前へ目次 次へ 18/92 第18話 『無題』 毎日窓を眺めても、瓦礫は何も変わらない。 これだけ醜い残骸が、世界の全てから切り離されている。 慣れた街の人々は、もうとっくに近寄りもしなくなっている。 入れたばかりの紅茶が温かい。 顔を映した水面は、紅く揺れている。 いつもは少しずつ味わうのに、今日は不思議とひと口で飲み干した。 カップの底は何も映っていない。 喉を流れた紅茶が、胸から先で冷えきってしまった。 最後のティーバッグだったのに、勿体ない。 寒い。また紅茶を入れないと。