004
それから数日が経っても神明君に話しかける機会は来なかった。放課後もクラスの男子……上守君が彼といつも一緒にいるからチャンスが中々来ない。上守君の存在は私にとって煩わしいだけだった。
「静香ちゃんスタイルいいよね。うらやましいぃ」
私の中で変化といえば、体調も回復して体育に参加できるようになったぐらいだ。
更衣室で着替えるのも半年ぶり……それ以上かもしれない。私にとってはささやかな幸せだ。
「そんなことないって」
「揉ませて!」
綾先さんが両手を掲げながら構えた。
「だーめ。やめて」
「残念だなぁ。あ、でもちょっと痩せた? 前よりほっそりした気がする」
「……ずっと寝込んでから」
「私なんか運動やめただけで、一気に太っちゃうからうらやましいなぁー」
「……」
「あ、ごめん……体質の話だよ」
「わかってる」
「でも、静香ちゃん元々痩せてるんだから、もっと太った方がいいよ」
「食欲も戻ってきたから、そんなに心配しなくてもすぐ元通りになるわ」
「あ~、その余裕がうらやましいぃー」
「……」
「……顔色悪いけど大丈夫?」
「うん、まだちょっと疲れやすいみたい」
「体調が悪くなったら言ってね。保健室まで一緒にいくよ」
「ありがとう」
綾先さんにはいつも心配してもらっていた。
そんな彼女に、さらに心配をかけることなってしまった。
それは次の日のことだ。
「ねぇねぇ、静香ちゃん。大変! ちょっと来て」
綾先さんに呼ばれて廊下の隅に行く。
「どうしたの?」
「これ見て!」
綾先さんに携帯の動画を見せられた。……私の着替えが映っている。
「……これは?」
「盗撮だよ。盗撮。男子がきっと更衣室にカメラか何か仕掛けてたんだよ」
「……」
「それとこれ」
もう一つはネット掲示板のようだった。
そこには、私の悪口ばかりが書かれていた。
「どうする? 先生に言った方がいいんじゃない? 私も何か怖いし」
心当たりは全く無かった。玲二がするとはとても思えない。
「うーん、一時的なものだと思うから、しばらく様子見てみる。これからは気をつけるわ。教えてくれてありがとう」
「え!? いいの!? ショックじゃない?」
「そういうことをする人の方が、むしろ可哀想かな……」
「……えー静香ちゃん優しすぎるよぉ」
綾先さんは私より心配しているようだった。更衣室内で盗撮となれば、女子にとって人事ではないだろう。私自身、ショックでないと言えば嘘になる。でも、私は先生を頼る訳にも、警察を頼るわけにもいかなかった……。




