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僕らの死亡遊戯  作者: 神話project
第三章 神明恭~死者の見た夢~
39/43

003

 作戦当日、僕は白倉さんからの合図を見逃さないように注意していた。おおよその時間はわかっているが、計画の開始を告げる重要なメールだ。何度彼に携帯を確認させたかわからない。

「ああ、メールだ」

「誰から?」

「白倉さんから……」

 ついに来た。ここで隼人と別れないといけない。しかし、特に隼人は容疑者になりかねない立場だ。できるだけ防犯カメラに映っておいてもらわないといけないが、こればっかりは彼次第になる。

「そうだ、デートの予定なら。今日は避妊具を買って帰りなよ。いざってときに困るぞ」

 後から岩国刑事に聞いた話では、彼はドラッグストアでうろうろと小1時間悩んでいたそうだ。純粋な性格で本当に助かる。

 僕は急いで学校に向かっていた。できるだけ人目に付かない方がいいが、そんなことも言ってられない。時間との勝負だ。合図を受けてから彼女が飛び降りる時間はあらかじめ決まっている。

 本当に彼女が飛ぶかまでは、勿論行くまでわからないことだ……。

辺りはすっかり暗くなっていた。僕は、校舎の裏側から回って、服を着替え手袋をはめてているとき、大きな物音を聞いた。

―飛び降りたんだ。

 僕はしばらく様子を見ながら、その場に隠れていた。うっかり、音を聞いた誰かと鉢合わせはごめんだ。

 これは、今回の作戦で最も不確定要素の強い部分。最悪、僕は彼女をそのままにして逃げなくてはならない。それでも十分だが、できるだけ理想的な形にする必要がある。

 待っていて解決する問題でもないので、運を天に任せ遺体のある場所に向かった……。

 彼女が倒れている……人の気配はない……。

 誰かに会ったら目撃者の振りをするしかないが、できればそんな無理はしたくない。

 時間との勝負だ。急いで駆けより意識を確認する。

「ひどい顔だね。見るのが僕だけで良かったよ」

 彼女は目を見開いたまま、どこかを見ていた。心臓は既に止まっている。

 彼女に刺さった包丁を抜いて、僕は彼女の制服を力づくで引きちぎる。

 ブラウスからスカート、下着に至るまでだ。

 もちろん、実際そんな握力はないから、ボタンが外れたりするのがせいぜいのこと。ただ、ボタンがこの場所に落ちているのは後々まずいので拾っておいた。

 裁判実務というのは、実にやっかいで強姦神話というものがある。抵抗の後がないのは、同意があったからに違いないという「神話」だ。

 こういう事件の場合、最も重要になるのは同意の有無に関する被害者の供述の信用性。

 しかし、今回は死んでいるから外部的に状況を作り出すしかない。だから、同意がなかったことを客観的に示す証拠として、被害者が抵抗した後を示さないといけない。それは暴行の痕が一番だが、死後の傷か前の傷かは専門家が見れば判断がつく。だから衣服を破いてそう見せかけるしかない。彼女の名誉のために必須のことだ。

 そして最後の仕上げは、自殺でないと見せかけること。

 絶対に自分ではできないことをしてやる必要がある。

 僕は返り血を浴びないように気をつけながら彼女の首を切断した。

 これは想像以上に大変な作業だった。こんなところを人に見つかれば一巻の終わり。さすがに手の震えが止まらない。

 焦りから、最後はもぎ取るように首をとってしまった。

「ごめんよ……白倉さん」

 彼女の頭を鞄に詰め、急いで来た道を戻る。

 これでようやく第一段階が終わった。

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