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僕らの死亡遊戯  作者: 神話project
第一章 上守隼人~最後の犠牲者~
17/43

017

 いつもの分かれ道で彼と別れ、しばらく一人で歩いていると

「ちょっといいかな」

 後ろから男が話しかけてきた。無精髭を伸ばし、スーツを着崩して、タバコを吸っている。

 あまり清潔感を感じない。

「刑事さんですか?」

 男は怪訝な顔をした。

 しまった……とは思ったが、別に後ろめたいことなどない。

「違うんですか?」

「……あってるよ。自慢じゃねぇが、あんまり刑事に見られねぇから驚いちまった。坊主はなんで俺が刑事だと思ったんだ?」

「さっきから尾行してたんですよね? なぜですか?」

「まいったね。バレてたあげくこっちが質問攻めか」

「……」

「ふぅ~……」

刑事はゆっくりはタバコの煙を吐いた。

「あいつか……神明恭の入れ知恵か」

 正直に答えた方がいい気がする。

「……そうです。彼を知ってるんですか?」

「まぁねぇ……」

「そちらの質問の前に、お聞きしたいんですが、彼はなぜ無罪になったんですか?」

 僕は刑事に率直な疑問をぶつけてみた。

 証拠がなかったということは報道で知っていたが、もっと詳しく聞きたかった。

 その質問に、刑事は少し困ったような顔をしてみせたあと、

「自殺にしか見えなかったからだ」

と答えた。

「自殺って、彼の両親が自分で死んだだけってことですか?」

「……あれが殺人事件だとしたら。完全な密室トリックってやつだな、笑えるよ。内側から鍵がかかって、争った形跡もなく、明らかに自分達で首をくくって死んでいた」

「……」

「証言は自分が殺したという自白だけ。端から見ていれば、ただの狂言にしか思えなかっただろうよ」

「どういう意味です?」

「……自分の両親が死んで、頭が少しおかしくなっちまった可哀想な少年……捜査関係者の中でもそう思った奴は多いさ。だけどな、奴を取り調べた者ならわかる。間違いなくあいつが犯人で、嘘はついていなかったと」

「よくわかりません……」

「怖いぐらいにまともな奴なのさ。冷静でいて妙に頭もきれる。当然、精神鑑定もシロさ…ま、殺人犯だったら、頭がまとなわけはないんだけどな」

 刑事は自嘲気味に笑いながら言葉を続けた。

「奴はこっちを観察して、それを楽しんでいるようだった。正解にたどり着くのを待つ、クイズ番組の司会者みたいな態度でな」

「……」

「次はこちらの番でいいか?」

「……はい」

「君は、事件の日の前後、白倉静香さんにメールや電話をしていたようだが。彼女とはどういった関係だ?」

「……僕は彼女とつき合っていました」

「本当に?」

「本当です……」

「それが、君の一方的な思いこみである可能性は?」

 刑事が一体何を疑っているのか、わからなかった。彼女のメールを見れば、僕らがつき合っていたことは明らかなはずなのに。

「ありませんよ。ただ、僕らがつき合ってることを知っているのは神明君と、僕の幼なじみの黒岩玲二と青葉栞の三人だけのはずです。クラスの皆は知りません」

「……そうかい……」

「知りたいことはそれだけですか?」

「あと一つ。金曜の放課後、何をしていた? お約束だと思って答えてくれや」

「神明君と二人で商店街を回っていました。家に着いたのは、夜の8時過ぎだと思います」

「また、神明か……」

 刑事は顔をしかめて頭を掻いた。寄った店を詳細に聞かれたので、できるだけ全て答えた。

「もういいですか?」

「今日はな。ありがとよ」

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