表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

12.合流

暇だ。

病院なんてガキの頃以来だけど、こんなに何もないところだったか……?


スティンキーの容態は見た目の割に、命に別状は無いそうだった。

ただ、左頬から耳の上の側頭部当たりにかけての火傷が酷く、その部分に髪が生えることは無いそうだ。

丁度そこにあった三本の刈込線は綺麗になくなってしまった。


ぼーっと窓の外を眺めていると、布団が動く音がした。


「よぉスティンキー、ずいぶん色気増したな?調子はどうだ?」

「よぉジョークボーイ、二日酔いと高熱と賢者タイムが同時に来てるみたいに絶好調だぜ」


包帯まみれの顔で、自身の体の調子を確かめるように肩を回す様子をみて、問題ないだろうと判断する。

そんな時、スマホのメロディが鳴る。


「おいおい、病院だぜ?電源切っとけよ」

「わり、ちょい出るわ」


病室を出て、ロビーで電話に出る。


「はいよ、こちらハコス。御用のある方はピーと鳴った後に猫の鳴きまねをして」

「……ミャオ」


可愛らしい雌の猫だった。きっと上流階級のお家に飼われている、毛並みのいい猫だ。


「何をやらせるのよ」


あんまり出たくない電話の時に使うお決まりのセリフなのだが、まともに返してくれるとは……

急な振りに対応してくれたエラは少し不機嫌そうに言った。


「ぁぁ、悪い。今病院でな。長くなる話なら後にしてくれ」

「へぇ?どこかケガでも?」

「いや、知人の付き添いでな。で、配達か?」

「ちょっと違うわ……できれば直接話したいの。どこの病院かしら?」


ふむ、電話じゃ言えない内容。面倒ごとの匂いがプンプンするが、断ると後が怖いのでリンプ診療所にいると告げる。

後で向かうと言って、エラは電話を切った。


スティンキーの病室に戻ると、奴はどこから調達したのかウィスキーの瓶を呷っていた。


「お前それ……俺にもくれよ」

「オイラに飲まれてぇって出てきたのよ。おら吞め」


瓶を受け取り、俺も呷った。


「誰からの電話だったんだ?女か?」

「雇い主だよ。女だ、飛び切り美人のな」


ひゅ~♪と口笛を鳴らすスティンキー。


「ここに来るらしいから、会わせてやるよ」

「おぉ?いいのか?オイラに惚れちまうかもしれないぜ?」

「そうなったらいいな。で、仕事も世話してもらえよ。ここの治療代くらいは稼がせてもらえるはずだ」


ウィスキーを渡しながら、いった内容。

もしそうなったら、俺はお払い箱かもな。


「治療費はツケで頼むぜ。オイラはブライアンの野郎の面を拝みにいかないとな」

「はぁ?あの火の奴か。俺はもう助けないぞ?」

「くはは、俺が生きてると知ったあいつの面。きっと最高に笑えるぜ。それに……」

「それに?」


「オイラはもうドッドファミリーに居られねぇからな。ケジメ付けねぇとな」


本当に楽しみだと言わんばかりのスティンキーに、ドン引きしつつも助けてよかったと思えた。


_______________

交互に瓶を呷っていると、ノックが鳴る。

病室に入ってきたのはエラとお付きのゾフィーだ。


「失礼しま……アルコール消毒は十分になされているみたいね、ハコス」


入るなり顔をしかめたレディに、お小言をいただいてしまった。

3本も瓶を開けたのは、さすがに飲みすぎたか。


「ひゅ~♪マジの美人じゃねぇか!どうだ?今夜空いてるか?」

「寄るな下郎、お嬢様お下がりください!」


「大丈夫よゾフィー……ハコス、こちらの方は?」


う~ん。どう紹介したものか。

元ドッドファミリーとは、言わないほうがいいよなぁ……


「エラ、こいつはスティンキー。あー……ちょっと前まで街を騒がす組織に居たけど、悪い奴じゃない」


「オイラは元ドッドファミリーのスティンキー。よろしくなエラとゾフィー?お嬢様のほうがいいか?」


「エラで結構よ。スティンキー、丁度よかったわ」


どうやら余計な気遣いだったようだ。エラは特に気にした様子はない。

それどころか、丁度いい?


「ハコス、貴方に渡したBOXERに使われている『NHS(ノーヘアシステム)』だけど、計画は最終段階に入ります。具体的には量産の目途がたったの。でも……」


エラがタブレットを取り出して、写真を表示させる。

写真にはオフィスで向かい合うエラの叔父(ウォーデン)とその相手。

秘書を連れた、仕立てのいい黒のスーツの上からでもわかるほどのガタイのいい男。スーツが似合うアップパンクヘアに三本の刈込線を入れている。

おや、この秘書の女どこかで……


「ドッドファミリーの若頭、ダミニクが接触してきたわ」


「ダミニクの若旦那と!?おいおい嬢ちゃん、アンタ何者だよ?」


ひどく驚いた様子のスティンキーに、エラは自身がブレイズカンパニー総帥の娘であると告げた。


「それで、聞きたいんだけど。ダミニクは叔父様に取引を持ち掛けたそうなの、今までマフィアとの接点なんか無かったのに……目的の予想は着くかしら?」


「いや、若旦那はドッドで一番頭のいい策士だからなぁ、オイラじゃあの人の考えは想像もつかねぇ」


「十中八九、NHSだろうな。量産の利権ってとこじゃないか?」


言ってから気が付いたが、街一番の暴力集団が、こんな商談のような場を設けるだろうか……

スティンキーによればダミニクという男は頭脳明晰とのこと、そこまで疑問になることでもないはずなんだが……どうも気になるな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
この作品の主人公はスティンキーだっけ?ww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ