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ヤンデレ幼馴染に監禁されたけど、快適すぎた。  作者: ChaCha


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初めて抱かれる相手は


所長から、私の恐ろしい『運用計画』を聞かされてから数日。


「リナ嬢? なんだか顔色が優れませんね」


研究員が心配そうに声をかけてくる。


しかし、そう言いながらも彼らが魔力抽出の管を外す気配はない。


ここにいる研究員たちは、揃いも揃って優しい。狂ってるくらいに。


女性研究員は、私の身体をぺたぺたと触診しながら、満面の笑みでこう伝えてきた。


「うん、お肉付きがよくなりましたね! もう少しだけ身体が育てば、産む際に命を落とさずに済むはずですよ!」


……まるで、出荷前の家畜を愛でるような目だった。


「そろそろ、雄の選別が始まるんじゃないかな? なあ、俺と練習する?」


男性研究員の一人が、冗談めかして言った。


は?


全身にぞわっと鳥肌が立つ。


「……所長に怒られますよ?」


私が引き攣った声で返すと、女性研究員がクスクスと笑った。


「ダメですよぉ。清らかな状態じゃないとバレたら、殺されちゃいますよ?」


「だよなぁ〜! じゃあ、二番手に立候補しておくわ」


アハハ、と和やかな笑い声が響く。


私の顔が引きつっていることに、彼らは誰一人として気づかない。


「……あの。その、お相手が決まったら、研究所を出て新居へ引っ越せたりするんでしょうか?」


私は膝の上で震える両手を強く握り込み、引き攣る頬に無理やり笑みを貼り付けた。


すると、男性研究員が不思議そうな顔をした。


「いや? 初夜は俺たちみんなの前で、しっかり記録を取って致すからなぁ。引っ越しは無理だろ」


待って。


ちょっと待って。なにそれ。


「交尾のペースや回数も厳密に記録されるから、ここを出るのは難しいんじゃないかしら?」


にこやかに、本当に楽しそうに、ランチを食べながら研究員たちは会話を弾ませている。


私の話だよね?


今、ここで一緒に食事をして、人間として過ごしている『私』の、これからの話……だよね?


「みんなは……私がその、どう『運用』されるか、知ってるの?」


震える声を振り絞ると、彼らはあっさりと頷いた。


「俺らとしては、リナ嬢自身が運用計画を知っていることの方がビックリしたけどな!」


「そうそう。普段は悟られないように、自然に見合いの場を作って相性をみたり、誘導したりするんですよ」


「私以外にも、研究対象はいるの……?」


「各階層にいるぞ〜。なぁ?」


「うん。でも、地下A67の忌み子は先日『破裂』しちゃったらしいわよ」


「隣国から輸入したあの子? えー! 勿体無い……」


ゾクリ。


背筋を、氷のような悪寒が駆け上がった。


今更になって、自分がいるこの場所の『本当の恐ろしさ』に気づいてしまった。


遅すぎるくらいに。


チャリ。


足首にはめられた魔導具が、かすかな音を立てた。


ルシアン……。


ルシアンに、逢いたい……。


そうだ。


私の婚約者は、ルシアンだ。


所長に「私の望み」として、相手にルシアンを指名すれば……


けれど、そこでようやく思い知る。


たとえ研究所を出られたとしても、それで助かったことにはならない。


私が外へ出れば、また魔物が集まる。

また厄災の元凶になる。

勇者と同じように、国の都合で『運用』されると決まった時点で、もう逃げ場なんてどこにもない。


だったら、せめて。


カトラリーを静かに置く。


……もし拒まれたら?


私を狂おしいほど愛してくれたのは、私の魔力に呑まれていたからだ。


半年以上離れたことでその効果が完全に切れて、ルシアンが正気に戻っていたとしたら?


私はいつも、彼に対して酷い態度ばかりとっていた。


そんな私なんかが、今も愛されているはずがない……。


それでも思い出してしまうのは、ルシアンが私を甘やかしてくれた、あの甘くて重い日々ばかりだ。


バカだ、私。


本当にバカだ。


失ってからやっと、あの過保護がどれだけ私に向けられた愛だったのか思い知るなんて。


初めて抱かれるなら、ルシアンがよかった。


ルシアン以外は嫌だ。


もしかしたら、正気に戻った彼に冷たく拒絶されるかもしれない。


それでも……。


私は拳をぎゅっと握りしめ、立ち上がった。


所長に、私の望みを伝えなくちゃいけない。


そのまま真っ直ぐ、所長室を目指して歩き出した。



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