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僕らの死亡遊戯  作者: 神話project
第二章 白倉静香~契りし者~
31/43

008

 私に考える時間は、残されていないのかもしれない。それでも神明君との取引に、応じる決心は付かなかった。

 上守君の姿を探し出しても、結局は話しかけられない日々。

 そして今日も上守君を見つけた……。

 上守君は郷矢といた。

 私は廊下の隅に隠れて様子を伺う。

―何やってるんだろう。私……。

 自分の行為がひどく滑稽だ。

 二人は玲二のことを話しているようだった。そこへ、綾先さんがやってきた。

「上守君。あのね、伝言頼まれたんだけど、教室に来てって」

「誰が?」

「知らない女の子だよ。その子が上守君に話があるって。結構可愛かった!」

 私は耳を疑った。彼が他の女の子と付き合うことになったら、神明君との約束を果たすことができなくなる。私が無駄に悩んでいたせいでこんなことに……。

「ほら、早く~。伝えたからね。ほらほら」

 綾先さんに追い立てられ、上守君は教室へ行ってしまった。

―どうすれば……。

 私は迷っていた。

 しかし……。

「上守って意外とモテるんだな~。女子から呼び出しか」

「嘘に決まってんじゃん。上守君が邪魔だったから、どっかに行ってもらっただけぇー」

「うわぁ、ひでぇ奴」

「だって、あたしも騙されるとは思ってなかったんだもん。自分でモテると思ってたらうけるねぇ」

「いえてる」

 二人が互いに笑いあっていた。

「でさぁ、静香の新しいの撮れたから送るね」

「サンキュウー」

「いっぱいバラまいちゃってよ」

「おめぇひでぇ女だなぁ」

「だってムカつくんだもん。ちょっと顔がいいからっていい気になりすぎ。玲二君も騙されてんじゃないの?」

「そりゃないって、あいつが利用してるだけだよ」

「本当かなぁ。玲二君が心配だよ」

「大丈夫だって」

「でも、全然私と付き合ってくれないしぃ。なんでだろ」

「……そりゃあ、あいつにも都合があるんだよ。とにかく次も頼むぜ」

「りょうかい♪」

 ああ、私の周りはもう敵だらけだ。全てが手後れになっている。私一人の力ではどうしようもない。



 教室で一人、待ち続ける彼の姿を見た。

 私にとってこれが最初で最後のチャンスかもしれない。しかし、踏み出せばもう後には引けない気がしていた。

 だから、運を天に任せ、後30分経っても彼がその場にいるなら、彼に告白しようと決めた。

 ……結局、私が教室に入ったのは1時間以上経ってからだったのだけれども。

 教室に入ると彼がこちらを見た……最後まで演じきらなければならない。鼓動が早くなっていくのがわかる。私はできるだけ平静を装って話しかけた。


「それは本気で言ってる?」

 この言葉を聞いたとき、全てを見透かされているようで怖かった。キスしたのは、自分の中で焦りがあったからかもしれない。なぜ、あんなことができたのか、自分でもよくわからなかった。

 ただ、動揺している彼の姿は、なぜか少し可愛かった。

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