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僕らの死亡遊戯  作者: 神話project
第一章 上守隼人~最後の犠牲者~
14/43

014

 それから数日たった今も変化は無かった。栞は相変わらず学校を休んでいたし、玲二は学校に来ていたが、僕を避けているようで、何をしているのかわからなかった。

 そのために静香さんと一緒にいる時間は、少しだけ増えたかもしれない……。

「ごめんね、隼人君。今日は用事ができたから一緒に帰れなくなっちゃった……」

「終わるまで待ってるよ」

「ううん。悪いから先に帰って。後でメールするから」

 そういうと、静香さんは行ってしまった。

「あ、もしかして今日空いてる?」

 そこへ恭がやってきた。

「え?」

「良かったら久しぶりに一緒に帰らないかい? 実はちょっと頼みがあるんだ」

「どんな?」

「家とは反対方向になるけど、実はまだこの辺のことわからないんだよね。商店街とか色々回ってみたいんだ」

「別にいいよ」

「ありがとう、助かる」

「二人ともこれから帰るの?」

 汐竹先生が後ろから話しかけてきた。

「はい、そうです」

 僕は振り向いて答える。

「神明君はもう学校に慣れた?」

「はい、お陰様で」

「何か困ったことがあったら、いつでも先生に言うのよ。何でも相談に乗っちゃうんだから」

 先生はなぜかガッツポーズをして見せた。

「ありがとうございます。ところで今日はデートですか?」

「え!? 綺麗だからわかっちゃう? そうなのよ。美人は辛いわ」

 オホホホホ、と手を口元に添えた、ややおばさん臭い仕草をしたまま先生は行ってしまった。

「さっきのデートって?」

「ん? ああ、珍しく放課後なのに化粧を直してたからね。バッグもいつもと違うし」

「よく見てるね……」

「そうかい? それにしても汐竹桜先生っていい先生だね」

「だろ? 人気あるよ」

 恭が人を誉めるのは少し意外だった。

「先生が僕の入学も賛成というか、クラス担任として引き受けてくれたらしんだ」

「そうなんだ……というか、よく転入できたね。言うのも何だけど」

「ああ、実は今訴訟中なんだよ」

「……え?」

「入学不許可処分の取消訴訟と、入学許可処分の義務付け訴訟を起こして係争中。仮の義務付け訴訟には勝ってるから、裁判が終わるまでとりあえず通えるんだ」

「……そう……なんだ」

 それから僕らは商店街へ行った。悩み事は尽きないが、久しぶりに恭と話ができることが素直にうれしかった。


 ゲームセンターで遊んだり、ファーストフードで時間を潰したりしている中で、僕が白倉さんと付き合っていることを話してしまった。彼女の許可は得てないが、恭なら吹聴して回る心配はないし、何よりも恭に伝えたいと思っていたからだ。

 そんな僕に対して、少し驚いて見せた後、おめでとうとか、そうなる気がしたんだよな、とか、ありふれた、いい加減なコメントを返したくれたのが照れくさかった。


「今何時かな」

「え? 何時だろ」

 言われてみれば、すっかり遅くなっている。僕は携帯を取り出して時間を確認した。

「7時を回ったところだね。そろそろ帰ろうか」

「そうだね。でも、その前に寄りたいところがあるんだけどいいかな」

「どこ?」

 その時、僕の携帯が鳴った。

「ああ、メールだ」

「誰から?」

 僕は、答えるのが何だか恥ずかしくて、少し躊躇した。

「白倉さんから……」

「ああ、彼女からか。じゃあ、早くメールを打ち返してあげるといいよ。僕は帰るから」

「どこか寄りたいところが、あったんじゃないの?」

「また今度にするよ。友情より彼女をとりな」

 そういうと恭は笑いながら駆け出した。そして、一度立ち止まって振り返る。

「そうだ、デートの予定なら。今日は避妊具を買って帰りなよ。いざってときに困るぞ!」

「な、何言ってるんだよ」

 あまりに声が大きいから動揺してしまった。

「そっちこそ何言ってるんだ。避妊は男のマナーだぜ」

 通行人のことなどお構いなしに、恭は言うだけ言って行ってしまう。

 僕はもう一度メールを見た。

―来週の週末。どこかへデートに行きませんか?

 恭の予想した通り、彼女からのデートの誘い。思えば今まで一緒に登下校をするだけで、デートをしたことは無かった……。

 しかし、どう返せばいいものか。ここはやはり男として場所を決めるべきなのか、彼女の希望を聞くべきか……。

 僕はその場で考え込んでしまい、返信の文面を書くのに相当の時間がかかってしまった。

 でも、その返信に対する返事は、何時間待っても届くことはなかった。

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