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僕らの死亡遊戯  作者: 神話project
第一章 上守隼人~最後の犠牲者~
13/43

013

 それから、数日僕らの間で特に変化は無かった。栞と白倉さんの距離感も、表面的には変わってないように見えた。

 そんなある日、

「なあ、青葉栞とお前知り合いだよな」

 クラスの男子が栞の話題を出した。

「栞がどうかした?」

「お前知らないのかよ。この前、青葉が男とホテル行ってるの目撃された話」

「……」

 何の話かわからなかった。玲二との関係だろうか。

「その顔じゃあ何も知らなそうだな。つまんねぇの」

「ちょっと待てよ。何の話しだよ」

「え? だから、男とホテルに入るの見た奴がいるんだよ。制服着たままは、さすがにまずいよな」

「いつの話だよ。本当に栞に間違いないのか? 見たって誰だよ」

「知らねぇよ。だからお前に聞こうと思ったんじゃねぇか」

 彼はそういうと面倒そうに行ってしまった。

 思い当たる節があるだけに、不快な連想しかできない。

 二人が隠れてしていることを、できるだけ考えないようにしてきたのに……。一体どこで何をやっていたのか。いや、それより噂はどこまで広まっているのか。本人達の耳にも入っているのか。

 興味本位で友人に問いつめられる栞の姿を想像すると、胸が苦しい。僕は、急いで栞のクラスに向かった。


 野次馬が数人集まっていたが、栞は早退した後だった。深刻な状態に、焦りを募らされる。この調子だと、玲二も既に知っているのだろう。その玲二を廊下で見かけ、僕は詰め寄った。

「おい、栞の噂の相手、お前じゃないだろうな」

 強い口調で迫った。

「んなわけないだろ。馬鹿、こんなところでその話をするなよ。俺まで巻き添えくうじゃないか」

「お前は栞が心配じゃないのかよ」

「心配してるから見にきたんだろ。どうせ根も葉もない噂だよ、ほっときゃ収まるさ。だいたい栞がそんなことするはずないだろ。まさか疑ってるんじゃないだろうな」

「……そんなわけあるか、馬鹿!」



 下校の時は、玲二もいなかったので結局、今日は白倉さんと二人だけで帰ることになった。

「隼人君と二人っきりなんて初めてだね。クラスの誰かに見られたらバレちゃうかも」

「そうだね……」

 白倉さんはうれしそうしてくれていたが、僕は栞のことが心配だった。栞は今どうしているのだろうか。噂は正しいのだろうか、それとも間違っているのだろうか。

 僕はどうすればいいのかわからなかった。いや、栞には玲二がついてるから大丈夫なのか……玲二が栞の彼氏なのだから……。

「……」

 そんな時、白倉さんの携帯が鳴った。

「メールか何か来たんじゃないの?」

「うん、でもいいの。どうせいたずらだから」

「いたずら?」

「最近、なんか増えちゃって」

 今度は鳴り続ける。

 白倉さんは携帯を手に取ると電源を落とした。

「番号変えようかな。番号変えたらまた教えるね」

「……大丈夫なの? 何か困ってる?」

「心配してくれありがとう……でも大丈夫だから……番号変えればすぐ解決」

「……」

 白倉さんは、曇らせた表情をすぐに持ち直してみせたが、

 メールや電話のいたずらは、そんな頻繁に来るものだろうか。少し気になった。

「ねぇ、それより隼人君。そろそろ、私の名前……呼んでくれない?」

「え?」

「静香って」

「……」

 僕はちょっと間抜けな顔をしてしまったかもしれない。

「静香好きだよって言ってから、私のほっぺにチューしてみて」

 白倉さんは、冗談ぽく自分の頬を指さした。

「無理無理!」

「名前だけでいいから」

 白倉さんは下からのぞき込むように、僕に顔を近づける。

「……」

「は・や・くぅ~」

「しずか…」

「……」

「……」

「はぁあ~想像以上に恥ずかしいね!」

 白倉さんは、両手で頬を押さえながら、身悶えるような仕草をする。

「恥ずかしいのはこっちだよ」

「え~、言われるのも恥ずかしいよ。じゃあ、次は……」

「今日はこれで勘弁して下さい……」

「もぅー、しょうがないなぁ~。でもこれからは静香でお願い」

 静香……さんが、満足そうにしているのが嬉しかった。

「……」

「……青葉さんのことは多分大丈夫だよ」

「…なんで?」

 突然の名前に驚かされた。白倉さんが知っていたことにも驚いたが、一瞬でも栞のことを忘れていた自分に驚かされた。

「ん~……人の話題ってほら。新しい話題にすぐ上書きされていくじゃない? 例えば、上守隼人君が素敵な彼女を連れてデートしてたとかね!」

 もしかしたら、僕は彼女に励まされていたのかもしれない。

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