魔王神サターンの腹心・ユイ!」
「言われなくともーー」
『!?』
開始早々、事件が起こった。
ユイは食った勢いで戦ったのが良くなかったのか、今まで食べた物を吐き出した……!
ゴッドは逃げるようにその場を去り、俺はやれやれという顔をした。
「くっくっくっ……計画通り……!じゃねーなこればっかりは……大丈夫かユイ?ってダメだなこりゃ」
そんなこんなで、普通の戦闘でも一応勝利した。
艶色にアデュー!




