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ヤンデレ幼馴染に監禁されたけど、快適すぎた。  作者: ChaCha


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城下町の散策とギルド。


最新型の認識阻害の魔導具があれば、ひょひょいのひょーい!!


父上が俺のために開発してくれた、ブローチ型の最新魔導具に魔力を通す。


周囲の空間がわずかに歪み、俺の存在が背景へ溶け込んでいく。


そのまま俺は、王国の頑強な城門へと足を進めた。


鋭い槍を携えた門兵たちの目の前を、文字通りスタスタと何のお咎めもなく通り抜ける。


門をくぐり抜けた瞬間、爆発的な熱気とザワザワとした喧騒が肌を刺した。


「すっげぇー……っ!」


思わず、おのぼりさんのように声を漏らして周囲を見上げる。


そこは、魔物の咆哮が飛び交うあの魔の森とはまるで違う、人の声と熱気に満ちた城下町だった。


泥と馬糞の匂い、乾いた埃っぽい空気、そして無数の人間が行き交う足音。


鎧を鳴らす冒険者や、荷馬車を引く商人、洗濯物を干す一般の領民たち。


見るもの感じるものすべてが、前世で本の中でしか知らなかった異国そのもので、まるで海外旅行にでも来たかのような高揚感が胸を突き動かす。


カラカラと小気味良い音を立てて、石畳の道を立派な馬車が駆け抜けていく。


俺は一度、薄暗く人通りのない路地裏へと足を踏み入れ、胸元の魔導具のスイッチを切った。


ふうと息を吐いてから再び大通りへと歩き出し、今度は自然に人の流れに乗って進む。


しばらく歩くと、色とりどりの天幕が並ぶ広大な市場へとたどり着いた。


「へー! 色々売ってるんだな」


「へいらっしゃい! 焼きたてのボア肉の串焼きだよー! 柔らかくてとろける美味さだ!」


「こっちは採れたての野菜だよー! 安いよ安いよー!」


食欲をそそる香ばしい肉の焦げる匂いと、威勢の良い売り子たちの声。

じゅうじゅうと音を立てて脂を滴らせる肉塊を見つめ、俺はポケットの小銭を鳴らした。


「親父、その串焼き三本くれ」


「あいよ、毎度! 熱いから気ィつけな!」


受け取った串から滴る脂が指先を熱くする。


ハフハフと頬張れば、香ばしい肉汁が口いっぱいに広がった。


「うまい!!」


甘いタレが口に馴染む。

……なぜか、知ってる味がする。


あっという間に一本が腹に消えた。


いいね! 楽しい!

買い食いなんて、それこそ前世の学生時代ぶりじゃないか?


ぶらぶらと街を歩きながら、頭の中に叩き込まれている地図のデータと、実際の街並みを脳内で照らし合わせていく。


それにしても、うちの商会が作った地図の正確さには驚くな。


……これなら、もし万が一ここに攻め入る時が来ても、軍を迷わせずに中枢まで通せるな。


ふと物騒な考えが頭をよぎったが、慌てて頭を振って追い払った。


危ない危ない、平和主義で行くんだった。


「よし。次は冒険者ギルドだな」


俺は残りの串焼きを胃袋に収め、意気揚々とギルドの重厚な木製扉を押し開けた。


汗と鉄錆の匂いが漂う、薄暗く広いロビー。

大勢の荒くれ者たちがたむろする中、俺はカウンターへと並び、自分の順番を待った。

小奇麗な制服に身を包んだ受付嬢が、事務的な笑顔を浮かべて俺を招く。


「新規の登録を頼む」


「はい、承知いたしました。発行手数料は銀貨三枚となります。失礼ですが、文字の読み書きはできますか?」


「ああ、問題ない」


「恐れ入ります。ではこちらに必要事項をご記入ください。……アレク様、主格は剣士、年齢は十六歳ですね。……一緒に『預金口座』は開設されますか?」


「預金口座?」


思わぬ現代的な単語に、俺はパチクリと目を瞬かせた。


「はい! 今ならなんと! 新規開設をしていただいた方限定で、もれなく口座に銀貨三枚がボーナスとして付与されます! 実質手数料無料の、大変お得なキャンペーンとなっております!」


「えっ!? 手数料が実質無料になるじゃん! 作るつくる、絶対作る!」


前世で馴染み深い謳い文句に、俺はテンション高めに身を乗り出した。


「金利は月々こちらになりまして……では、こちらにサインをお願いします」


「はいよー」


俺がサラサラと名前を書き終えると、受付嬢がスッとカウンターの上に透明な水晶玉をことりと置いた。


「では、こちらに手を載せてください」


言われた通りに掌を重ねると、ふわっと身体の底から魔力がほんの少しだけ吸い取られる感覚がした。


「はい、ありがとうございます。こちらがアレク様のギルドカードとなります」


差し出されたのは、表面に文字が浮かび上がる金属製の精巧なカードだった。


前世のライトノベルでもあったなー、こういうやつ。魔力認識で本人確認するタイプか。


「へえ、便利だな」


「そうなんです。昔は紙や木札での管理で偽造も多く大変だったのですが、数年前に『リナルシア大商会』が開発された最新の魔導システムのおかげで、一括管理が可能になりまして……」


ドキーーー!!!


俺の心臓が、嫌な音を立てて跳ね上がった。


……リナルシア大商会って、父上と母上の会社じゃねえかッ!?


ふっと、数日前に実家の執務室で小耳に挟んだ、セバスと父上の不穏な会話が脳裏を過ぎる。


『先月のギルド新規登録者の中に、該当者はいなかったようです』


『他の国のギルドはどうだ』


……ゾクリ。


背筋に、冷たい汗が流れ落ちていく。


王国民の冒険者共よ……

お前たちの個人情報、魔王軍にダダ漏れだぞ……!!


引きつりそうになる顔を、必死に普通の笑顔へと固定する。


ということは、これ……俺がこれから受注するクエストの内容から、さっき作った口座の預金残高に至るまで、リアルタイムで両親に丸見えになるシステムってことじゃないか!


「……さすが魔王。いや、うちの親、やることに容赦がない……」


冷や汗を拭いながら、俺はとりあえず依頼書が大量に貼ってある掲示板へと移動した。


なになに……。

街のドブ掃除などのお手伝い系から、薬草の採取クエスト、果ては危険な魔獣討伐まで、実に幅広い。


じっくりと依頼を見定めていると、背後から、ツンと鼻を突く安酒の臭いと共に、ずっしりとした重苦しい足音が近づいてきた。


「おうおう、見ねえ顔だな。新入りか?」


背後を振り向くと、そこにはいかにも「噛ませ犬」といった風貌の、ガラの悪い大柄な冒険者がニヤニヤと下品な笑みを浮かべて立っていた。


きたーー!!

ファンタジーお約束のテンプレ展開ーー!!!


俺は内心でガッツポーズを決めながら、静かに肩を鳴らした。




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