010
下駄箱の前で隼人君を待っていると玲二がやってきた。
「何してんだよ」
「彼氏を待ってるのよ、わからない?」
「ったく、どういうつもりだよ。あんなのと付き合うなんてよ」
「別に私の勝手じゃない。あなただって青葉栞さんと付き合ってるんだから」
「……まさか、その当てつけじゃないだろうな。そんな理由ならあいつにもお似合い…」
「違うわ」
「……」
「彼、あなたよりずっといい男だし、比べるまでもないんじゃない?」
「は、冗談だろ」
「それに、彼はあなたなより上手いのよ。知ってた?」
「……まぁいいさ、いくらでも思い出させてやるよ。週末の部活には顔出すんだろ」
「……」
「おいおい、自分の立場がわかってんだろうな」
「二人で何の話をしてるの?」
そこへ青葉さんがやって来た。馬鹿な女。私と同じね。
「ん~、隼人の奴が遅いって話だよ」
「なんか、邪魔しちゃ悪い気がするんだけど、静香さんは私達と一緒でいいの?」
「もちろん。私も仲間に入れてね。青葉さん」
そして、後れてきた隼人君と合流して、私達は一緒に帰った。隼人君と青葉さんの様子を眺めていると、二人の仲の良さがよくわかる。青葉さんが玲二と付き合っていることを知っているだけに、不思議な距離感に見える。隼人君はそのことを知らないのだろうか。もしかしたら、隼人君は青葉さんのことが好きなのかもしれない……。
だとしても、別にそれはそれでも構わない。私が言えた立場じゃない。




