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被害者に手伝ってもらう殺人ほど、やりやすいものはない。
僕の両親は事業に失敗して、かなりの借金を作ってしまった。一生働いても返せないような額だ。さっさと破産してしまえばいいものだが、それを潔しとしない美徳を持っていたのか、そんなことをすれば額が額だけに、ただではすまいと思っていたのか、何れにせよ打つ手無しの手詰まりに陥っていた。
もちろん、死んで保険金を卸したところで、どうにかなる額じゃないし、親戚もあてにならない。
父も母も一家心中しかないと考えていたのは、明らかだった。少なくとも僕はそう確信していた。
しかし、それじゃあ、たまったものじゃない。親の都合で勝手に殺される子供の気持ちを考えて欲しいものだ。当時の僕は中学生だったが、もっと幼くたって生きていく自信はあった。野良猫だって生きれるんだ、簡単にのたれ死ぬほど人間はやわじゃない。
だから僕は二人に言った。
―死ぬなら二人で死んでくれ。
僕は二人の遺産……これはマイナスなわけだが、これの相続を放棄して一人で一から出直すことを伝えた。
そして、二人の死に方から死ぬ日まで、全て段取りを整えた。
親が子にしてやれる最後のことと本人達は思っていたようだが、これっぽちもありがたくない。とっくに精神的に病んでいたのだろう。
あっけなく二人は死に、僕は取り残されたわけだが、さすがに中学生に仕事があるわけもなく、お金の工面が目下の課題だった。
自首したのは、良心が無かったわけじゃないが、これから自分が本当に生きていけるか試したかったというのが大きい。僕の犯した犯罪に罪名をつけるとすれば、同意殺人・自殺関与罪あるいは殺人罪の間接正犯といったところだろうが、立証は事実上不可能に近い。
これで三食昼寝付きの生活を手に入れ、最終的には実名報道をした出版社を訴えて当面の生活資金を確保できた。
とはいえ、社会的制裁を受けたのも事実。わかっていたことだが、どこへ行っても白い目で見られ、行動もかなり制限されている。高校へ通うのも一苦労だ。
そんな中、出会ったのが上守隼人。彼は言うなれば見込みがある素材だった。犯罪、それも殺人事件について鋭敏な感性を持っている。彼とは良い関係を築ける予感があった。




