寮室での、夜の議論
その夜、寮の自室で。
私は、シャルロットに、ベアトリス事件と、ジャン殿下のことを、話した。
「あら、ジャン殿下に、会えたの? 羨ましい」
シャルロットは、頬を、染めた。
「シャルロット、ジャン殿下、好きなの?」
「いいえ! ……いえ、まあ、誰でも、ジャン殿下は、王太孫だし、頭良いし、優しいし、見た目も、良いし、ね」
「ふーん」
私は、にやり、と、笑った。
「ジャン殿下って、婚約者、いるの?」
「まだ、いない。再来年、決まる、と、言われている」
——再来年。
——婚約者、まだ、決まってない、王太孫。
——うちの、シャルロットを、推せる、かも。
私は、心の中で、メモを、取った。
「シャルロット、私が、応援、する」
「ええ? 何を?」
「ジャン殿下と、シャルロットの、お付き合い」
「リリア!」
シャルロットの、頬が、真っ赤になった。
「冗談で、言ってる、ん、でしょ?」
「冗談じゃない。だって、私、推し活オタクだから。シャルロットの、推し、を、応援するのは、当然」
「『推し活オタク』って、何?」
「あー、また、それ、ね」
私は、声を、上げて、笑った。
——よし。
——シャルロットも、私の、ペースに、巻き込んだ。
——貴族院での、最初の、目標。
——シャルロットを、ヴァランシエンヌ公爵令嬢として、もっと、輝かせる。
——彼女の、自信を、引き出す。
——そうすれば、ヴァランシエンヌ公爵が、私を、養女に、するときの、決定的な、後押しに、なる。
——シャルロットは、もう、家族同然。
私の、心の中の、計算は、いつも、人を、巻き込んで、回っていた。
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