19.報復
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どうやらハコスたちは拠点の一つに侵入してきたようだわ。
契約書の写真と腕輪しか手に入れられなかったようだけれど、それで十分。
マフィアとの関係の裏どりをして、契約書を使えば叔父を追いつめられる。
それに、この購入履歴……
何種類かの薬物がうちの子会社名義で購入されている。
この会社は叔父の息がかかっていたはず、品を抑えれば決定的な証拠になるわ。
ハコスたちに指示を、と思った時スマホが光る。
あら、どうやら前回の侵入時に能力を使ってしまったようね、髪を伸ばす時間が必要と……
せっかくの共犯者を使いつぶすのも忍びないわね。ここはわたくしが動きましょう。
「ゾフィー、BB商事に行くわ」
「は、車を用意いたします」
部屋を出ていくゾフィーの背を見送り、顔を伏せる。
いけない。復讐の完了が近くなるにつれて、表情を取り繕うのが難しくなってる。
彼女が戻ってくる前に、いつもの顔に戻らなきゃ。
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BB商事につくと、オフィスで何やら社員がざわついていた。
一体どうしたのかしら……
「おい、社長室にウォーデン会長が来てるってマジか」
「なんだかとっても荒れてるみたい」
「うちの社長と二人だけで……って何やってるのかしら」
叔父がBB社長と揉めているらしい。まずい、出遅れましたわ……!証拠を処分される前に抑えなければ!
急いで社長室のドアを開ける。
「~~~!!くそっ!帳簿が消えただと!!やはりマフィアのドブネズミと組んだのが間違いだった!!」
「落ち着いてください総帥、いまからアレを処分することはできないのですか!?」
「プロジェクト凍結の指示は出した、しかし既に完成した物のいくつかがあいつらの手にある……!」
「話は聞かせていただきました」
部屋に突入し、奴の首を取るべく、言及を始める……!
「エラ……どうしてここに、それより聞いていたのか?」
「叔父様、いやウォーデン……言質をつりましたわ。やはりドッドファミリーとつながっていたようね」
醜く顔を歪めた叔父が唾を吐き散らかすようにして吠える。
「そうか……っ!お前がやったのかっ!帳簿もファビュラスマンを嗾けたのも!お前が!!」
身に覚えのない謂れです。しかし、叔父が激高しているのは好都合、このままやつの口を滑らせるために、意味深な笑みを浮かべるのみで明言は致しませんわ。
「何のことかしら?ずいぶんと気が立ってらっしゃるようね。そちらの顔のほうがお似合いですわ」
「あぁぁぁ!!お前らは親子そろって私の邪魔をする!!ヒューズのやつもそうだった……!」
父上が?叔父の邪魔をしたと……あくどいことを企んでいたのは過去にもあったようですわね。
しかし、そんな話は聞いたことがありません……
ポーカーフェイスを忘れて、考えている間にも叔父は止まらない。
「私が育毛剤を作成しようとした時も、口座を差し止め私の前に勝ち誇った顔で現れた!今のお前のようにな!あの顔が、奴のすべてが許せなかった……!だから、お前の母親を殺してやったのさ!!」
全身の血の気が引くのを感じた。母は殺された……?目の前の男に……?
知らず知らず奥歯を噛みしめていたのか、次の言葉が出ませんでした。
そんなわたくしに、叔父は下卑た笑みを浮かべて続けます。
「簡単だったよ。借金で首の回らない奴に車で突っ込ませただけだ!あの女が死んで、お前の親父は見る影もないほどに憔悴した!最高の気分だったよ……!」
「そのあとに、慰めだと毒入りの酒を飲ませたら、あっという間に病院で寝たきりになりやがった!!!バカだよなぁ!私に黙って従っていればよかったんだよ!」
「それに、お前の父親が隠していたことも、大したことはないゴミみたいなもんだったぜ!?知りたいかぁ?なぁエラ!?」
怒りと悲しみで、目に涙が溜まるのを堪えられませんでした。
憎い、目の前の男が……
殺す……!
殺意で目の前が真っ赤になる。
大口を開けて高笑いする醜悪な男を、お母様を亡き者とし、お父様を病床に伏せさせたこいつを……!
会社を取り戻すとか、お父様の品位を取り戻すとか、そんなものが一瞬だけ脳裏によぎる。
それを衝動で押しつぶし、能力を発動しようと意識したとき、叔父の胸から黒い刃が生えた。
「なん……ごふっ……がっ、ぎ、きさま……裏切った、のか……」
「汚い口を閉じろ下種が」
黒い刃が引き抜かれ、叔父の体がカーペットに沈む。
そこに立っていたのは、頭髪が刃のように変化したゾフィーだった。




