表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/131

いじめ事件


貴族院、入学から、一ヶ月後。


最初の、事件が、起きた。


「ねえ、リリア嬢」


私が、図書室で、本を、読んでいた、その時——

三人の、令嬢が、私の前に、立った。


中央は、二年生の、サンタロー伯爵令嬢、ベアトリス。

両脇は、その取り巻き。


ベアトリスは、私と、ほぼ、同じ家門格だが、二年生で、上級生。


「貴方、ベルロワ・カーヴの、プロデューサー、ね」


「はい」


「それ、貴族令嬢として、恥ずかしくないの? 庶民相手の、芸能なんて」


——きた。


——保守派の、令嬢。


私は、ゆっくりと、本を、閉じた。


「ベアトリス先輩」


「何?」


「『庶民相手の、芸能』が、恥ずかしい、と、思う、その感覚は、いつ、身に、つけられました?」


「は?」


「ベルロワ・カーヴの、観客には、王太子殿下、王太子妃殿下、王太后陛下も、含まれます。神殿改革派の、マルセル神官も、観劇しています。それでも、『庶民相手』、と、お思いに、なりますか?」


ベアトリスの、頬が、紅潮した。


「……っ」


「そして、もう、ひとつ。私は、ベルロワ・カーヴで、月、金貨五千枚の、収益を、上げています。これは、サンタロー伯爵家の、年収を、超えています」


図書室が、静まり返った。


「貴方は、私の、何を、恥じていらっしゃるのですか? 教えてくださると、ありがたい、です」


ベアトリスは、唇を、震わせた。


そして——


「な、生意気よ! 一年生の、分際で!」


「ベアトリス先輩、私、ただ、お聞き、しただけです」


私は、にっこり、笑った。


——でも、内心。


——撃ち落とした。


ベアトリスは、両脇の、取り巻きを、引き連れて、図書室を、出て、いった。


私は、ふう、と、息を、吐いた。


その時——


「お見事」


声が、した。


振り返ると、図書室の、奥から——

ひとりの、男子生徒が、近づいてきた。


二年生。

プラチナブロンドの、短い髪。

青の瞳。

背は、高く、姿勢が、正しい。

胸の、紋章は、王家の、星。


——王家?


——え、王族?


「リリア嬢、初めまして」


男子生徒は、丁寧に、頭を、下げた。


「私は、ジャン・エドゥアール。エトワール王国、王太子の、長男です」


——!


——王太孫!


——次期、王太子!


「お会いできて、光栄です、ジャン殿下」


私は、深く、頭を、下げた。


ジャンは、ふっと、笑った。


「君の、ベルロワ・カーヴ、観たことが、ある。父上、母上と、共に。素晴らしかった」


「ありがとうございます」


「これからも、頑張って」


ジャンは、軽く、頷いて、去って、いった。


——!


——王太孫が、私の、ファン!


——よし、もう一個、味方、確定。


——貴族院、超、楽しい。


私は、心の中で、ガッツポーズした。


---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ