表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤンデレ幼馴染に監禁されたけど、快適すぎた。  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/81

女主人としての初仕事は……。


「リナ! ただいま」


「ルシアン、おかえりなさい!」


玄関の扉が開くや否や、両手を広げているルシアンの胸に勢いよく抱きつく。


すると、待ってましたとばかりに、ルシアンの甘い口付けが雨みたいに降ってきた。


顎をクイッと持ち上げられ、唇に軽く、そして深く……。


ちゅっ。くちゅり。


「はぁ……んっ……」


ちゅ、ちゅちゅっ、んちゅ……ぽんッ!


「る、ルシ……長いわッ!!」


息継ぎの隙に抗議するものの、ルシアンは「まだ足りない」と熱っぽい瞳で私を見つめ、スリスリと首筋に擦り寄ってきた。


「俺が、リナのためにどれだけ外で頑張ってきたか……」


「うっ。す、少しだけだよ!」


ほだされた私が、自分からルシアンの唇へ背伸びをしてキスを返そうとした――その時だった。


(……あれ? ドアの先に、人が……)


「ひゃあああ!!」


「どうした、リナ!?」


私が悲鳴を上げた瞬間、バッとルシアンが警戒態勢に入る。


それと全く同時に、ドアの外に並んでいた『人たち』も、一糸乱れぬ動きで私に背を向け、結界の外(森側)へ向けて完璧な戦闘態勢をとった。


「……え!?」


「……ん?」


緊迫する私に対し、何かを察したルシアンが、喉の奥でククッと笑い出した。


「ル、ルシアン! 人様の前でえちちな事はしちゃダメです!!」


信じられない!

私は人前で、夫の口付けに蕩け切っていた姿を見られてしまったのだ……!


「も、もうお嫁にいけない!!」


私が顔を真っ赤にして叫んだ、次の瞬間。


「…………どういう意味だ」


ゾクリ……。


ルシアンから発せられた、地の底から響くような冷え切った低い声に、全身に鳥肌が立った。


「こ、言葉の綾です! 恥ずかしいって意味です!!」


「……たしかに、リナの蕩けた顔は俺以外に見せるわけにはいかないな」


納得したように頷くルシアンの脇腹に、私は無言で肘鉄をぶち込んだ。


気を取り直して。


「えっと……この度は、わざわざこんな魔の森までお越しいただきありがとうございます」


私は大きなお腹を両手で支えながら、精一杯の笑顔で挨拶をした。


すると、ドアの外で警戒態勢をとっていた人たちが、ザッと一斉に向き直り、地面に膝をついた。


「「「拝謁が叶い、有り難き幸せにございます」」」


全員が揃って深く頭を垂れる。


(な、何これ……! この世界での雇入れ時の挨拶って、これが普通なのかしら?)


戸惑ってチラッとルシアンを見ると、彼はものすごいドヤ顔で「どうだ?」と褒めて欲しそうにしている。


「わ、わぁ! とても頼りになりそうな方々が来てくれて嬉しい! ルシアン、ありがとう!!」


私が褒めると、ルシアンはパァっと花が咲くような嬉しそうな笑顔になった。


「リナに仕える者たちが揃うまで時間が掛かってしまって、すまなかったな」


「……というか、なんだか人数多くない?」


私がコソッと耳打ちすると、ルシアンは首を傾げた。


「そうか? まだ半分も来ていないぞ」


へ!?


一、二、三、四、五、六、七……ざっと見て十二人はいる。


「順次、こちらへ転移してくるからな」


「総勢……何名の予定なの?」


「今のところ、内側には三十名の予定だ」


三十名……。そんなに?


「ん? 内側って……?」


「ああ。養成所が、結界の外側にあるんだ」


養成所? ああ、学校みたいな場所ね!


なるほど、へぇー!

隣国は人材育成に積極的なのね。

条件に合う忌み子の奴隷がなかなかいないって言ってたものね。

手に職をつけるのは大事だわ。


「リナが望むなら、他の国でも探してこようか?」


「要らないからね!?」


あ、いけない! せっかく来てくれたみんなを跪かせたまま放置して、ルシアンと夫婦漫才をしている場合ではない。


「み、みんなの歓迎会を……」


「しないぞ」


「こんなに多いと思ってなくて、私が作った料理じゃ足りない……」


「俺が食べる」


ルシアンが深くため息を吐き、独占欲剥き出しで言い切った。


「リナの手料理、一欠片さえ奴らに渡してたまるか!」


(どんだけ!!)


その後、ルシアンにより新生活の要となる人物が紹介された。


「我が家の執事だ」


「初めまして、リナです!」


優雅に礼をとる執事さんが、恭しく口を開いた。


「私めは無名のため、奥様より名付けを頂戴できますでしょうか?」


へ? 名無しさん?


ど、どうして……名前がないの?


……シーン。


明らかに、待っている。


執事さんの微動だにしない、完璧な『名付け待ちポーズ』。


ルシアンを見ると、彼はニコニコと満面の笑顔で私を見守っている。


「あ、えっと……『セバス』なんてどうかな?」


あっ、しまった!

執事といえばセバスチャンという、前世の貧困なボキャブラリーに引っ張られた!


「我が名はセバス。新たなる名に恥じぬ働きを、命に代えてもお約束いたします」


えっ……めっちゃ恭しく、神聖な儀式扱いみたいにされてる!!


セバスさんがスッと控えに回ると、

次に、若い男女の一組が前に出て跪いた。


「護衛を兼ねた、リナ付きの侍従と侍女だ」


跪いている二人。


……シーン。


(え? まさか……)


チラッとルシアンを見る。またニコニコ笑顔だ。


私は腹を括り、二人へ視線を向けた。


「侍従は『ノア』。侍女は『ノエル』で、どうかな?」


「「我が名に誓い、身命を賭して奥様にお仕えいたします!!」」


「……なんだか、重い!!」


「普通だ」


「え! そうなの?」


「ああ、そうだ」


ルシアンが頷き、セバスさんたち三人も深く頷いている。


あ、そうなんだ。


この世界の常識なのね。


え? 本当に……?


ん、ということは。他の数十名にも名前を?


「……ルシアン。もしかして他の人たちも私が?」


「それは必要ない」


「えっ、なんで!?」


この世界のルール……難しすぎる!!


それからは、皆がそれぞれの職務――

護衛、家事、温室管理などにスムーズに従事していき、

あっという間にその日は暮れていった。


ふかふかのソファに座らされた私は、ピカピカに磨かれた室内を見回して呟いた。


「……私、これから毎日、何をすればいいのかな?」


「無理をせずに、女主人として堂々としていればいいんだ」


ルシアンが優しい声で私の髪を撫でる。


――つまり。


今、私は正真正銘の『無職』になったのである!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ