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僕らの死亡遊戯  作者: 神話project
第二章 白倉静香~契りし者~
29/43

006

 放課後、教室には神明君一人しかいなかった……。

 私は一度、廊下の様子を見て、誰もいないことを確認してから話しかけた。

「神明君、誰か待ってるの?」

「……ああ、白倉さんか。そうだよ、上守君を待ってるんだ」

「……」

「……どうかしたかい?」

 言ってしまえば全てが終わる気がする。でも、言わずには言られない……。

「……私ね、人を殺したことがあるんだ」

 彼は表情を変えずに私を見つめ続けた。私はできるだけ平静を装い続けた。彼の視線が私の顔より下に落ちていく。

「……なるほど……ね…」

「警察に言う?」

「まさか。そんなことはしないよ。捕まらなくて済みそうかい?」

「さぁ……わからないわ。それならそれでいいけど、その前にしておきたいことがあるの」

「何だい?」

「ねぇ、神明君……あなたに……殺人依頼ってできるのかしら?」

 声が震えそうだった。

「さぁ、どうだろう。少なくとも、話を聞くぐらいはできるけど」

 私は彼にこれまでのことを話した。私の推測する生い立ちから、現状についてまで。

 自分でも驚くほど冷静に話すことができた。それほど時間はかからなかったように思う。

 彼にここまで気を許せたのは、罪を犯した者の連帯感からだろうか……。

「なるほど、中々大変だね……盗撮とネットの方は僕の方でも調べておくよ」

「……ありがとう」

「問題は殺しの方か……。そうだね……君の殺人を手伝うという形であれば協力するよ。もちろん、どんな代償を払ってもいいというなら」

「……代償?」

「そう、君が僕に払う代償は……」

「……」

「……君自身」

「私?」

「そう、白倉静香さん君だ。高いかな?」

 彼が言いたいことは何となくわかった。彼は私が知ってる周りの男たちとは明らかに違うから。

「別に……高くないわ。人を殺せばもう後は死ぬしかないないし、好きに使ってもらっていい……ただ……」

「ただ?」

「私は、もうこの手で人を殺せない……。私がやろうとすれば必ず失敗すると思う……一人ならまだしも……だからあなたに頼んでるの」

「……その辺のことは考えておくよ。ただ、報酬は前払いになるよ。まずは着手金を頂かないとね」

「……何をすればいいの?」

「上守隼人君……彼の恋人になって欲しい」

「……どういう意味?」

「ああ、誤解しないでくれよ。別に彼は今のところ、君のことは何とも思ってないはずだ」

「……」

「ただ、仲間が欲しいんだよ。君のために働いてくれそうな仲間が。だから君が彼を落とす。成功すれば僕らの契約は成立だ」

「……」

「唐突すぎて理解できないのも無理はないけど、その辺は僕を信用してもらうしかないな。後はこちらでお膳立てをするよ。なに、考える時間は十分あるさ」

「とりあえず……今は保留でいい? 私は彼のこと何も知らないし」

「もちろん。おっと、噂をすれば彼だ。話はここまでだね」

 上守君が教室に入ってきた。

「じゃあ、私はこれで。上守君もまた明日」

 私が彼と付き合う? ……考えてもみなかったことだ。

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