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第89話 深くなるほど変わるもの

次の探索で、五人は最初から十五階層を目標にしていた。


もちろん。


十五階層まで必ず行く。


ではない。


体力。

水。

魔石。

負傷。

時間。


どれか一つでも基準を越えれば戻る。


それを確認してから、五人はダンジョンへ入った。


一階層。


二。


三。


もう。


ここまでではほとんど止まらない。


確認はする。


でも。


歩きながらできる。


レインが前。


アルスがその少し後ろ。


アイリスとリリア。


シリウスが後方。


広い場所では形を変える。


狭ければ一列。


敵が多ければ横へ。


気付けば。


誰かが言わなくても。


形が変わるようになっていた。


シリウスが七階層で言う。

「最初よりかなり速くない?」


アルスが時計を見る。


「速いね」


「慣れたから?」


レインが答える。

「それもあるけど、迷う時間が減ったんだと思う」


曲がり角。


止まる。


確認。


進む。


以前なら。


毎回。


誰を見る。

誰が前。

誰が後ろ。


そこから決めていた。


今は。


必要な形へ自然に変わる。


それだけで。


かなり違う。


九階層。


ゴブリン三体。


戦闘。


短い。


十階層。


前回大型ゴブリンと戦った部屋。


今日は。


空。


シリウスが部屋を見回す。

「いないな」


アルスも魔素を見る。


何もない。


「毎回いるわけじゃないんだね」


レインが言う。

「じゃあ今日は先へ行こう」


十一階層。


ここから。


空気が少し変わった。


通路が広い。


その代わり。


分岐が増える。


アルスが地図を見る。


「三方向」


シリウスが言う。

「また迷路っぽくなってきた」


「地図あるけどね」


「でも全部そのままじゃないだろ?」


その通り。


地図は。


骨組み。


今の状態ではない。


右。


反応。


二。


中央。


なし。


左。


三。


レインが聞く。

「中央?」


アルスが少し見る。


「今のところは」


五人。


中央。


少し進む。


何もいない。


さらに。


曲がり角。


そこで。


後ろ。


シリウスが言った。


「待って」


全員が止まる。


アルスが振り返る。


「何?」


シリウスは後方を見る。


「なんか聞こえた」


レインも耳を澄ます。


足音。


小さい。


複数。


後ろ。


アルスも魔素を探す。


「三つ。来てる」


隊列。


反転。


今度は。


シリウスが前。


レインとアルスがその後ろ。


アイリス。


リリア。


シリウスが笑う。


「俺が先頭だ」


レインが言う。

「今は後ろが前になっただけ」


「それでも先頭」


現れたのは。


ゴブリン三体。


狭い通路。


シリウスが一体を止める。


レインがすぐ横へ。


アルスは後ろから隙を見る。


戦闘。


終了。


シリウスが息を吐く。


「後ろから来ると感じ違うな」


アルスも頷く。


進む方向。


それだけで。


前と後ろが決まっていた。


でも。


敵は。


前から来るとは限らない。


十一階層から。


それが。


少し増えた。


十二階層。


広い部屋。


ウルフ系。


五体。


今までで。


一度に見る数としては多い。


レインが言う。

「数多い」


シリウスが周囲を見る。

「でも場所は広い」


アルスも確認。


逃げ道。


ある。


時間。


十分。


全員。


問題なし。


「やろう」


五人が広がる。


レイン。


中央。


アルス。


左。


シリウス。


右。


アイリス。


後方。


リリア。


中央後ろ。


ウルフ。


五。


一斉。


来る。


今までなら。


一匹ずつ見る。


でも。


今回は。


全員に一体ずつ来てもおかしくない。


レインが中央を受ける。


アルス。


左。


シリウス。


右。


二匹。


後ろへ回ろうとする。


アイリスが一匹を火球で止める。


もう一匹。


リリアへ。


アルスが気付く。


「リリア!」


でも。


リリアは逃げるだけではなかった。


杖を前へ出す。


小さな魔力障壁。


ウルフ。


一瞬。


止まる。


その隙。


アイリス。


二発目。


ウルフの横。


直撃。


シリウスが声を上げる。


「リリアも前出るようになったな!」


「前には出ていませんわ!」


アルスは少し笑う。


でも。


確かに。


最初とは違う。


支援。


回復。


それだけではない。


自分を守る。


位置を変える。


隙を作る。


それも。


役割。


戦闘。


終了。


五体。


少し。


時間はかかった。


でも。


怪我なし。


レインが息を整える。

「数が増えると、全員が戦わないときついね」


アイリスが頷く。

「後衛も何もしないで待てる状況ではありません」


アルスは記録する。


――十二階層。

――敵五体。

――広い場所では全員が個別対応する可能性あり。


シリウスが覗く。

「また研究してる」


「記録」


「同じだろ」


十三階層。


今度は。


戦闘より。


地形。


段差。


狭い場所。


途中。


低い天井。


剣を振りにくい。


レインが剣を一度構えてから止める。


「ここ、普通に振ったら壁に当たる」


シリウスが短剣を見せる。

「俺の方が有利」


アルスも自分の剣を見る。


確かに。


長さ。


邪魔。


もし。


ここで敵が来たら。


同じ戦い方はできない。


アイリスが言う。

「魔法も大きいものは危ないですね」


狭い。


炎。


反射。


仲間。


火球。


使う場所を選ぶ。


リリアも言う。

「補助魔法の方が安全そうですわ」


進む。


小型ゴブリン。


二体。


戦闘。


今度は。


シリウスが前。


短剣。


速い。


レインとアルス。


後ろ。


アイリスは魔法を使わない。


リリア。


補助。


短時間。


終了。


シリウスが得意そうに言う。

「ここ俺の場所だな」


レインが笑う。

「場所次第だね」


それが。


また一つ。


はっきりした。


強い人。


ではなく。


今の場所に合う人。


十四階層。


ここで。


疲労が出始める。


前回より。


深い。


戦闘数も多い。


水。


まだ十分。


食料。


問題なし。


魔石。


余裕。


でも。


脚。


少し重い。


アルスは聞く。


「全員どう?」


レイン。

「まだいける」


シリウス。

「俺も」


アイリス。

「問題ありません」


リリア。

「少し疲れましたけれど、進めますわ」


アルスも。


同じ。


十五階層。


あと一つ。


「行こう」


五人。


進む。


途中。


小型魔物。


二体。


戦闘。


終了。


そして。


階段。


十五階層。


到達。


シリウスが息を吐く。


「十五」


レインが時計を見る。


予定。


まだ余裕。


でも。


疲労。


前回より。


確実にある。


アルスが周囲を見る。


広い通路。


先。


反応。


一つ。


大きい。


その横。


二つ。


小さい。


シリウスが言う。

「また大きいのいる」


アルスも頷く。


「いるね」


レインが聞く。

「どうする?」


今までなら。


見に行く。


そういう流れもあった。


でも。


今日は。


ここまでで。


十分戦った。


十五階層。


到達。


それが。


目標。


アルスは首を振る。


「今日はここでいい」


シリウスも。


前より早く頷く。


「うん」


アイリスが少し笑う。


「もう止めませんね」


「何が?」


「もっと行こうって」


シリウスが少し考える。


「どうせまた来るから」


その言葉に。


アルスは少し驚いた。


そう。


無理して。


今日。


全部見る必要はない。


次がある。


戻って。


また来る。


冒険。


一回で終わらせるものではない。


五人は。


十五階層の入口だけ記録する。


地形。


魔素。


大きな反応。


小さな反応。


それだけ。


戻る。


十四。


十三。


十二。


帰り。


疲れ。


増える。


それでも。


隊列は崩れない。


十一階層。


後方反応。


シリウス。


すぐ気付く。


二体。


戦闘。


短い。


十。


九。


そして。


入口。


全員。


帰還。


ギルド。


ミーニャが五人を数える。


一。


二。


三。


四。


五。


「おかえりにゃ」


報告。


十五階層到達。


十二階層。


ウルフ五体。


十三階層。


狭所。


十五階層奥。


大きな反応一。


小さな反応二。


未確認。


ミーニャが聞く。

「また見なかったにゃ?」


シリウスが答える。

「また来ればいいので」


ミーニャが一瞬。


目を丸くする。


そして。


笑った。


「随分変わったにゃ」


「何が?」


「最初に来た時なら、絶対見に行ってた顔してたにゃ」


シリウスが少し考える。


「そうかも」


レインも笑う。


アルスは。


今回の探索記録を見る。


深くなる。


敵が強くなる。


数が増える。


それだけではない。


通路。


広さ。


分岐。


後方。


地形。


戦い方。


全部。


少しずつ変わる。


そして。


五人も。


それに合わせて。


少しずつ。


形を変えている。


固定パーティー。


だから。


固定した戦い方。


ではない。


同じ五人だからこそ。


その場に合わせて変える。


その意味が。


少しずつ。


分かり始めていた。

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